”Piano” (2004) Leszek Mozdzer
Leszek Mozdzer (Piano)

Piano
Leszek Mozdzer
Arms
2005-02-24
レシェック モジジェル

 ポーランドのピアニストLeszek Mozdzer、前掲のトリオ“The Time”(2005)より少し前のピアノソロ作品。
 やはり氷のように透明、クールで鋭利、凄まじい切れ味のピアノ。
 高音などは「パキパキ、ピキピキ」といった響き。
 こんなピアノは聞いたことがない。
 私が知る限りこの人だけ。
 スローでも時折現れる早いパッセージにドキッとするわ、フレーズの一つ一つに強烈な加速感があるわ、弾きだすとどこまで行くのかわからないような疾走感。
 近年のソロ作”Komeda”(2011)がポーランドの作曲家の作品集であったことに対して、こちらはオリジナル曲、お気に入り?の曲、インプロビゼーション集。
 彼の自然な姿が一番出ているのでしょう。
 例によってジャズ的ではないし、個々のインプロビゼーションの起承転結感は薄いのだけども、ここまで凄いと何も申し上げることはございません。
 ぶっ飛んだジャケットのポートレートのように音もぶっ飛んでいます。
 これまたポートレートのように現代的でとんがっています。
 あの”So What”も取り上げていますが、もう骨だけ状態、”On Green Dolphin Street”はイルカの開き状態。
 かといって、過度に過激で難解ではなく、あくまで美しく、それもとてつもなく美しく、上品です。
 ピアノの音の美しさに加えて、クラシックの空気感が常に流れているからでしょうか。
 それでいて十分にグルーヴィー。
 などなど含めて、心地よいことこの上なし。
 ピアノの音を存分に浴びたいときには最高、最適なアルバム。
 Leszek Mozdzer、客演含めて素晴らしいアルバムがたくさんありますが、これがイチオシかもしれません。 




posted by H.A.