“Trampolim” (1998) Monica Salmaso
Monica Salmaso (Vocals)
Bugge Wesseltoft (Piano, Keyboards) Lelo Nazario (Keyboards) Toninho Ferragutti (Accordion) Paulo Bellinati (Cavaquinho) Rodolfo Stroeter (Bass) Jose Eduardo Nazario (Drums) Nana Vasconcelos (Vocals, Percussion) Paulo Bellinati (Percussion) Teco Cardoso (Soprano Sax) Zezinho Pitoco(Percussion) Zezinho Pitoco (Caixa) Mario Gil (Viola) Paulo Bellinati (Viola)

Trampolim
Monica Salmaso
Blue Jackel Ent.
モニカ サルマーゾ


 ブラジル、サンパウロのボーカリストMonica Salmas、おそらくこれが最初のリーダー作なのでしょう。
 いきなりNana VasconcelosとのDuoによるプリミティブな音。
 と思っていたら、アコーディオンと妖しげなコーラス。
 楽し気なような妖し気なような不思議な音。
 Edu Loboの曲、ポップなメロディですが、山奥で響いていそうな神秘的な感じ。
 ネイティブなブラジルの音をイメージしたアレンジなのか、あるいは“Afro-Sambas” (1995)の流れを汲んでアフリカ系を入れたのか、いずれにしても不思議系です。
 そんな音が続きます。
 このアルバムは後追いで聞きましたが、後の優雅な作品のイメージでクラシックからポップスへ転向したように思っていましたが、どうやら違ったようです。
 これはカッコいい。
 楽曲は、ブラジル曲。
 半数は著名な作者の作品のカバーですが、他のブラジル土着の伝統曲と思われる楽曲含めて、普通のMPBとは違います。
 サンバやボッサっぽいリズムはほとんど出てきません。
 ボーカルは低いトーン。
 穏やかで柔らかなブラジルテイストでしっとりとした声、クラシック的な朗々とした歌唱法。
 プリミティブな印象だったり不思議だったりする背景と合わせて、なんだか幻想的、神秘的なムードです。
 この人、巫女さんみたいですね・・・
 ってのは違和感もありますが、なかなかいないそんなムード。
 これはクリエイティブな一作。
 一曲一曲を見ると少々妖しげですが、全体を眺めると難解さや深刻さ、暗さはありません。
 あくまで穏やかで柔らかなブラジルテイスト。
 少々神秘的。
 “Duas Vozes” (1984) Egberto Gismontiあたりをポップにわかり易く、さらに上品にしたムード。
 いきなりの大冒険のようにも感じますが、次はとても優雅な“Voadeira” (1999)、Andre Mehmari, Tutty Morenoとのジャズ色の強い”nem 1 ai” (2000)へと続きます。