“Imaginary Cities” (2014) Chris Potter Underground Orchestra
Chris Potter (sax)
Adam Rogers (guitar) Craig Taborn (piano) Steve Nelson (vibraphone,marimba) Fima Ephron (bass) Scott Colley (bass) Nate Smith (drums) Mark Feldman (violin) Joyce Hammann (violin) Lois Martin (viola) David Egger (cello)
  
Imaginary Cities
Chris Potter
Ecm Records
2015-01-13
クリス ポッター

 あちこちで引っ張りダコの人気サックス奏者Chris Potterの最新作。
 オールスターのコンボ+ストリングスの豪華版。
 音圧の強い激烈系の音楽が得意な人のイメージが強かったのですが、本作はストリングス絡みのバラードからスタート。
 沈痛な面持ちのクラシック風なイントロからメロディアスなジャズバラードへ展開。
 意外にもこれがいい感じ。
 ストリングスにも過激系の人がいるだけに気難しい系かと思いきや、不思議なぐらいオーソドックス。
 もちろんサックスは相変わらずの音圧強い系で、これでもかこれでもかと畳みかけてくるようなドラマチックなバラード。
 なんだ、バラード集だったの?と安心するのも束の間、だんだん激しくなっていくのですが、ほどほどなハードさで、小難しい系ではありません。
 いろんなバンドで演奏して来た人だけに音のイメージも多彩。
 ビブラフォンやベースがフィーチャーされるとDave Hollandのバンドの様でもあるし、ギターが前面に出ると今風のロック、ファンク色の強い?自身のバンドの様でもあるし、Pat Methenyのバンドっぽくもあるし。
 コンボのメンバーも好演。
 が、いずれの名手にもあまりスペースが大きくないのが少々もったいない感じではあります。
 ストリングスも適度に緊張感を加えるアンサンブル中心。
 現代音楽的な複雑な感じでも、激甘なムードを醸し出すスタイルでもありません。
 悲しげな表情の曲、全体を通じて音圧が高く、緊張感も強いのですが、何故かあっけらかんと明るい感じ。
 リーダーのキャラクターがそうなのかもしれませんが、ドラマーが終始カラッとした今風のビートを繰り出しており、そのイメージが強いのでしょうか?
 結果、繊細で神経質な感じのECMらしさは薄く、ちょっと激しい系のアメリカ的コンテンポラリージャズ。
 リラックスしてダラりと聞ける感じの音ではありませんが、あまり行き過ぎない程度、ほどほどにハードな音を聞きたいときにはピッタリ。
 暑いこれからの季節には向かないかも、ですが・・・
 さておき、これを機にギターのAdam RogersがECMレーベルからJazz色が強いアルバムを出してくれると嬉しいな、と思うのはファンの無謀な望みかな?




posted by H.A.