“The Time”(2005)Leszek Mozdzer, Lars Danielson, Zohar Fresco
Leszek Mozdzer (piano) Lars Danielsson (bass, cello) Zohar Fresco (perc.)

The Time
Leszek Mozdzer
Imports
2015-10-23
レシェック モジジェル
ラーシュ ダニエルソン


 ポーランドのピアニストLeszek MozdzerとスウェーデンのベーシストLars Danielsson、イスラエルのパーカッショニストZohar Frescoによるピアノトリオ。
 Leszek Mozdzerは強烈なスピード感、この上もなく鋭いタッチ、美しい音を出す稀代のスタイリスト。
 とてつもなくいいピアノなのだけれども、リーダー作はクラシック色が強かったり、インプロビゼーションのスペースが抑え目だったり。Jazzファンとしてはエキサイティングなインプロビゼーションも聞きたいところ。
 そこでピアノが前面に出たインプロビゼーションを期待しつつ、このトリオ。
 極度な透明感、この世のものとは思えないような美しさ、そして鋭いピアノの音、乾いた音色のパーカッション、これは来たかも?
 ところが一筋縄ではいきません。
 順にソロを回すオーソドックスなジャズのスタイルではなく、アンサンブル中心。
 Lars Danielssonの激甘系の曲で、長尺のピアノソロが展開されるとものすごくカッコよさそうなのだけども、残念ながらピアノのソロスペースは少なめ。
 さておき、上品で落ち着いた質感、佳曲満載。
 ヨーロッパ的な美しさ、もの悲しさ、ほの暗さ、妖しさがうまくブレンドされている素晴らしい音楽であることは確か。
 寂寥感、哀愁感が漂う楽曲、一つ一つが物語のような質感。
 Leszek Mozdzer,Zohar Frescoの曲の少しエキゾチックで妖しげなムード、そしてLars Danielsonの甘いメロディ。
 アルバム全体が何かのドラマ。
 これもLars Danielsonの諸作と同様「哀愁小説ジャズ」ですねえ。
 普通のモダンジャズとはひと味もふた味も違う、素敵なピアノトリオ。
 超絶なインプロビゼーションへの期待は抑えて、最高に美しいピアノ、最高のアンサンブル、癒される音楽を聴きましょうかね。


  



posted by H.A.