“Super Nova” (Aug.Sep.1969) Wayne Shorter
Wayne Shorter (soprano saxophone)
John McLaughlin (acoustic, electric guitar) Sonny Sharrock (electric guitar) Chick Corea (drums, vibes) Miroslav Vitouš (bass) Jack DeJohnette (drums, kalimba) Airto Moreira (percussion) 
Walter Booker (acoustic guitar) Maria Booker (vocals) Niels Jakobsen (claves) 

Super Nova
Blue Note Records
ウエイン ショーター



 Wayne Shorterの世紀の問題作。
 もうひとつの“Bitches Brew” (Aug.1969) Miles Davis・・・と言うには全く違う質感、それよりももっとジャズ寄り、但し過激系。
 同時期の“Infinite Search” (Nov.1969) Miroslav Vitousにも近いムードの演奏がありましたが、こちらの方が過激さは上。
 というか、あちらは全然普通ですが、こちらはちょっと凄い演奏。
 メンバーはベースを交代してMilesが入れば、“Bitches Brew”の主力メンバーがそのまま揃います。
 さらにスタジオ入りも“Bitches Brew”の同月~次月。
 似ていてもおかしくないのでしょうが、質感は全く異なります。
 “Bitches Brew”にOrnette Coleman的なフリージャズを取り込み、混沌の場面が多い激烈系フリージャズ。
 いや、フリーではないので、フリーっぽい不思議系Wayne流ジャズ、激烈系。
 が、その間に端正でハードボイルドなジャズ、さらに一曲だけJobimナンバーが入る、もうなんだか訳のわからない、いかにもWayne Shorterの世界。
 冒頭からピリピリした緊張感の激しい音。
 ギターもエレピもベースも“Bitches Brew”が大人しく聞こえるような何でもありの過激な演奏。
 Jack DeJohnetteは激しく叩きまくり。
 彼のドラムなのでもっと軽快な感じもしてもよさそうなのですが、ベビーなビートもそこかしこに。
 ソプラノ一本のWayne Shorterもピリピリした音使い。
 Milesバンドで没になった"Sweet Pea", “Water Babies”などは、まずまず穏やかでカッコいいジャズなのですが、同じく"Capricorn"は全編ドラムソロ状態の激烈なルバートでのバラード。

 さらに、エスニックな音の洪水の中から、今にも泣き出しそうな静かで妖し気なムードの歌が唐突に始まり、唐突に消えていく、Jobimの”Dindi”の凄い演奏。
 他にも激しさ、妖しさ全開。
 といった感じで、何曲かのカッコいいジャズ演奏を忘れてしまうような不思議で凄まじい演奏が印象に残ります。 
 悲しげなメロディ、優雅なワルツにハードボイルドな緊張感が入り混じる“Water Babies”など、MilesバンドWater Babies” (Jun.1967,Nov.1968)でのバージョンをはるかに凌ぐ、一番カッコいいWayneの曲、演奏のようにも思うのですが、周りが周りなので霞んでしまっていますかね?
 その激しさに慣れてしまえば、これぐらいカッコいい作品はあまりないと思うのですが、やはり「超新しい」問題作ではあるのでしょう。
 この後、Wayne最高の名演とも思える“Live At The Fillmore East-It's About That Time” (Mar.1970)でMilesとの共演は終了。
 さらにこれまた不思議で過激な “Moto Grosso Feio” (Apl.Aug.1970)、“Odyssey of Iska” (Aug.1970)へと続きます。
 さらに“Weather Report” (Feb.Mar.1971)までもう少し。





posted by H.A.