“Indicum” (2011) Bobo Stenson
Bobo Stenson (piano)
Anders Jormin (bass) Jon Fält (drums)

Indicum
Bobo Trio Stenson
Ecm Records
2012-11-06
ボボ ステンソン

 スウェーデンのベテラン、ECMの看板ピアニストBobo Stensonの2011年盤。
 この人のアルバム、たくさんありますが、どれも美しく深い、いい作品で、どれを選んでも失敗ありません。
 一方、ピアノトリオばかりなので、どれも同じような感じであることも否めません。
 ECMレーベル、同じリーダーでもアルバム1-2枚でメンバーや編成を変えて変化をつけ、それが結構成功していると思うのですが、この人の場合は常にトリオ。たまにドラマーが変わるだけ。
 ベースのAnders Jorminは20年近く不動。
 結果的に音楽の質感はよくも悪くも大きくは変わりません。
 とはいえ、かつてと聞き比べてみると多少の変化。
 少し前にドラマーが若手に代わっているので元気になるかと思いきや、逆に落ち着きが増してきているように思います。
 楽曲は相変わらず美しいのですが、かつてはよく聞かれた長尺のアグレッシブなインプロビゼーションが影をひそめ、淡々とした雰囲気が全編に。
 得意の高速なフレーズは随所に聞かれますが、録音も手伝ってか少々軽い質感。
 得意のアップテンポでの凄まじいまでのアグレッシブな演奏と、止まりそうになりながらタメを十二分に効かせるスローバラードとの明確な対比もあまり聞かれません。
 でもこれが一つの成熟の形なのでしょうね。
 落ち着いた質感。肩の力が抜けた、余裕を感じる穏やかな演奏。
 美しく優しい楽曲。
 美しくも妖しいピアノ、深いベース。
 緩やかなグルーブ感と饒舌過ぎないインプロビゼーション。
 なんだかんだ言っても素晴らしいアルバム。

(※この投稿は2014/05/30から移動しました。)



 リーダー作は少なく、それもトリオのみ。 サポート参加はたくさん。
 曲者のサポートが多いのですが、私が知る限り、多くがいい作品。他にもたくさんあるのでしょう。 
 1970年代前半、Keith Jarrettと並んで?ECM期待の若手だったころ、1980年代のスウェーデン時代、ECM直後まではハイテンション系、“War Orphans” (1997)あたりから、透明感と美しさはそのまま、淡い色合いに変わってきているように思います。
 人脈も素晴らしいので、もっといろんな色合いのオリジナルアルバムを作ってほしかったところ。 
 作曲をあまりしない人ですが、初期の“Underwear” (1971)が素晴らしい出来だっただけに残念なような・・・

(1969)  “One Long String” Red Mitchell 
(1971)  “Listen to the Silence” George Russell 
(1971) “
Underwear” 
(1971)  “Terje Rypdal” Terje Rypdal 
(1971)  “Sart” Jan Garbarek 
(1973) “Witchi-Tai-To” with Jan Garbarek 
(1975) “Dansere” with Jan Garbarek 
(1983)  “The Sounds Around the House” 
(1984)  “Nordic Lights” Anders Jormin 
(1986) “Very Early” 
(1986)  “New Hands” Lars Danielsson 
(1989)  “Fish Out of Water” Charles Lloyd 
(1991)  “Notes from Big Sur” Charles Lloyd 
(1991)  “Poems” Lars Danielsson 
(1993)  “Dona Nostra” Don Cherry 
(1993)  “The Call” Charles Lloyd 
(1993)  “Bosonossa and Other Ballads” Tomasz Stanko 
(1993) “Reflections” 
(1994)  “Matka Joanna” Tomasz Stanko 
(1994)  “Far North” Lars Danielsson 
(1994)  “All My Relations” Charles Lloyd 
(1996)  “Leosia” Tomasz Stanko 
(1996)  “Canto” Charles Lloyd 
(1997)  “Litania:Music of Krzysztof Komeda” Tomasz Stanko 
(1997)  “Live At Visiones” Lars Danielsson 
(1997) “War Orphans” 
(1999) “Serenity” 
(2001)  “Rica” Parish
(2003) “Bobo Stenson/Lennart Aberg”
(2004)  “Parish” Thomas Stronen
(2005) “Goodbye” 
(2007) “Cantando” 
(2011) “Indicum
(2017) “Contra La Indecision


posted by H.A.