“The Triangle” (Jan.2003) Arild Andersen
Arild Andersen (bass)
Vassilis Tsabropoulos (piano) John Marshall (drum)

Triangle
Arild Andersen
Ecm Records
ヴァシリス・ツァブロプーロス
アリルド・アンデルセン


 Arild Andersenリーダー名義のピアノトリオ。
 “Achirana” (1999)と全く同じメンバー。
 Vassilis Tsabropoulos の作品としては、間にクラシック色のピアノソロ“Akroasis” (2002)があります。
 半数の楽曲がVassilis Tsabropoulosの作品ですので、事実上、双頭リーダー作なのかもしれません。
 前作は静謐なイメージでしたが、本作はアグレッシブさを前面に出したエキサイティングな演奏。
 Vassilis Tsabropoulosのピアノはクラシックのテイストながらも、強烈なスピード感、疾走感。
 1970年代のKeith Jarrett、Steve KuhnやRichie Beirachを想わせるようなピアノ。
 Manfred EicherとしてはVassilis Tsabropoulosに彼らのようになっていくことに期待していた?
 ・・・かどうかはわかりませんが、以降、彼のジャズ的な演奏は私が知る限りありません。
 この作品からもう十年以上経っていますので、この種の強烈なジャズはやらないのでしょうね。
 また、他のアーティストも含めて以降のECMのピアノ作品自体が穏やかな作品か、複雑で難解な作品が多くなっているように思います。
 さておき、本作はそんな1970年代のハイテンション系ヨーロピアン・コンテンポラリージャズを想わせるような強烈なピアノトリオ。
 美しいタッチ、上品なクラシックの香りを漂わせながら突っ走るピアノ。
 ヤクザなまでにド派手な超人的なベース。
 曲がどうのとかに関わらず、それらだけで名作ができてしまいます。
 この美しく、妖しく、クールで知的なイメージと、強烈なグルーヴ、アグレッシブな演奏のフュージョンがECMの真骨頂・・・
 なんてのは古い感覚なのでしょうか?
 とても美しくも激しい、強烈なピアノトリオアルバム。




posted by H.A.