“Speak No Evil” (Dec.1964) Wayne Shorter
Wayne Shorter (tenor saxophone)
Herbie Hancock (piano) Ron Carter (double bass) Elvin Jones (drums)
Freddie Hubbard (trumpet)

Speak No Evil
Wayne Shorter
EMI
ウエイン ショーター


 Wayne Shorter、これが一番の人気作なのでしょう。
 E.S.P.” (Jan.1965) Miles Davisの直前の録音。
 ドラマーとトランペッター以外は同じメンバー。
 黒魔術とかオカルトとか神秘的と言われることが多いのでしょうが、タイトルを除けば、オーソドックスで落ち着いたジャズだと思います。
 Elvin Jonesはそのままですが、他のメンバーは交代。
 Coltraneの色合いもずいぶん薄くなりました。
 ピアノがMcCoy Tynerではなく、Herbie Hancockであることが、全体のスッキリとした印象に繋がっているように思います。
 この人がピアノを弾くと過激な内容でも端正でクールに聞こえます。
 この期のMilesのお眼鏡にかなったのはそんなところなのかもしれません。
 “Night Dreamer” (Apl.1964) 、“JuJu” (Aug.1964)よりも温度感は低めでしょう。
 それでもそれらに近い雰囲気はあるのですが、“E.S.P.”とは違います。
 さらに温度感を低くしてクールにしたのが“E.S.P.”、といったイメージでしょうか。
 新主流派(懐かしい!)的な色合いが加わったともいえるのでしょうが、本作にはまだハードバップのムード、モダンジャズ的な熱が強く漂っています。
 Art Blakeyと一緒にやっていても違和感がなさそうな曲もちらほら。
 それでも甘さを排したハードボイルドなWayne Shorterのムード。
 Milesは次の世界を目指して動き出しますが、Wayne Shorterはまだモダンジャズの流儀を色濃く残す作品。
 結局その色合いは“Super Nova” (Aug.Sep.1969)の直前まで続いているようにも思います。
 クールなポストモダンジャズな一作、モダンジャズ寄り。
 新主流派までもう少し、といったところ。




posted by H.A.