“Cantando” (2007) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Cantando (Ocrd)
Bobo Stenson
Ecm Records
ボボ ステンソン


 Bobo Stenson、若手ドラマーを迎えた新トリオでのアルバム。
 本作も前作“Goodbye” (2005)同様、強い浮遊感、かつメロディアスな静音ジャズ。
 ドラマーが変わっても、ビートを作るのはAnders Jormin。ドラムは自由にアクセントを加えていくスタイル。
 Bobo Stenson、Anders Jorminコンビのスタイルなのでしょう。
 本作も多彩な楽曲群。
 いつものOrnette Colemanに加えてDon Cherry、クラシック曲、さらにはAstor Piazzollaまで。
 前作にも増してメロディアスな楽曲揃い。
 本作では、フリーインプロビゼーションのイメージではなく、テーマ~インプロビゼーションのオーソドックスなジャズのスタイルが目立ちます。
 何曲もカバーしているキューバのSilvio Rodríguezの哀愁曲からスタート。
 美しいメロディの芯の周辺を漂うような、絡みつくような美しいピアノ。
 バンドの浮遊感は前作同様、インプロビゼーションのまとまりは本作の方が上かもしれません。
 スローテンポではたっぷりとしたタメを効かせて漂うような音、穏やかな高揚感。
 テンポが上がれば強烈な加速感、疾走感。 時折のスケールアウトが醸し出す妖しいムード。
 一部に長尺なフリーインプロビゼーションもありますが、あくまで静かな演奏。
 オーソドックスではないにせよ、抽象度の高い演奏が減少し、聞きやすくもなっているように思います。
 名作です。
 静音系、浮遊感系のBobo Stensonならば、本作がイチオシかもしれません。




posted by H.A.