吉祥寺JazzSyndicate

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2021年03月

【Disc Review】"Garden of Expression" (2019) Joe Lovano Trio Tapestry

"Garden of Expression" (2019) Joe Lovano Trio Tapestry

Joe Lovano (Saxophone)
Marilyn Crispell (Piano) Carmen Castaldi (Drums)

Garden of Expression
Lovano, Joe -Trio Tapestry-
Ecm
2021-01-29


 Joe Lovano、ベースレスでの変則トリオ。
 “Seeds Of Change” (2018)に続くTrio Tapestryの二作目。
 前作同様、ベテランスタイリストたちの奏でる幽玄な音。
 ゆったりとした漂うようなテンポ、もの悲しいメロディ。
 零れ落ちてくる、あるいは静かな波のように敷き詰められていくピアノ。
 変幻自在に絡みつくパーカッション。
 その中を舞い上がるサックス。
 ゴリゴリのサックスやガンガン叩きつけられるピアノは、今は昔。
 侘び寂び、あるいは悟りな世界。
 フリーインプロビゼーションではなく、テーマを出して展開するジャズの流儀が中心。
 が、自由なムード。
 定まりそうで定まらない揺れ動くビート。
 寄り添うようにカウンターを当て合う三者、崩れそうで崩れない調性。
 余分な力が入らない枯れた感じ、それでいてハードボイルドなムード。
 それらが醸し出す寂寥感・・・
 前作に比べるとフリーな時間が減り、一定のペースを保ちながら揺れ動く時間が増え、特にピアノが美しい波を作る場面が印象に残ります。
 このトリオとしてのアンサンブルが整理されてきたのかもしれませんし、長さではなくそんな演奏が印象に残る流れなのかもしれません。
 いずれにしても名人芸。
 ”Chapel Song”から始まり、締めは10分を超えて揺蕩い続ける“Zen Like”。
 タイトルのイメージ通り、静寂と幻想、余白の多い時間。
 深い。
 美しい。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“Mare Nostrum III” (2016) Paolo Fresu, Richard Galliano, Jan Lundgren

“Mare Nostrum III” (2016) Paolo Fresu, Richard Galliano, Jan Lundgren

Paolo Fresu (trumpet, fluegelhorn) Richard Galliano (accordion, bandoneon, accordina) Jan Lundgren (piano)

MARE NOSTRUM III
FRESU/GALLIANO/LUNDG
ACT
2019-01-19


 ヨーロッパのスタイリストたちのトリオ、三作目、2016年録音。
 メンバーそれぞれの母国で録音する趣旨だったらしく、イタリア“Mare Nostrum” (2007)、フランス“Mare Nostrum II” (2014)ときて、本作はスウェーデン録音。
 場所は違えど、三作とも穏やかで上品、スタイリッシュな音。
 ゆったりとテンポ。
 ドラム、ベースレスゆえの緩やかな浮遊感。
 美しいピアノ、洒落たムードと哀愁を醸し出すアコーディオン、クールなトランペット。
 過剰ではない、控えめでもない、絶妙なバランスのアンサンブル。
 オリジナル曲を中心としつつも、間に挟まれたMichel Legrandやイタリアの哀愁曲が中に溶け込んでしまう、美しい哀愁メロディの連続。
 ECMレコード的な毒気はなく、ひたすら美しくほのかに哀しい、そしてわかりやすい音。
 ベタかなあ・・・とか思ってもいても、はからずとも気持ちが穏やかになる、そんな音の流れ。
 ミュートされたトランペットやときおりのアコーディオンの疾走にジャズだなあ・・・と思いつつも、埃っぽさや汗臭さ、気難しさなしの徹底された洗練。
 さりげないのだけども、これでもかこれでもかと続くほのかな哀愁サウンド。
 紛れもなくスタイリッシュなのに、暖かで懐かしい感じがするのは、このバンドの色合いなのでしょう。
 三作、どれをとってもどこを切り取っても金太郎飴、穏やかで上品、優しくて暖かな音。
 冬が終わった暖かな日の昼下がりあたりにどうぞ・・・
 ・・・って、何年か前の三月にも同じようなこと書いてましたね
 この時候になると思い出す、そんな音のようです。


 

posted by H.A.



【Disc Review】”Flor” (2019) Gretchen Parlato

”Flor” (2019) Gretchen Parlato

Gretchen Parlato (Voice)
Marcel Camargo (Guitar) Artyom Manukyan (Cello) Léo Costa (Drums, Percussion)
Gerald Clayton (Piano) Mark Guiliana (Drums) Airto Moreira (Voice, Percussion) etc.

Flor
Gretchen Parlato
Edition
2021-04-09


 Gretchen Parlato、2021年発表、久々のリーダー作。
 “Live in NYC” (2013)、スタジオ録音では“The Lost And Found” (2010)以来なのでしょう。
 メンバーはブラジリアン中心、ギター、パーカッション、チェロをベースに、楽曲によってゲストが加わる編成、大御所Airto Moreiraも一曲。
 冒頭はブラジル曲。
 ゆったりとしたテンポ、チェロとガットギターが絡み合い、エレピ?が微かな彩をつける繊細な音。
 その中を泳ぐ吐息混じりのウイスパーVoice。
 なるほど、“Veja o Som” (2009-2010) Jovino Santos Netoや“Black Orpheus” (2013) Nilson Mattaなどでの名演がある、妖しいブラジル系の線か・・・、と思いきや、以降、少々印象が異なります。
 クラシックな感じ、往年のニューヨークコンテンポラリージャズな感じ、平和でフォーキーな感じ、ポップスな感じ、さまざまな色合い。
 楽曲もブラジル曲からポップス、J.S.Bach、その他諸々、多種多様。
 メインのカルテットのみでの演奏はクラシックとフォークが混ざり合う感じ。
 その印象が強いのですが、全部合わせて諸作よりも妖しさが薄れて、ポップスにも寄ったイメージでしょうか。
 クラシック&フォーキーな感じを新機軸として、ここまでのさまざまな色合いのショーケース、ってな感じかもしれません。
 いずれにしても、全編静かで柔らかで暖か、とても心地よい耳触り。
 小さな一声で周囲の空気を変えてしまう特別なVoice。
 妖艶ながら優雅で上品、優しく暖かな音。
 さて、今後、どの線で行くのでしょう?
 クラシカル&フォーキー路線か、ブラジリアン路線か、先端ポップスか、ジャズに戻るか?
 私的には妖しく幻想的な南米系に一票。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“Uma Elmo” (2020) Jakob Bro

“Uma Elmo” (2020) Jakob Bro

Jakob Bro (guitar)
Arve Henriksen (trumpet) Jorge Rossy (drums)

Uma Elmo
Jakob Bro
ECM
2021-02-12


 デンマークのギタリストJakob Bro、ECMレコードでの第四作。
 ECMではトリオ二作にワンホーンカルテットときて、本作はベースレス、トランペットとドラムとの変則トリオ。
 トランペットはECM御用達、ノルウェーの寂寥感の塊の人。
 顔ぶれ通り、静かで幻想的な音。
 全編ゆったりとしたテンポ、フリー、あるいはアルペジオが作る線の細いビート、自由にアクセントをつける静かなドラム。
 リバーヴに包まれたクリーントーンのギターが作るフワフワとした空気。
 そんな空間を漂う、サブトーンたっぷり、すすり泣くようなトランペットが奏でる物悲しいメロディ。
 前作“Returnings” (2018)と似た編成ですが、質感は異なります。
 トリオでの生暖かい感じから、温度、湿度が下がった印象の前作よりもさらに温度、湿度が下がった感じ。
 トランペットがデンマークの人からノルウェーの人に北上したからか、ベースのまろやかな支えがないからか、それとも激情な場面はわずかのみ、抽象的な時間が増えたからでしょうか。
 いずれにしても、乳濁色な感じが薄らぎ、シャープになった印象。
 哀しく懐かしい空気感、静かにゆったりと進む時間はそのまま。
 そしていつもながらにドラマチックな展開。
 静かに立ち上がる序盤。
 混沌~緊張の中盤。
 安堵したような、あるいはやるせないような、複雑な結末の終盤。
 これまたいつもながらに哀しくも懐かしい映画の世界。
 ひんやりとした空気感と幻想、いかにも北欧な感じの空気感。
 そんな一作。


 

posted by H.A.



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