“December Song” (2012) Jakob Bro
Jakob Bro (Guitar)
Bill Frisell (Guitar) Craig Taborn (Piano) Thomas Morgan (Bass) Lee Konitz (Sax)

【輸入盤】December Song [ Jakob Bro ]
ヤコブ ブロ 【輸入盤】December Song [ Jakob Bro ]

 デンマークのギタリストJakob Bro、最新作、ECMからの"Gefion” (2013)の前作になるのでしょう。
 なんともすごい顔ぶれのアルバム。
 Lee Konitz御大を迎えて何かやろう、といった企画だったのかもしません。
 顔ぶれから想像できるそのままの音。
 強い浮遊感と非日常感、曖昧な空気感。
 Bill Frisellが参加していたPaul Motian Trioのような音ですが、さらに繊細なイメージ。
 師弟なのかどうかは分かりませんが、Jakob Bro、Bill Frisell、同じムードの二人が作る強烈な浮遊感の空間。
 全てスロー~ミディアムなゆったりとしたテンポ。
 漂うビートと淡いメロディ。
 集団即興といった感じではないのだけども、誰が主導権をとっているのか曖昧な音の流れ。
 Jakob Bro、Bill Frisellともにどちらがソロをとるわけでもなく、絡み合いもつれ合いながら進む時間。
 そんな曖昧な空気を切り裂くようなLee Konitzのアルト。
 この時点で80歳を超えていたのでしょうが、艶のある鋭い音。
 少し枯れた感じの節回しが寂寥感を誘います。
 さらにCraig Tabornも同じく浮遊する空間を切り裂く、さらにベースとともに飛んでいく音をまとめる役回り。
 ピアノの音量が上がると急に空間が引き締まります。
 また、"Gefion” (2013)にも参加しているベースのThomas Morganは地味ながら穏やかなグルーヴ。
 全く目立ちませんが、この人が加わるだけで音楽の質が変わるような希少なベーシスト。
 メロディ、ビートともに曖昧ながら全編を流れる穏やかな哀愁。
 現実と非現実の間を漂うような音。
 ジャズとかなんとかと超越した不思議な音楽。
 不思議な安らぎ。
 とても不思議なのですが、やはりこれは新しいのかもしれません。




posted by H.A.