“Buena Vista Social Club” (1996) Buena Vista Social Club, Ry Cooder
Luis Barzaga (chorus vocals) Joachim Cooder (drums, percussion) Ry Cooder (guitars) Julio Alberto Fernández (vocals, maracas) Ibrahim Ferrer (vocals) Carlos González (bongos, cowbell) Juan de Marcos González (tres, guiro, chorus vocals) Rubén González (piano) Manuel ‘Puntillita’ Licea (vocals) Orlando ‘Cachaíto’ López (bass) Manuel ‘Guajiro’ Mirabal (trumpet) Eliades Ochoa (guitar, vocals) Omara Portuondo (vocals) Salvador Repilado (bass) Compay Segundo (guitar, vocals) Benito Suárez Magana (guitar) Barbarito Torres (laoud) Alberto ‘Virgilio’ Valdés (maracas, coro) Lazaro Vila (congas)

Buena Vista Social Club
Ry Cooder
Nonesuch
ブエナビスタ ソシアルクラブ


 大ヒットしたキューバンミュージック。
 とても優雅な世界。
 1940年代あたりで時間が止まったような世界。
 ジャケット写真のクラシックカーのような優雅さ。
 もちろん年月は経ていてもバリバリの現役。
 世界は時代と共に変化したかもしれないけども、このアルバムの音は昔のまま。
 しかも長い時間の経過がつけた皺が加わった深い音。
 いいことばかりでは無かったことを包み隠すようなグルーヴィーなビート、時折の熱狂。
 にじみ出る哀感。
 仕掛け人はRy Cooder。
 “Chicken Skin Music” (1976)、“Jazz” (1978)の延長線上ではないけども、古き良き世界を、現代の音で表現したという意味では同じ。
 が、先の二作はその古き良き時代を再現、あるいはそのエッセンスで作ったものかもしれないけども、こちらは21世紀直前、現代の「ホンモノ」。
 神々しいまでの存在感。
 Gonzalo RubalcabaやIrakere、Arturo Sandovalなどアメリカに渡ったCubaの人の音と比べると、ビート感は共通するものの、全く違う印象の音。
 洗練されているとともにアグレッシブな印象の渡米勢に対して、こちらは長閑なようで、平和なようで、楽しげなようで、全体を漂う哀感。
 演奏している人は無意識、打算無しにやってるのでしょうが、そこはかとなく漂う凄み。
 それが数十年の年輪であり、彼らが経てきた生活そのもの、外界に侵されていない純粋さ、なのかも。
 その中にさりげなく溶け込んでしまうRy Cooderも凄い人だなあ。
 Louis ArmstrongやBix Beiderbeckeが別世界で生きていて、今の時代に突然現れたらこんな感じのジャズなのでしょうかね。
 本作はもちろん、“Ibrahim Ferrer” (1999)、“Chanchullo” (1997-2000) Rubén González、その他含めて関連作品すべてがそんな音です。




posted by H.A.