“The Sign”(2002)Carsten Dahl
Carsten Dahl (Piano)
Arild Andersen (Bass) Patrice Heral (Drums)

The Sign
Carsten Dahl
Stunt
2002-10-15
カーステン ダール 
アリルド アンデルセン 


 デンマークのピアニストCarsten Dahlを中心としたピアノトリオ
 スタンダードを演奏したアルバムは人気だったと思いますが、これは全てオリジナル曲を収録したアルバム。
 Carsten Dahl は、Keith Jarrettの影響を端々に感じさせつつも、ヨーロピアンならではの奥深さ、上品さ、さらに怪しさ兼ね備えた名人。
 ベースはド派手な音を展開するヨーロピアンArild Andersen。
 この二人が揃うとどんな音楽でもカッコよくなりそうですが、このアルバムでは、美しく、もの悲しく、怪しいオリジナル曲を、時にアグレッシブに、時に深く美しく奏でていきます。
 フリージャズ的と言えばそうですが、決して難解ではなく、とにかく美しい、そしてエキサイティング。
 冒頭曲にそのエッセンスが詰め込まれています。
 ゆったりとしたテンポ、深い音のベースと、エコーがたっぷりと効いた録音の美しいピアノが絡み合う深遠なイントロから始まり、次第にテンポを上げるベースに牽引されながらペースアップ、気がつけばドラムにも煽られながら、アグレッシブなフレーズを連発するエキサイティングな演奏に変化していきます。
 テンポが上がった後は、強烈なグルーブ感に乗って、凄まじいまでのピアノとベースのインプロビゼーション。
 かといってうるさい訳では無く、あくまで上品な演奏。
 以降も全体の質感はぶれないのですが、バラードあり、激甘の美曲あり、ワールドミュージック系あり、フリーあり、シンセサイザーが加わったスペーシーで近未来的なサウンドなど、変化に富んだ演奏が続き、最後まで飽きさせません。
 Keith Jarrettの音楽をさらに美しく、さらにアグレッシブにし、怪しさを加えたうえで現代的にした感じ、と言えば大袈裟でしょうか。
 スタンダード曲を題材にした場合、ここまで凄い演奏にはならないだろうと思います。
 安心して聞ける反面、制約が多すぎて、ここまで美しくもエキサイティングにも深遠にもならないでしょう。
 実際、同じようなメンバーで演奏したスタンダード集とは全く質感の異なる音楽になっています。
 激しく美しいピアノトリオ、その近年の代表盤、だと思います。




 
posted by H.A.