“Live In Berlin” (2007) David Murray
David Murray (tenor saxophone, bass clarinet)
Hamid Drake (drums) Jaribu Shahid (bass) Lafayette Gilchrist (piano)

Live In Berlin
David Murray Quartet
Jazzwerkstatt
2010-11-16
デヴィッド・マレイ

 一番好きなサックス奏者David Murray、ピアノトリオを従えたカルテットでの2010年ライブ盤。
 黒光りするような真っ黒けな音で過激なフレーズを連発するサックス奏者、フリージャズに分類されることも少なくないけども、多くのアルバムは難解ではありません。
 アップテンポではエネルギー爆発、また、バラードは絶品。
 グルーブ感、エネルギー感、昂揚感・興奮感、センチメンタリズム、ハードボイルドネス、加えてアバンギャルドさなど、ジャズのカッコよさを集約したようなミュージシャン。
 そしてこのアルバム、上記のような彼のカッコよさが集約されたような近年作。
 ライブなのですべての曲が長尺ですが、凄まじいまでの演奏が堪能できます。
 ハードボイルドで緊迫感あふれる冒頭曲からぶっ飛ばし、激しく感動的な演奏が続くのですが、特に3曲目が素晴らしい。
 基本的にはバラード、美しくもの悲しい美曲なのですが、前半のバラード演奏から次第にテンポが崩れ始め混沌の世界へ、そしてしばらくの彷徨の後にバラードに戻る、といった展開を繰り返します。
 その間のサックスソロの凄まじいこと。
 さらにフリーテンポでのピアノソロから激しいピアノトリオ、ブチ切れたテナーサックスソロが展開された後、テーマ、バラードに戻ります。
 とにかくドラマチック。
 一曲の中に様々なシーン、ストーリーが展開されていきます。
 曲が終わると一篇のヘビーな映画を見た気分。





posted by H.A.