“1969Miles”、”Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969” (1969) Miles Davis
 Miles Davis (trumpet)
Jack Dejohnette (drum) Wayne Shorter (sax) Chick Corea(piano) Dave Holland (bass)
 
1969マイルス
マイルス デイヴィス
ソニー・ミュージックレコーズ
1993-10-09
マイルス・デイビス
Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969
Miles Davis
Sony Legacy
2013-01-29




 泣く子も黙る“Bitches Brew”(Aug.19-21,1969)前夜のMilesバンドのライブ盤。
 これは文句なしにスゴイ。
 爆発的な演奏。
 私にとってのBest of Milesはこれ、“1969Miles”。
 以前は“Miles Davis At Fillmore(公式版)”(Jun.1970)が一番と答えていたのですが、これが発表されてからは迷いなくこれ。
 (後に出た“Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time”(Mar.7,1970) にはさらにぶっ飛びましたが・・・) 
 アコースティックからエレクトリックへの移行期で、アコースティック時代の演奏をアグレッシブにした感じ。
 Bitch’s Brewと比べるとかなりJazz的なのだけども、もっとアグレッシブな印象。
 諸々の試行、メンバーチェンジを経ながら、”Bitches Brew”のイメージが出来上がりつつある過渡期なのでしょうか。
 洗練された”Bitches Brew”よりも荒々しく、また、アコースティック時代の強い名残、過渡期ならではの危ういバランス感が絶妙。
 各メンバーとも絶好調で、冒頭曲Directionからエネルギー全開。
 Jack Dejohnetteがこれでもかと叩きまくる上で、Miles、Wayneがフルボリュームでブチ切れたソロを展開。
 両者とも決して長くないソロですが、激しい系ではベストパフォーマンスでは。
 続くChickのエレピソロも完全にどこかにいっちゃってる状況。
 その後、Milestoneなど、相対的にのどかな感も受ける(十分に激しいですが)懐かしの4ビートチューンなどをはさみながら、”Bitches Brew”の原型も。
 このアルバム、荒っぽさはあるものの、様式に則ったアコースティックJazzが行き着いた高みの一つかも。
 でも、これでもマンネリっぽいから”Bitches Brew”を作っちゃったのかな?
 こんなバンド、二度と出てこないのでしょうね。


 


(追記2016/8/28)

 周辺音源、映像含めた整理。まだ他にもあるのでしょうけど。

 (Jul. 5,1969)  “Bitches Brew Live” /一部 (at the Newport Jazz Festival)
〇(Jul.25,1969)  “at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France”、(”1969Miles”)
〇(Jul.26,1969)  “at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France
 (Aug.19-21,1969) “Bitches Brew”
 (Oct.27,Nov.4,1969) “Live in Copenhagen & Rome 1969” <DVD>
          “Live at the Tivoli Konsertsal, Copenhagen, Denmark” <DVD>
〇(Nov.5,1969)  “at Folkets Hus, Stockholm"
〇(Nov.7,1969)  “Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie" <DVD>
 (Mar.7,1970)  “Live At The Fillmore East (March 7, 1970) - It's About That Time
 (Feb.18,Apl.7,1970) “Jack Johnson" 
 (Apl.10.1970)  “Black Beauty / Miles Davis At Fillmore West”
 (Apl.11.1970)  “Miles At Fillmore(完全版)”/一部
 (Feb.Jun.1970) “Live Evil” /一部 
 (Jun.17-20,1970) “Miles Davis At Fillmore”、”Miles At Fillmore(完全版)” 
 (Aug.18,1970)  “Live at the Berkshire Music Center, Tanglewood, MA
 (Aug.29.1970)  “Bitches Brew Live ”/一部 (at the Isle of Wight Festival) 
 (Dec.16-19.1970) “The Cellar Door Sessions1970” ”Live Evil” /一部


 〇が”Miles Davis Quintet: Live in Europe 1969”に収録されたステージ、(Jul.25,1969)が”1969Miles”。
 但し、”1969Miles”の方が音圧高めのミキシングで、他はスッキリ系。
 元の音源がブートレッグ音質なこともあり、”1969Miles”の方が激烈さが伝わってきてカッコいいのかな?


(Jul.26,1969) “at Festival Mondial du Jazz d’Antibes, La Pinede, Juan-les-Pins, France”
 
 ”1969Miles”の次の日のステージ(Jul.26,1969)も素晴らしい演奏。
 ブチ切れた混沌型”Spanish Key”とか、Wayneが”Super Nova” (Aug.Sep.1969)のテーマを吹き続けた後、狂気のエレピソロが続く”Miles Runs the Voodoo Down”とか、混沌度、激烈度が高いかも?
 いずにしても、どちらも凄まじいステージ。
 なお、Wayneの”Super Nova”のテーマ、前日では"Milestones"の中でテナーで、"It's About That Time"ではソプラノで吹いています。


(Nov.5,1969) “at Folkets Hus, Stockholm"

 ずいぶんスッキリとした印象の音源。
 ちょっと沈んだムードがかえってジャズっぽくて私はお気に入り。
 録音~ミキシングの影響が大きいのだと思うのだけども、その前日の映像(Nov.4,1969) “Live at the Tivoli Konsertsal, Copenhagen, Denmark”<DVD> も同じ印象なのも面白いところ。
 なおエレピがと途中で壊れて(?)、ピアノは冒頭“Bitches Brew” の途中から全てアコースティックなのもレア。
 冒頭はもたもたした感じですが、ピアノが動き出すと一気にハイテンション。
 エレピでないとBitches Brewバンドではない、と言われればその通りで、このシリーズでは異質なのですが、かえって新鮮だったりします。
 Wayneはすっかり”Super Nova”なフリージャズモードだし、静かな混沌の時間になんとも言えない凄み。
 エネルギー放出系の激烈ジャズというよりも、静かなフリージャズといった面持ちで、カッコいいライブだと思います。


(Nov.4,1969) “Berliner Jazztage in the Berlin Philharmonie"

 DVDやYoutubeを追いかけていなかった立場としては、最初に見た際は正直、新鮮な驚きでした。
 この時期のバンドが動いているんだもんね。当たり前か。
 後のKenny Garrettとかがいた時代ライブのDVDなどを見てこんなもんかなあ・・・と思って、DVDには手を出していませんしたが、これは凄い。
 こちらもミキシングの関係か、”1969Miles”のような激烈さは薄いのだけども、逆にクールな凄み。
 Wayneはフリージャズモードに突入したブチ切れたソロですが、Milesは大汗かきながらも常にうつむき加減で冷徹な印象。
 さらに顔色一つ変えずに狂気のエレピを奏でるChickがマッドなサイエンティストっぽくて怖い・・・
 などなど、見ているこちらが緊張してしまう凄いステージ。

 ブートレッグ系はいまだに気まぐれにしか聞けていないのだけども、聞きだすとはまりますねえ。
 ま、公式アルバムすら全部聞けていない立場としては、時間をかけてゆっくりと。


posted by H.A.