“Arcade” (Dec.1978),
“John Abercrombie Quartet” (Nov.1979),
“M” (Nov.1980)  John Abercrombie Quartet
John Abercrombie (Guitar)
Richard Beirach (piano) George Mraz (bass) Peter Donald (drums)

The First Quartet
John Abercrombie
Ecm Records
2015-12-04
ジョン アバクロンビー

 いよいよ完成した?John Abercrombieの音楽、全て名作。
 John Abercrombie がRichie Beirach他のピアノトリオを従えた3部作。
 “Arcade”を除けば長らく廃盤だったアルバム。普通に手に入るようになったことはうれしい限り。
 特に“John Abercrombie Quartet”はJohn Abercrombieの最高傑作でしょう。たぶん。
 あの素晴らしいジャケットがないのがとても残念ですが・・・
 美しさ、妖しさ、浮遊感、昂揚感・・・その他諸々揃った素晴らしい作品。
 さてこの三作、いずれも同質、オーソドックス~フリージャズの中間からオーソドックス寄り。
 あえて違いを挙げれば、
   端正な“Arcade”
   激しい“John Abercrombie Quartet”
   妖しい“M”
ってなイメージ。
 基本的にはシンプルなアコースティックなサウンド。
 もちろんギターはエレクトリック中心ですが、ディストーションは抑え目。
 ナチュラルトーン、艶やかで、張り詰めていて、触ると弾けてしまいそうな緊張感の強い音使い。
 全体的にはキレイでわかりやすく、かといって平和なモダンジャズ的な演奏でもない。
 幽玄、内省的、耽美的といったイメージだけど、終始攻撃的。
 各者の音が絡み合いながら漂うようなリズムで展開する妖しげなイントロ、リズムが定まると一転、激しいインプロへ展開・・・概ねこのイメージかな。ルバートでのバラード展開もたくさん。
 クラシックの香りときらびやかで緊張感のあるRichard Beirachのピアノと、艶やかで浮遊感のあるギターの組み合わせは極上。
 カチッとした輪郭の構造物の周囲を、艶々としたシャボン玉が次々と現われ、浮遊し、消えていくイメージ。
 ベースのGeorge Mrazは言わずもがな、さらにドラムのPeter Donaldがフロント陣を煽りまくり、叩きまくり。
 そして全編を覆うダークなムード。
 健全でさわやかなイメージのPat Methenyに対して、Abercrombieさんは妖しくて日陰なイメージ。
 キレイな音楽だけどもニヒルな感じ。
 不良っぽくてカッコいいなあ。




posted by H.A.