”Solo Concert” (Oct.1979) Ralph Towner
Ralph Towner (classical guitar, 12 string guitar)

Solo Concert
Ralph Towner
Ecm Records
ラルフ タウナー


 Ralph Townerソロでのライブ録音。
 いつもながらの完璧な演奏で、ライブっぽさはありません。
 曲間の拍手と、いつもよりも天井の高い空間で音が鳴っている感じがあるだけ。
 それが最高に心地よい音。
 当然アコースティックなのにデジタルかと思わせるぐらいに研ぎ澄まされたギターのクールな響き。
 一つの楽器から発せられる音が、広い空間に浮遊する様、残響音とのバランスが最高。
 1970年代のECMっぽく透明度が高く尖ったイメージの音ですが、最高の録音の一つかもしれません。
 オリジナル曲に加えてBill Evans一曲と珍しくJohn Abercrombie二曲。
 時期的にはJohn Abercrombieとの共作“Sargasso Sea” (May, 1976)と“Five Years Later” (1981)の間。
 Ralph Townerとしても共演がお気に入りだったのでしょうかね。
 さておき、穏やかで落ち着いた曲揃い。
 オーバーダビングもなしのギター一人の音ながら、あるいは一人だからゆえの、万華鏡のような変幻自在の目まぐるしさ。
 次から次へと周囲の景色が変わっていくような展開。
 あるいは先の読めないストーリーの短編小説のページを次々にめくっていくようなイメージ。
 かといって決して強い緊張感を強いる演奏ではなく落ち着いたムード。
 少し前までの作品のような冷たさは和らぎ、ほどほどのテンション。
 瑞々しさはそのままに、むしろ優しく穏やかな表情、まとまった演奏揃い。
 これまでの諸作では無国籍な感じでしたが、ライブだと生の姿が出るのか、やはりアメリカ人なムードのRalph Towner。
 Ralph Townerを聞くならこのアルバムから、でよろしいんではないでしょうか。 




posted by H.A.