”Crossing” (Oct.1984) Oregon
Paul McCandless (soprano saxophone, oboe, bass clarinet, English horn) Glen Moore (bass, flute, piano) Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar, piano, synthesizer, cornet, percussion) Collin Walcott (tabla, sitar, percussion, bass drum, snare drum)

Crossing
Oregon
Ecm Records
オレゴン
ラルフ タウナー

 Ralph Towner率いるバンドOregonのECM移籍第二弾。
 インプロビゼーション色も強かった前作”Oregon” (Feb.1983)に対して本作は各人の楽曲中心の演奏。
 幻想的な色合いはそのままに抽象度は下がって、近未来的な曲、妖しげな曲、ジャズっぽい曲、フュージョンっぽい曲、ポップテイストな曲、集団即興的な曲、その他諸々、さまざまな色合いが交錯する構成。
 作曲者個々の色合いがそのまま曲ごとの印象の違いに繋がっているように思います。
 幻想的で少々妖しいCollin Walcott、それにクラシック色、ジャズ色が入るRalph Towner、Paul McCandless、少々ポップ、ジャズが入るGlen Moore、といったところでしょうか。
 楽曲ごとに表情が異なります。
 全体を眺めれば、静かで穏やかな空間の中に響く輪郭が明確な管楽器、ギターもさることながら、本作もリリカルなピアノの素晴らしさが際立ちます。
 時折の強いグルーヴはありますが、ECM期では“Vanguard Sessions” (1970-1979)のようにそれを強調することはなくなったように感じます。
 Ralph Townerの変化云々よりも、Glen Moore、Collin Walcottが強烈な音を出す場面が減っているのでしょうかね?
 結果的に穏やかな色合い。
 ECMでのOregonは三作。
 抽象度の高い前作”Oregon” (Feb.1983)、明るいコンテンポラリージャズの次作 “Ecotopia” (1987)。
 それらの間の本作はちょうどその中間の色合い。
 その意味でもOregonらしいバランスの取れた作品なのでしょう。
 なお、ECM初期からのアーティストCollin Walcottはこの作品の制作後に逝去。本作が遺作?であり、事実上の追悼作品。 
 Codona諸作をはじめとして、ECMの看板の一人だっただけに残念です。




posted by H.A.