“Midwest” (2014) Mathias Eick
Mathias Eick (trumpet)
Gjermund Larsen (violin) Jon Balke (piano) Mats Eilertsen (bass) Helge Norbakken (percussion)

Midwest
Mathias Eick
Ecm Records
2015-05-18
マティアス アイク

 ノルウェーの哀愁のトランぺッター、久々の新譜。
 いかにも今風の北欧的コンテンポラリージャズ。
 ECMで北欧と言えば寒そうだったり、暗そうだったりのイメージだけども、明るいのが今風。
 もちろん元気いっぱいでドカーンとやるわけではなく、北欧ジャズらしく全編に上品な寂寥感が漂っているのだけど、なぜか全体の印象は明るく軽快。
 秋でも冬でもなく、春っぽい感じ。
 同郷のギタリストJacob Young の“Evening Falls”(2002)あたりも似たような感じ。
 近年のノルウェーの雰囲気がこんな感じなのかな?
 何作かあるリーダー作はどれもいいアルバムですが、今作はヨーロッパ系妖しい系の大御所Jon Balkeのピアノ、さらにバイオリンを加えたバンド。
 さて、どんな妖しい音になるのやら、と思いきや、意外にも健全な感じ。
 バラード中心だけど明るめの曲、雰囲気は今まで通り。
 バイオリンがクラシックぽっくなく、また、毒気もあまりない素直な感じ。
 また、Jon Balkeもあまり強く主張することなく控えめなサポート。
 何曲かで弾くソロが流石に只者では無い感が漂うだけに少々もったいない感じ。
 さておき、リーダーは相変わらずの淡々とした流麗な吹きっぷり。
 甘すぎず難解すぎない少々妖し目のオリジナル曲。
 結果、リーダーの色合いが強い、いつも通りの冷たすぎず、熱すぎない音楽。
 見えてくるのはのどかで平和だけど少し寂しげな感じの景色。
 前作までに比べるとジャズ色がさらに薄らぎ、メロディ、演奏がよりわかりやすくなり、よりフォーキーな感じが強い。
 ノルウェーの伝統音楽の色が強いのでしょう?
 いずれにしても演奏している人たちはジャズとかロックとかカテゴリなど意識せずに自然体でやっているのでしょう。
 21世紀型ECMサウンド、その典型のひとつ。



posted by H.A.