“Tati” (2004) Enrico Rava
Enrico Rava (trumpet)
Stefano Bollani (piano) Paul Motian (drums)

Tati
Enrico Rava
Ecm Records
エンリコ ラバ


 Enrico Rava、ECM復帰第二作はベースレスの変則トリオ、バラード集。
 Paul Motianとのセッションは初めてでしょうかね。
 この時期のPaul Motian、ビートが定まらない浮遊感の強い音を作る際にはピッタリの人。
 まさにそんな音。
 ピアノとトランペットの漂うようなDuo演奏に対してアクセントをつけていく役回り。
 スローバラード中心。 ビートは全て止まりそうで止まらないようなルバート。
 終始フワフワと漂うような浮遊感。
 舞い落ちるような美しいピアノの音、不定期に低く響くシンバルの音を背景にして、Enrico Ravaが静かに吹く、終始そんな音。
 Stefano Bollaniのピアノ、自身のリーダー作ではオーソドックスにまとまる印象が強いのですが、この種のビートが曖昧で抽象度が少し高い、静かな演奏が一番カッコいいようにも思います。
 Enrico Ravaは静かながら堂々とした貫禄の吹きっぷり。
 周りがどうあろうが、時折の激情を交えながらも、淡々とメロディを紡いでいきます。
 ニヒルでハードボイルド。
 スタンダード一曲を除いて全てオリジナル。
 淡い寂寥感が漂うメロディばかり。
 後半になると少しビート感が上がり、フリーな演奏もありますが、ベースレスゆえの不思議な浮遊感は消えません。
 Enrico RavaのカッコよさとECMのカッコよさがいいバランスで混ざり合う佳作、素晴らしいアルバム。




posted by H.A.