“Tenors” (1988) David Murray
David Murray (tenor saxophone)
Dave Burrell (piano) Fred Hopkins (bass) Ralph Peterson Jr. (drums)

Tenors
DIW
デビッド マレイ


 過激なサックスのDavid Murray、日本制作のマラソンセッション“Lovers”, “Spirituals”, ”Ballads”, ”Tenors”, “Deep River” (1988) の中の一作。
 本作はサックスの巨人ゆかりの曲を取り上げていく編集。
 John Coltrane, Albert Ayler, Ornette Coleman, Ben Webster, Sonny Rollinsといった、いかにも影響を受けていそうな人たちの愛奏曲。
 結果的にはこのあたりまでのDavid Murrayとしては、最もオーソドックスなジャズに近い作品の一つ。
 Dave Burrell含めて、キッチリとジャズを演奏しています。
 もちろんフリーな曲もあり、そちらは激しいし、他もあくまで辛口、激しい系ジャズ。
 後の作品はもっとベタベタなジャズ作品がありますが・・・
 David Murrayは何を吹こうがいつも通り。
 “Ghosts” だろうが “St. Thomas” だろうが“Chelsea Bridge”だろうが、David Murray節。
 探りながら入って、徐々にテンションを上げ、グチャグチャになって・・・
 それでも最後はシレっと元に戻る様式美、あるいは名人芸。
 これを聞き馴染んだジャズ曲でオーソドックスにやってくれるのだから、ジャズファンとしてはたまりません。
 それもどの曲も違和感なくまとめてしまう、まさに名人芸。
 それとも、これでも普通のジャズファンからすると、激烈過ぎて違和感があるのかな?
 “Chelsea Bridge”とか絶品だと思うけどなあ・・・


 いずれにしてもこの期のセッション、五作のアルバムは、いずれもほどほどに過激さが削ぎ落とされ、オーソドックスとのバランスが取れたいい作品です。 
 録音もよくて、真っ黒けで艶々のテナーの音が一番カッコよく聞こえるのもこのシリーズかもしれません。
 イチオシは“Lovers”でしょうね。


※別のアルバムから



posted by H.A.