”Diary” (Apl.1973) Ralph Towner
Ralph Towner (12string guitar, classical guitar, piano, gong)

Diary
Ralph Towner
Ecm Records
ラルフ タウナー



 Ralph Towner、ECM第二弾、ソロ作品。
 最高傑作、かどうかはわかりませんが、メロディアスでほどほどに穏やかな素晴らしい作品。
 さまざまな編成のアルバムがありますが、やはりソロ作品が一番この人らしいのでしょう。
 本作はピアノを中心にさまざまな楽器のオーバーダビングも交えた構成。
 いずれの楽器も美しい音、美しいフレーズ。
 クラシック、スパニッシュその他が混ざり合う独特の瑞々しいギターはもちろん、半数ぐらいでフィーチャーされるピアノがこれまた絶品。
 リリカルながら疾走感のある素晴らしい音使い。
 とても素敵なギターとピアノのDuoがいくつも。
 バンドOregonではピアノを多用しているので余芸ではないのでしょうが、ソロ作品ではあまり弾かないので貴重。
 シンセサイザーとのDuoは後の作品にありますが、ピアノとのDuoがたくさん聞けるのはこのアルバムだけなのでしょう。
 締めにピアノソロも一曲、それがまたカッコいい。
 全曲オリジナル、穏やかながら哀感の漂う美しいメランコリックな楽曲揃い。
 漂うようなバラードから強烈な疾走感のアップテンポまで。
 いろんな情景が現れては消えていくような展開。
 基本的に静謐なムードだけに想像力を掻き立てる音。
 例によって、氷のように透明、冷たく鋭い系の音ではあるのですが、本アルバムは落ち着いていて穏やかなイメージ。
 タイトルそのまま、普段の日常を表現しようとしたのかもしれません。
 そんなさりげないムードの名作。




posted by H.A.