“Lachrimae” (2003) Andre Mehmari
Andre Mehmari (paino)
Sergio Reza, Rogerio Boccato (drums) Celio Barros, Ze Alexandre Cavalho, Neymar Dias (bass) Monica Salmaso (Voice) Domios Goudaroulis (cello) Luca Raele (Clarinet)

アンドレ メマ

 ブラジルのピアニストAndre Mehmari、ピアノトリオを中心とした初期の作品。
 ジャズ的ではあるものの、フォルクローレ、ミナス、その他が入り混じった、南米的な郷愁が滲み出す音楽。
 とても優しいピアノ。
 決して強くは弾かない。
 繊細なタッチ、フレーズの先頭がほんのわずかに遅れながら立ち上がってくるように聞こえる、あるいは丸く聞こえる柔らかな音。
 柔らかな揺れ、柔らかなグルーヴ。
 ここでは後年の一時期に感じたKeith JarrettEgberto Gismontiの影はありません。
 むしろこちらの方が彼の自然なスタイルなのでしょう。
 端的にジャズ的ではなくクラシック的でもない、おそらく両者をうまく消化し、ブラジル、ミナス?の空気の中で醸成した人の音。
 彼ならではの色合いのピアノ。
 半数はブラジルの巨匠からの選曲。自然でオーソドックスな感じのアレンジなのに、オリジナリティを感じる素晴らしいカバー。
 この人、唯一無二のとても優しい演奏。
 そして、巨匠の名曲に並ぶような、優雅でセンチメンタルなオリジナル曲。
 さらにとても印象的に、とても慎ましやかに入るvoice、clarinet、cello、・・・全てから滲み出す郷愁感。
 ほんのり温かい音。遠い目をしたような音。
 タイトルの“Lachrimae:ラクリメ”は、ラテン語で「涙」の意味のようですね(?)。
 これは大傑作。




posted by H.A.