"Cribas" (2006) Mono Fontana
Mono Fontana (piano, etc.) and others

Cribas
モノ・フォンタナ

2007-05-18


 アルゼンチン音響派のピアニスト。
 穏やかなピアノの周囲をさまざまな効果音が絡む構成。
 時計の音、靴音、ドアの閉まる音、椅子のきしむ音などの生活音。
 話し声、朗読・・・その他もろもろ。
 タイトルは「検査官」って意味のようですので、その情景を描こうとしたのでしょう。 たぶん。
 さりげなくて、ふわふわとしていて、コミカルなようで、哀感が漂うメロディ。
 ジャズの香りも強いピアノ。
 Paul Bleyあたりの雰囲気。
 それをもっと丸くしたような音使い。
 内省的なようでどこか冷めた質感。
 生活感があるようで、世間を拒絶しているようなムード。
 これを厭世感ととらえるか、淡々とした通常の人間個人の営みと感じるか?
 展開は予測不可能。
 グラデーションをつけながら、徐々に、次々と場面が変わっていくような展開。
 それでも穏やかな音。
 ピアノによる演劇、あるいは音による情景描写。
 音楽で○○○を表現、○○○にインスパイアされて・・・というより、あくまで情景描写優先。
 これは新しい行き方でしょう。




posted by H.A.