“The Widow In The Window” (Feb.1990) Kenny Wheeler Quintet
Kenny Wheeler (Flugelhorn, Trumpet)
Dave Holland (Bass) Peter Erskine (Drums) John Abercrombie (Guitar) John Taylor (Piano)

Widow in the Window
Kenny Wheeler
Ecm Import

ケニー ホイーラー

 Kenny Wheeler の大人なジャズ。
 アバンギャルド風味もなければ極度の緊張感もない、しっとりとしたジャズ。
 バラード中心、メランコリックなオリジナル曲を淡々と演奏。
 メンバーは超一流の人たち。
 決して派手なことはしない、むしろ静かな質感なのに、一つ一つの音、そして全体の空気に只者ではない感が漂う凄み。
 美しいピアノ、浮遊感の強いギター、強い推進力、静かなグルーヴを作る、でも決して出しゃばらないリズム陣。
 寂寥感の強いメロディ。
 そんな音空間の中で、饒舌過ぎないトランペットが時折の激情を交えながら何かを語る・・・
 大人数のホーン隊を加えた力作“Music For Large & Small Ensembles”(1990)のセッションのついでに録音した作品なのかもしれません。
 それ、あるいは名作“Gnu High” (Jun.1975)、“Deer Wan” (1977)はもちろん素晴らしいのだけども、このアルバムの何気ない上質感も勝るとも劣らず。
 クールなヨーロピアンジャズの好アルバム。
 John Abercrombie視点で見れば、転機とも思える“Deer Wan” (1977)以来の共演。
 ここでは強いエフェクティングも変わったフレーズも全くなし。すっかり落ち着いたジャズギター。
 でも普通のジャズギターとは一味違う浮遊感、逆に沈み込むような雰囲気はそのまま。
 次はジャズっぽくないギターの“While We're Young” (Jun.1992)へと続きます。




posted by H.A.