“Into The Silence” (2015) Avishai Cohen
Avishai Cohen (trumpet)
Yonathan Avishai (piano) Eric Revis (double bass) Nasheet Waits (drum) Bill McHenry (tenor sax)

into the silence
avishai cohen
ecm
2016-01-29
アヴィシャイ コーエン

 イスラエルのトランぺッター、ECM移籍第一作。
 既に作品はたくさんありますが、ECMから出すとなると、かつての“The Trumpet Player” (2001)のようなテンション高い系ジャズでくるのか、近年の“Flood” (2008)のような穏やかなワールドミュージック路線でくるのか、あるいはThird World Loveのような楽曲重視路線でくるのか、予想できないところ。
 結果は意外にも抑制されたコンテンポラリージャズ路線。
 "Flood", "Third World Love"の間くらいかもしれません。
 リズム隊がビシバシ決めて、バリバリと吹きまくる“The Trumpet Player” (2001)とは違う音。
 難解さはありませんが、淡い色合い、しっとり度、抽象度が高い感じでしょう。
 全曲オリジナル。
 エキゾチシズムは流れていますが、ECM的な過激さ、フリー色もありません。
 緊張感もそれほど強くなく、むしろ穏やかな印象。
 不思議系のメロディですが、終始流れる哀感。ほのかに明るいムード、郷愁感のイメージ。
 冒頭はゆったりとしたリズムの穏やかなバラード。
 Miles Davisのようなミュート、余裕のインプロビゼーション。
 二曲目はピアノを中心とした長尺なルバートでのスローバラードから、徐々にハイテンションに。
 テンションは上がりますが、こちらも終始穏やかな表情。
 そんなゆったりとした穏やかな演奏中心。 
 テーマ~順次にアドリブ、ではなく、バンド全員が複雑に絡み合いながら徐々に盛り上げていく近年のコンテンポラリージャスに多いスタイル。
 もちろん強いビートの曲もありますが、ドラマチックなバラード演奏の方が印象に残ります。
 フロントの管楽器2名も強烈に吹く場面はありません。
 他のメンバーも強烈に自己主張することなく手堅いサポート。
 あくまでアンサンブル中心。
 スーパー・トランぺッター、まずは手堅いECM初作、といったところ。 




posted by H.A.