“Nostalghia - Song For Tarkovsky” (2005) François Couturier
François Couturier (Piano)
Jean-Louis Matinier (Accordion) Anja Lechner (Cello) Jean-Marc Larché (Soprano Saxophone)

Nostalghia: Song for Tarkovsky
Francois Couturier
ECM
フランソワ・クチュリエ


 フランスのピアニストFrançois Couturier。
 ウード奏者Anouar Brahemの“Khomsa” (1994)、 “Le Pas du Chat Noir” (2001)、“Le Voyage de Sahar” (2006)で、透明度の高い美しいピアノを弾いていた人。
 本作は映画監督アンドレイ・タルコフスキーに捧げたアルバム。
 “Sacrifice”、“Nostalghia”、“Solaris”、”Andrei”、など、映画、それにちなんだ題名の曲が並びます。
 ピアノを中心として、アコーディオン、サックス、チェロが彩を添える構成。
 全編、静謐、とても悲し気で幻想的な空気。
 どの楽器も強く音を出す場面はわずか。
 リーダーのピアノ含めてビート感は弱くクラシック的。
 透明度の高い美しい音、舞い落ちるような、探るような繊細な音使い。
 全てスローテンポ。
 漂うビート。
 抽象的な音の流れと美しい音が交錯する展開が続きます。
 フリージャズ、あるいは現代音楽のような静かな混沌の中から突然現れる美しいピアノの音、美しいメロディ。
 沈痛なムード、倦怠なムードの中に突然現れる弱い光。
 その繰り返し。
 内省的といった軽いニュアンスではなく、心の中の深いところを覗き込むような音。
 決して意味不明な抽象ではないのですが、甘さはゼロ。
 非日常的な音。
 ジャズとして聞くには少々無理がありそうですが、静かで美しいこの世とは違う別世界のような空気感。
 タルコフスキーファンにはたまらない音なのでしょう。




posted by H.A.