”Ana” (Mar.1996) Ralph Towner
Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar)

Ana
Ralph Towner
Ecm Records
ラルフ タウナー


 Ralph Towner、ここからソロ作品が3作続きますがその第一弾。
 とても穏やかなシリーズ。
 ECM初期の冷たく鋭いRalph Townerではなく、透明度はそのままに穏やかで温かなRalph Towner。
 1970年代の厳しい質感はもうありません。
 Ralph Towner自身の変化もあるのでしょうし、時代の変化、あるいはECM、総帥Manfred Eicherの変化でもあるのでしょう。
 ECMの他のアーティストの作風もあわせて考えると、録音の具合と、それを含めてコントロールするManfred Eicherさんの変化が一番大きいような気がするなあ・・・
 1分程度の短い演奏がいくつも配置され、組曲風?になっている構成。
 ここからの3部作、各作品の間が4-5年開いていますので、その間で出来上がってきたイメージを音で紡いでみた・・・ってな感じなのでしょうかね。
 瑞々しい音、ゆっくりと漂うようなビート感。
 全編ルバートってな感じではなく、この人らしくカッチリした質感ですが、それでも浮遊感の強い音空間。
 全てオリジナル曲、センチメンタルで愁いを含んだメロディ。
 少々のエキゾチシズム。
 Oregonでのバージョンもある“Joyful Departure”、あるいは”Carib Crib”なんて組曲もありますので、本作のテーマは「旅」なのでしょうか?
 まさか全日空をご存じ、ご愛用なわけではないでしょうけどねえ・・・
 なんて馬鹿なことを勝手に想像しながら、静かで穏やかな音に気持ちを委ねるとしましょう。



posted by H.A.