“Visions” (Apl.1983) Shankar

Shankar (10-string double violin, drum machine)
Jan Garbarek (soprano, tenor saxophone) Palle Mikkelborg (trumpet, fluegelhorn)


“Song for Everyone” (Sep.1984) L. Shankar
Shankar (10-string double violin, drum machine)
Jan Garbarek (soprano, tenor saxophone) Zakir Hussain (tabla, congas) Trilok Gurtu (percussion)

Vision
Lakshminarayana Shankar
Ecm Import


song for everyone
shankar
ecm
シャンカール


 インドのバイオリニストShankar、ECM作品、Jan Garbarek参加の二作。 
 ShankarはECMで既に録音済。
 Manfred Eicher得意のエスニックな音とジャズの融合。

 “Visions” (Apl.1983)はヨーロピアンジャズの管楽器二名を迎えての幻想的な音楽。
 インド独特の不思議な音階、不思議なバイオリン、ピチカートの瑞々しい音。
 さらに低くdrum machineの音が鳴り響く空間。ヴィィィーンってやつです。
 それらの不思議な音を背景にして、ジャズの二人が穏やかなインプロビゼーション。
 幻想的な空間に穏やかな響く管の音。
 三人ともあくまで静かな音使い。
 これまたインド独特のリズム、穏やかなビート感。
 さらに進むとdrum machineとバイオリンが奏でる幻想的な音・・・
 全曲オリジナル、インプロ含めて時折Ornette Colemanっぽいメロディが出てくるのも面白いところ。
 西洋音楽とは違う音使い、非日常的な音。
 でも穏やか。
 いかにもインドな瞑想的な音楽。

 “Song for Everyone” (Sep.1984)はインドエスニックなコンテンポラリージャズ。
 Zakir Hussain 含めて、John McLaughlin のバンド“Shakti”の人たち。 
 冒頭は”Dresden” (2007) Jan Garbarekでカバーされていた、エキサイティングな”Paper Nut”。
 緊張感が漂うメロディがいかにもJan Garbarekにピッタリ。
 が、全体ではまずまず穏やか、優しい感じ。
 バイオリンとサックスのインタープレーは激しいのですが、キツくもなく緩くもなく、程よいバランス。
 全てShankarのオリジナル曲。
 明るく、わかりやすいメロディが中心。
 タブラとパーカッションが織りなすエスニックで複雑で不思議なビートとの組み合わせがこれまたいいバランス。
 Shankarのバイオリンは、常に前面に出るわけではありませんが、エフェクターも絡めながら、変幻自在、縦横無尽な音使い。
 強烈ですが、わかりやすくて明るい色合い。
 Jan Garbarekはいろんな色合いが交錯しますが、全体的には優しいモードなように思います。
 難解でも深刻でもない、むしろ明るいエスニック系コンテンポラリージャズの佳作。

 Jan Garbarek、優しい音になる過渡期、また、メロディラインも後のオリジナル作品に似ているような気もします。
 後にも穏やかな参加作“Making Music” (Dec.1986) Zakir Hussainがあり、 作曲含めて、Shankar、インド系の人たちの穏やかな音の影響を受け、吸収したのかも?
 とても激しい前のセッション”Wayfarer” (Mar.1983)と、次のセッション“It's OK To Listen To The Gray Voice” (Dec.1984)の優しい音の落差、後の穏やかで幻想的な音を考えるとなおさら・・・
 さて・・・? 





posted by H.A.