“The Köln Concert” (Jan.1975) Keith Jarrett
Keith Jarrett (piano)

The Koln Concert
Keith Jarrett
Ecm Records

キース ジャレット

 これが世間的には彼の最高傑作なのでしょう。マニアな私も全く異論はありません。
 この時代のKeith Jarrettの「様式美」の最高峰。
 ピアノミュージックの最高峰のひとつというのは過言なのでしょうか。
 クラシックのことはわかりませんが、少なくともジャズ~ポピュラーの世界ではそう思います。
 “Solo Concerts:Bremen and Lausanne” (1973)で表出された様式が磨き上げられ、その美しさがピークに、“Sun Bear Concerts” (1976)ではそのピークが維持されたまま素晴らしい演奏を量産。
 “Death and the Flower”(Oct.1974)のようなこの時期のグループの作品でも同様の様式がいくつか。
 ピアノの切れ味も同様のピーク状態が続く、といった時期でしょうか。
 その中での最高の演奏。

 とてつもなく美しい冒頭テーマ。
 そのテーマに導かれ、次から次へと繰り広げられる物語。
 あざといまでのドラマチックな構成。
 迷いが全く感じられないインプロビゼーション、時折現れる切なく激しいパッセージ。
 とめどなく現れては消えていく美しいフレーズ。
 そして、だんだんとテンポを上げ、最後はゴスペルチックなリフレイン、高揚感~穏やかな安堵感の締めくくり。
 全編通して聞けば、何本かの映画を見た気分。
 幾通りもの美しいメロディ、完璧ともいえる起承転結。
 これが本当に全編インプロビゼーションだとすれば、Keithは本当に天才で、当日は本当に神が下りてきたのでしょう。




posted by H.A.