“Between A Smile And Tears” (1991)、“Private Garden” (1993) Thierry Lang
Thierry Lang (Piano)
Ivor Malherbe (Double Bass) Marcel Papaux (Drums)
スイスのピアニストThierry Lang、とても美しいピアノトリオ。
デビューから第二作、三作に当たるのだと思います。
もう20年以上も前の作品のようですが、今聞いても全く古くないし、その後にこれ以上美しいピアノトリオがあったかなあ・・・と考えてもなかなか思いつきません。
また、ソロ、ホーン入り、チェロ入りなど、いろんな編成の作品がありますが、この人には本作のようなオーソドックスなピアノトリオが一番似合うと思います。
印象としてはソロの方がよさそうですが、不思議です。
ビート作りを他の人に任せて、インプロビゼーションに集中できるからでしょうか?
後ろ髪を引かれるようなタメや美しいタッチ、美しいメロディのインプロは、トリオでの演奏で一番出てきているように感じられますし、一番映えるようにも思います。
本二作はそんな感じの美しいピアノトリオの知る人ぞ知る名作。
ピアノの音そのものが美しいし、楽曲が美しくて、インプロビゼーションが美しくて、バンドも上品で美しい。
いわゆるBill Evans系の一人なのでしょう。
耽美的、内省的、抒情的・・・その他それらしい形容詞すべてがあてはまるような音。
当時流行った音でしょう。
それでも何か一歩抜け出した美しい演奏。
タッチが特別なのか、録音の妙なのか、音の組み立て方に何か特別なものがあるのか、その他諸々、その要因はよくわかりません。
おそらくその全て。
後の“Lyoba Revisited” (2009)などを聞くと、スイスの人だから、その育った環境の空気感なのかなあ、とか思ったりします。
スローはもちろん、速いフレーズの一音一音にも微妙なタメがあり、ビートが伸びたり縮んだり。
また、一瞬の空白の中から立ち上がってくる音使いがカッコいい。
それが絶妙な優雅さ、美しさに繋がっているのかもしれません。
静かな空間の中に加速しながら走る澄み切った高音にはゾクリときます。
そんな場面が多々。
両作とも名曲名演揃い。
“Between A Smile And Tears” (1991)の冒頭からしっかりタメの効いた美しさ、抒情感全開の音。
オーソドックスながらとてつもなく美しいスタンダード演奏に、これまた美しいメロディのオリジナル曲。
ECM的な毒気こそありませんが、少々のクラシックの香りが漂う、ヨーロピアンピアノトリオの典型、教科書のような音。
“Private Garden” (1993)では、後に何度も再演される冒頭のスローテンポの名曲“A Star to My Father”からこれまた美しさ全開。
続く少しテンポを上げた“Nunzi”も同等の美しさ。
全編ルバートの“Private Garden”を経て、最後の定番曲“Nane"まで、これでもかこれでもかと美しい演奏が続きます。
モダンジャズ的な躍動感が足らないとか、美しすぎて毒が無くて・・・とかいった向きもあるのやもしれませんが、ここは素直に美しい音、ヨーロピアンジャズな音を楽しむべきでしょう。
さてこの文章の中に「美しい」はいったい何回出てきたのでしょう。
アルバム二枚、最初から最後まで、そんな「美しい」アルバムです。
Thierry Lang (Piano)
Ivor Malherbe (Double Bass) Marcel Papaux (Drums)
スイスのピアニストThierry Lang、とても美しいピアノトリオ。
デビューから第二作、三作に当たるのだと思います。
もう20年以上も前の作品のようですが、今聞いても全く古くないし、その後にこれ以上美しいピアノトリオがあったかなあ・・・と考えてもなかなか思いつきません。
また、ソロ、ホーン入り、チェロ入りなど、いろんな編成の作品がありますが、この人には本作のようなオーソドックスなピアノトリオが一番似合うと思います。
印象としてはソロの方がよさそうですが、不思議です。
ビート作りを他の人に任せて、インプロビゼーションに集中できるからでしょうか?
後ろ髪を引かれるようなタメや美しいタッチ、美しいメロディのインプロは、トリオでの演奏で一番出てきているように感じられますし、一番映えるようにも思います。
本二作はそんな感じの美しいピアノトリオの知る人ぞ知る名作。
ピアノの音そのものが美しいし、楽曲が美しくて、インプロビゼーションが美しくて、バンドも上品で美しい。
いわゆるBill Evans系の一人なのでしょう。
耽美的、内省的、抒情的・・・その他それらしい形容詞すべてがあてはまるような音。
当時流行った音でしょう。
それでも何か一歩抜け出した美しい演奏。
タッチが特別なのか、録音の妙なのか、音の組み立て方に何か特別なものがあるのか、その他諸々、その要因はよくわかりません。
おそらくその全て。
後の“Lyoba Revisited” (2009)などを聞くと、スイスの人だから、その育った環境の空気感なのかなあ、とか思ったりします。
スローはもちろん、速いフレーズの一音一音にも微妙なタメがあり、ビートが伸びたり縮んだり。
また、一瞬の空白の中から立ち上がってくる音使いがカッコいい。
それが絶妙な優雅さ、美しさに繋がっているのかもしれません。
静かな空間の中に加速しながら走る澄み切った高音にはゾクリときます。
そんな場面が多々。
両作とも名曲名演揃い。
“Between A Smile And Tears” (1991)の冒頭からしっかりタメの効いた美しさ、抒情感全開の音。
オーソドックスながらとてつもなく美しいスタンダード演奏に、これまた美しいメロディのオリジナル曲。
ECM的な毒気こそありませんが、少々のクラシックの香りが漂う、ヨーロピアンピアノトリオの典型、教科書のような音。
“Private Garden” (1993)では、後に何度も再演される冒頭のスローテンポの名曲“A Star to My Father”からこれまた美しさ全開。
続く少しテンポを上げた“Nunzi”も同等の美しさ。
全編ルバートの“Private Garden”を経て、最後の定番曲“Nane"まで、これでもかこれでもかと美しい演奏が続きます。
モダンジャズ的な躍動感が足らないとか、美しすぎて毒が無くて・・・とかいった向きもあるのやもしれませんが、ここは素直に美しい音、ヨーロピアンジャズな音を楽しむべきでしょう。
さてこの文章の中に「美しい」はいったい何回出てきたのでしょう。
アルバム二枚、最初から最後まで、そんな「美しい」アルバムです。