”Solstice” (Dec.1974) Ralph Towner
Ralph Towner (12string, classical guitar, piano)
Jan Garbarek (tenor, soprano sax, flute) Eberhard Weber (bass, cello) Jon Christensen (drums, percussion)

Solstice
Ralph Towner
Ecm
ラルフ タウナー


 若き日のECMスーパースターたちのスーパーバンド。
 Eberhard Weber は“The Colours of Chloë” (1973)、“Yellow Fields” (1975)で売り出し真っ最中。
 Jan Garbarek、Jon Christensen も“Witchi-Tai-To” (Nov.1973)、”Belonging” (1974) Keith Jarrettなどで頭角を現してきているところ。
 ECMとしても上記のようなメンバー、さらにはGary Burton やらPat Methenyやらも含めて若きクリエーターをさまざまに組み合わせながら新しい音を作ろうとしていた時期。
 Jon Christensenのヒタヒタと迫ってくる系の静かながら緊張感の高いビート、グルーヴを背景にした、ハイテンションなインプロビゼーション。
 モダンジャズっぽさはありませんが、ロック寄りのフュージョンでもなく、フリージャズでもなく、それらを混ぜ合わせたような独特のサウンド。
 フォーマットは普通のサックスカルテットだし、決して奇をてらった音作りではないのだけども、今の耳でも十分に斬新。
 文章で書くとバンドOregonと同じような修飾句になってしまうのですが、ひんやりとしたムード、尖ったような質感、張り詰め、張り裂けてしまいそうな緊張感、極度の透明感・・・など、やはり異質です。
 もちろん全体のムードを支配するのは、フォークなのかクラシックなのかスパニッシュなのか、これまた諸々の要素を混ぜ合わせたような瑞々しくもハイテンションなギター。
 冷徹なイメージのECMでのRalph Towner、Jan Garbarekが前面に出ています。
 1970年代ECMサウンドの中でも、かなりキツメの方に振れている印象。
 そのままだとちょっとキツ過ぎて・・・になりそうですが、Eberhard Weberが入っている分、緊張度が若干和らぎ、全体の音の明度が高くなっているようにも感じます。
 楽曲はRalph Townerのオリジナル。
 いかにもECMのRalph Townerらしい緊張感高い系のメロディ。
 中には少々怖い場面もありますが、それはわずか、整った演奏揃い。
 ハイテンションで強いグルーヴのコンテンポラリージャズ。
 典型的な1970年代ECMサウンドの一作。




posted by H.A.