“Saxophone Colossus” (1956) Sonny Rollins
Sonny Rollins (Tenor Saxophone)
Doug Watkins (Bass) Max Roach (Drums) Tommy Flanagan (Piano)

ソニー ロリンズ

 「モダンジャズ」の最高峰。
 ランキングNo.1、東の筆頭横綱はこのアルバムで決まりでしょう。
 もちろん異論もあるでしょう。人それぞれ。
 でも「モダンジャズ」に必要な要素が全部揃い、かつ無駄なものが一切無いのがこのアルバム。
 贅肉をそぎ落とし、絞り込まれたものの凄み、美しさ。
 にぎやかだけどロマンチックでもあり、リラックスもできるけども、ハードボイルド。

 まずドラムがなければ「モダンジャズ」は始まりません。
 ハイハットが”ンチャンチャ”と鳴ってビートを作り、自在にアクセントを入れる、これがないとスイングしません。
 でもそれだけだと足踏み状態。
 歩くように音を出さないとビートが前に進みません。
 余分な音は邪魔ですから、4拍ずつの音だけをコードに合わせて入れましょう。
 さて、揺れながら前に進むビートができました。
 次はメロディ。ついでにコードも出してもらいましょう。
 ギター?ちょっと辛気臭いなあ・・・。もうちょっと華やかなヤツ。電気が無くても聞こえるヤツ。
 ピアノですね。コロコロ転がるような音が入ると華やかでいいなあ。
 でもこれでだけだとちょっと単調ですね。ずっとピアノの音ばかりだとね。周りがうるさいと聞こえないし。
 フォーンを入れましょう。
 酒場で流す「モダンジャズ」なんだから男臭くないと。もちろん夜っぽいやつね。
 トランペット?華やかだけど線が細い・・・アルトサックス?女性っぽいし・・・クラリネット?優しすぎるし古臭いなあ・・・。
 ここは、テナー・サクソフォーンしかないでしょう。それもぶっとい音のやつ。「モダンジャズ」はハードボイルドでないとね。
 他? お金もないし、音合わせるの面倒だからこれでOK。
 最初は景気づけに元気のいいやつね。あと、アップテンポばかりだとチークタイムできないからバラード混ぜてね。一曲だけでいいから、グッとくるやつね。後は適当にやっといて・・・・・・。

 さて、そんなアルバムは?・・・・・・ほら、やっぱりこれですね。
(あの懐かしい片岡義男風帰納法にて。)




posted by H.A.