“Nan” (1998) Thierry Lang
Thierry Lang (paino)
Heiri Kanzig (bass) Marcel Papaux (drums) Hugo Read (alto, soprano sax) Daniel Pezzotti (cello)

Nan
Thierry Lang
Blue Note
ティエリー・ラング

 スイスのピアニストThierry Lang、Blue Noteに移籍して何作目かの作品。
 “Private Garden” (1993)など、地元?のレーベルでの音とは少し違った印象。
 何かカチッとしたというか、揺らぎが小さくなったというか・・・
 メンバーもほぼレギュラーだし、元々アグレッシブでも奇をてらうタイプでもなかったし、ピアノの美しさ、フレージングはそのままなので、何がどう変わったのかいまだにわかりません。
 ビートがきれいに整いすぎてるのかもしれれないし、微妙な音場の調整なのかもしれません。
 さておき、相変わらずの美しいピアノ。
 いつものトリオにサックスとチェロを加えた上品で手堅いアンサンブル。
 タイトル曲を含めた愛奏のオリジナル曲にスタンダードにポップス。
 チェロが入ってもクラシック臭は強くなく、あくまでジャズな演奏。
 優雅なワルツから始まり、いつもと同じくバラードが印象に残る演奏。
 が、何曲かのアップテンポの曲も素晴らしい。
 ハイテンションに吹きまくるHugo Readのサックス、それにつられてかThierry LangのピアノもKeith Jarrett的なエキサイティングな演奏。
 アップテンポになってもあの微妙なタメが生きていて、なんとも言えない上品で心地よい疾走感。
 一音一音が明瞭な美しいピアノ。
 音符が見えてきそうな音、ってな表現が当たっているかどうかわかりませんが、そんな音。
 などなど、さすがにBlueNote配給だけあってか、バリエーションに富んでいて、かつ、バランスが取れた演奏集。
 あの”The long and winding road”のジャズバージョンとかなかなか聞けないしね。
 なお録音はECMのホームグランドRainbow Studio, Oslo。
 音の感じは違うのですがね・・・
 もし、ECMでプロデューサーがManfred Eicherだったらどうなっていたんでしょうね・・・





posted by H.A.