“Casa” (2016) Gisele De Santi
Gisele De Santi (voice)
Luiz Mauro Filho (piano) Vangner Cunha (strings)

カーザ
ジゼリ・ヂ・サンチ
プロダクション・デシネ
2016-08-10


 ブラジルのボーカリストGisele De Santi、ピアノとのDuoを中心としたアルバム。
 現代サンバの人、またポップス寄りの人だと思っていましたが、今回はブラジリアンビート抜きのしっとりとしたバラード集。
 ピアノのみを背景にして、時折バイオリンorビオラ?が音を加える形。
 ピアノは音数を絞り込んでいて、残響音のみが響く時間が多い音作り。
 透明度の高いこの上もなく美しい声がそんな空間に響きます。
 コンボでの“Vermelhos e Demais Matizes” (2013)も驚きの美しい声でしたが、その美しさがさらに際立つ作品。
 高い音が微妙に自然に裏返る、なんとも言えない雰囲気を持った歌。
 この質感に浮遊感といった言葉が適当かどうかはどうかわかりませんが、しっとりとしていながらも、要所々で軽く浮き上がる、そんな感じです。
 ピアノはあくまで薄目の背景を作るのみ。
 インプロビゼーションも控えめ。
 ストリングスも思い出したように上品なアクセントを入れるのみ。
 オーディオ的にも楽器の配置は奥。
 少し遠くから聞こえてくるような、余剰なものを徹底的にそぎ落とした音。
 その前面に出て、その上をフワフワと舞うような美しいvoice。
 楽曲はオリジナルが半数、Djavan, Chico Buarque, Caetano Veloso, Beatles。
 MPBを中心としたポップス曲が中心ですが、クラシック、あるいはフォルクローレのような優雅な響き。
 淡い色合いの切ないメロディ揃い。
 それでもこの声、歌い方でなければこの淡くて切ない色合いは出ないでしょう。
 とても美しく穏やか、とても上品。
 タイトル、ジャケットのイメージ通り、室内楽的でインティメートな音。
 ちょっとした緊張感はあるのかな?
 ここまで美しくて穏やかで上品な作品は他にあったかなあ?
 2016年のイチオシはこれかな? 




posted by H.A.