“Wanda Vagamente” (1964) Wanda Sá
Wanda Sá (Vocal)
Manuel Gusmao, Octavio Bailly Jr, Sergio Barroso (Acoustic Bass) Dom Um Romao, Edison Machado, João Palma (Drums) Henri Ackselrud (Flute) Celso Brando, Roberto Menescal (Guitar) Eumir Deodato, Luiz Carlos Vinhas, Tenorio Jr. (Piano) Pedro Paulo (Trumpet) Ugo Marotta (Vibraphone) and others



 ボサノバの聖典、なのでしょう。
 あくまで個人的な見解ですが、このアルバムはボサノバとジャズの分水嶺。
 一ジャズファンから見れば、ボサノバ、ブラジル音楽の魔境への入り口のように思います。
 ほとんどのジャズファンからすれば、“Getz/Gilberto” (1963)への抵抗はないと思いますが、このアルバムは?な人も少なくないのでは・・・?
 歌い方や巧拙は好みの問題も大きいのでさておいて、おそらくポップに過ぎるメロディライン、アレンジだから。
 特に一曲目。
 ここさえ切り抜ければ、後は少々ジャズっぽくもあるし、演奏もいいし、とても優雅なブラジル音楽~本場のボサノバワールド。
 慣れてしまえば一曲目もこれしかないように思えてきます。
 また、この人の歌、不安定だし、ルックスも含めて単なるアイドルのように思えるかもしれないけども、よく聞くと何だか沈んだ感じで、深いものを感じてしまいます。
 もう一人のアイドル、Astrad Gilbertoも然り。
 単にブラジル人の好みなのか、もっと深いものがあるのか・・・
 まあ、前者でしょうかね・・・?
 汗が飛び散るような強烈でエキサイティングな音や、ECMのような深刻な音もいいのですが、こちらの音は大らかで優雅。
 ってな感じでコアなジャズ好きの人も、気持ちの清涼剤にお試しください。
 ここを抜ければ、待っているのは桃源郷。
 あるいはジャズよりももっとたちの悪い魔境なのかもしれませんが・・・




posted by H.A.