“Fort Yawuh” (Feb.1973) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano, soprano saxophone, tambourine)
Dewey Redman (tenor saxophone, musette, maracas) Charlie Haden (bass) Paul Motian (drums, percussion) Danny Johnson (percussion)

Fort Yawuh
Keith Jarrett

キース ジャレット


 Keith Jarrettアメリカンカルテット+αでのライブアルバム。
 ”Solo Concerts:Bremen/Lausanne” (Mar.Jul.1973)の前月の演奏。
 既に絶頂期に入っているのでしょう、ピアノのキレは超弩級、凄まじい演奏。
 “Expectations” (Apl.1972)でやろうとしていたことが整理されてきたというか、そのアイデアがまとまり、凄まじいまでのテンションで演奏されたステージの記録。
 耽美で沈痛なジャズ、フォークロックなジャズ、Ornette Coleman的なフリージャズの場面がたくさん。
 冒頭から怒涛のような激しいインプロビゼーション。
 ブチ切れたように音を重ね突っ走るピアノ、サックスとマシンガンのようなベース、バシャバシャドラム。
 これは凄まじい。
 続くタイトル曲は、スローなルバートで始まり、激烈な場面を経て、祈るようなインタールード、ゴスペルチックなリフレインへ。
 後の名演“Death and the Flower”(Oct.1974)などに近い構成美、様式美は見られますが、それも忘れてしまうような激しい演奏。
 LPレコードB面に移ると少しスピードを落とした明るいムードも出て一安心ですが、何か胸騒ぎを感じてしまうのは、A面の空気感が残っているからでしょうか。
 締めは静かで美しいピアノソロから、バンドが加わってもルバートな漂うビートが変わらないドラマチックなバラードで幕。
 “Treasure Island” (Feb.1974)っぽい明るい展開もあれば、“Death and the Flower”(Oct.1974)のような深刻系の演奏もあり、ドラマチックなバラードあり、Ornette Coleman的なフリージャズあり。
 Keith Jarrettアメリカンカルテットの諸々の表情がギュッと詰め込まれた演奏集。
 凄い人たちの凄い演奏、激しい音、てんこ盛りのステージ。
 心して聞くとそこは桃源郷・・・かも。

(※本投稿は2016/10/17より移動しました。)



posted by H.A.