“Blue & Sentimental” (Dec.16.23.1961) Ike Quebec
Ike Quebec (Tenor Sax)
Paul Chambers, Sam Jones (Bass) Sonny Clark (Piano) Grant Green (Guitar) Louis Hayes, Philly Joe Jones (Drums)

Blue & Sentimental
Ike Quebec
Blue Note Records
アイク・ケベック


 激渋テナーのIke Quebec、“It Might as Well Be Spring” (1961)から一週間後、メンバーを総入れ替えしての録音。
 三週続けてなぜか同じ曜日でのセッション、ってなのもビジネスチックで面白いなあ。
 オルガンが抜けてモダンジャズ、ブルーノートな顔ぶれでの文字通りのモダンジャズ。
 好みからすればオルガンのサポートがいいのだけども、まあこのメンバーでよくないものが出来るはずはありません。
 このアルバムもスローバラード”Blue and Sentimental”からスタート。
 さすが勘所を押さえていらっしゃる。
 Grant Greenのいかにも鉄線弾いてます的な音でのブルージーなイントロの後はいきなりのトロトロテナー。
 いやはや、オルガンでなくてもいいです。
 というより、Grant Greenの素朴なギターの音との組み合わせが最高。
 脂が乗ったテナーと乾いたギターの対比。
 また、ピアノの参加は一曲のみで、ほとんどがギタートリオでのサポート。
 バックが厚くない分、テナーの残響音が心地よく空間に響きます。
 例によっていくつかのオリジナル曲と、スタンダード、ブルースの組み合わせのモダンジャズの様式美。
 概ね均等ですが、アナログA面の2/3がスローバラードの珍しい構成。
 バラードで始まり、ジャンピーな曲を挟んで、さらにバラード。 テーマからソロを演じたテナーが抜けて、ギタートリオになって寂寥感のある静謐な空間。
 その後にトロトロベタベタのテナーが再度入ってくる瞬間の気持ちいいこと。
 体の力がフニャーと抜けていく感じ。
 リラックスの極み。
 B面に移ってもスローブルースから。
 ジャンピーなナンバーを経て、バラードで締め。
 クールなモダンジャズと言えば“Midnight Blue” (1963) Kenny Burrellを想い起してしまいますが、それに並ぶクールな質感。
 これは最高です。
 渋くてクールなモダンジャズ。




posted by H.A.