“45th Parallel” (1988) Oregon
Glen Moore (Bass) Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar, piano, synthesizer) Paul McCandless (Piccolo, Soprano Saxophone, Oboe, English Horn, Bass Clarinet) Trilok Gurtu (Tabla, Drums, Percussion, Voice)

45th Parallel
Oregon
Sony
オレゴン
ラルフ タウナー


 Ralph Towner 率いるOregon、ECMから離脱しての第一弾。
 全体のイメージは前作“Ecotopia” (1987)と同様、明るくてわかりやすいコンテンポラリージャズ・・・、というよりもさらに一歩踏み出した爽やか系フュージョンの方がイメージは合いそうです。
 向かう方向はメインストリーム。
 ビート感も整って、1970年代ともECM諸作とも印象が違う作品。
 インドのTrilok Gurtuもそのままですが、エキゾチシズムは薄まり、ジャズな感じのドラム中心。
 これは気持ちを入れ替えて聞かないと・・・
 で、先入観を捨てて、あのOregonだと思わずに聞くと、これがカッコいいフュージョンミュージック。
 ビートは整っている上に強いグルーヴ。
 ギターとピアノはあのRalph Townerだし、Paul McCandlessの管も緩急を自在のカッコいいインプロビゼーションの連発。
 全盛期のWeather Reportほどキャッチーではないにしても、明るくて楽し気な、かつ変化に富んだ楽曲揃い。
 最後は、短くもこの上もなく美しいピアノソロで締め。
 このカッコよさを出すのは、あるいは完璧な演奏をこなすのは、他のバンドでは難しいんだろうなあ・・・
 そう思わせる完成度。
 気難し気なOregonではなく、わかりやすくて爽やかでカッコいいOregonの再スタート、といったところでしょう。
 あの1970年代Oregonの、強烈な緊張感とグルーヴで迫ってくるアグレッシブな音はなくなりました。
 また、1970年代ECMの氷のように冷たく鋭いRalph Townerのギターもなくなりました。
 それが時代の流れでもあったのでしょう。
 お世辞、思い入れ抜きで、いいフュージョン作品です。
 最初は面食らいましたがね・・・




posted by H.A.