“First Circle” (1984) Pat Metheny Group
Pat Metheny (guitars,synclavier guitar,guitar synthesizer)
Lyle Mays (trumpet, synthesizers, piano, organ, bells) Steve Rodby (acoustic bass, bass guitar, drum) Paul Wertico (drums, percussion)
Pedro Aznar (voice, guitar, percussion) 

First Circle
Pat Metheny
Ecm

パット メセニー


 Pat Metheny、ECM最終作。
 パーカッションNana Vasconcelos、さらにドラマーが交代。
 オリジナルメンバーはLyle Maysだけになり、後の布陣が固まった作品。
 後続の二作“Still Life (Talking)” (1987)、“Letter from Home” (1989)と合わせてブラジル三部作と呼ばれているようです。
 確かにボイスやメロディがブラジルっぽい曲はあるし、もろブラジル風のボーカル曲もあるけど、全体的なリズム、雰囲気はそれほどブラジル的とは感じないかなあ・・・。
 何曲かのヒタヒタと静かに迫ってくるようなビート感がブラジルテイストを吸収~消化した新機軸、以降のサウンドのベースができた、といえばそうかもしれません。
 全体的には前作“Offramp”(1981)と同様、今までやってきたこと、これからやりたいこと諸々を試している過渡期のようにも感じます。
 前向きな爽やか系フュージョン、ロック的フュージョン、泣きのギターシンセ、静謐なアコースティックギター、アバンギャルド、ドラマチックな編曲、浮遊感の強いブラジル的な音、等々、なんでもあり。
 これだけ諸々集めても何故か作品としてまとまっているのも、すごいバランス感覚、あるいはグループとしての芯が明確だからなんでしょうね。
 2016年の目線から見ると、1984年まで、そしてその後数年の集大成、Pat Metheny Groupの総合カタログ的作品になっているように思います。
 その意味でも最高傑作とする人が少なくないのかな?
 納得です。





 さて、ところでECMレコードとPat Methenyってフィットしていたんだろうか?
 才能を見出したのはManfred Eicherの慧眼なのだろうけども、ECM的か、と問われれば違うように。
 同じアメリカ人でもKeith Jarrett, Steve Kuhn, John Abercrombieなどはそこそこヨーロッパの香りがする作品もあると思うのだけども、Patの作品はあくまでアメリカン。クラシック臭がないからでしょうかね。
 でも多大な影響を受けたと思われるEberhard Weber、あるいはブラジリアンNana Vasconcelosとの接点はECMが作った?のだろうし、透明度の高い音作りもECMならでは。
 やはりECMなしではPat Methenyサウンドは無かったのだろうなあ。
 レーベル移籍の理由は、ギターのエコーを抑えてくれなかったから云々・・・と読んだ記憶があるのだけども、真偽のほどはさておき、これまでの作品、後の作品を鑑みると、いい出会いであり、いい別れだったのでしょう。

posted by H.A.