吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2021年02月

【Disc Review】“En el jardín” (2020) Yotam Silberstein, Carlos Aguirre

“En el jardín” (2020) Yotam Silberstein, Carlos Aguirre

Yotam Silberstein (Guitar) Carlos Aguirre (Piano, Rhodes, Acordeon, Synth, Bass, Guitarron, Bass Flute, Percussions)

EN EL JARDIN
CARLOS AGUIRRE
Inpartmaint Inc
2021-02-19


 イスラエルのギタリストYotam Silberstein、アルゼンチン、現代フォルクローレの親分Carlos AguirreのDuo。
 Yotam Silberstein、オーソドックスなコンテンポラリージャズなイメージが強いのですが、“Brasil” (2011)、Carlos Aguirre曲の採択、柔らかな音使い、などなど、南米志向な人ではあったのでしょう。
 楽曲を分け合い、ギターとピアノのDuoを中心として、楽曲によって他の楽器がオーバーダビングされる構成。
 キッチリとビートが入るジャズフュージョン寄りな演奏もあり、それら含めてShagrada_Medra系よりも都会的に洗練された感じですが、全体的な印象は現代フォルクローレの空気感。
 いずれにしても、漂いながらサラサラと流れていく静かな音。
 たっぷりのリバーブに包まれた美しいクリーントーンのエレキギター。
 Gilad Hekselman, Kurt Rosenwinkelに近い感じもあったのですが彼らほどには尖がらず、Toninho Horta, Pat Methenyな感じをもっとジャズに寄せた感じでしょうか。
 漂い、消え入るような音の流れ。
 ときおりのジャズな疾走。
 が、あくまで抑制された演奏。
 加えてときおり聞こえるいかにも南米なウイスパーなスキャットがとてもいい感じ。
 キッチリと背景を作っていくピアノ、エレピ、パーカッション、その他諸々。
 Aguirreさんはギターを引き立てる役回りに徹している感じでしょうか。
 南米Saudadeなメロディと空気感、少々の幻想とジャズの洗練が混ざり合う音。
 無国籍南米寄り、川沿い的だけど少々都会寄り。
 とても優しいコンテンポラリージャズ、ってな感じでよろしいのでは。


 

posted by H.A.



【Disc Review】”Human” (2020) Shai Maestro

”Human” (2020) Shai Maestro

Shai Maestro (paino)
Jorge Roeder (bass) Ofri Nehemya (drums)
Philip Dizack (trumpet)

Human
Shai Maestro
ECM
2021-01-29


 イスラエルのピアニストShai Maestro、ECMレコードでの第二作。
 前作“The Dream Thief” (2018)のトリオにアメリカントランペッターが加わるオーソドックスなワンホーンカルテット編成。
 前作と同様、とても繊細でメロディアスなコンテンポラリージャズ。
 浮遊と疾走の交錯。
 軽快で明るい色合いのピアノはMarcin Wasilewski的。
 紗が掛かったような音のトランペットが加わり、ECMでのTomasz Stanko諸作、それらから深刻さ気難しさを排除し明るくしたようなイメージ。
 さりげなく流れるフォーキーな空気感がKeith Jarrettっぽい感じがしないでもない。
 が、複雑ながらも軽快で浮遊感たっぷりなビート感がとても現代的。
 ECMでのお約束、漂うようなフリービート、ルバートでのスローバラードがちりばめられ、アップテンポになってもあくまで抑制的。
 とても上品。
 そんな中に、終盤に向けてテンションとスピードを上げていく超絶疾走が何曲か。
 とてもドラマチック。
 徹底的に熱くなっているようで、埃っぽさや脂っこさはなし。
 痛快、爽快。
 前作と同様、ジャズスタンダードを一曲収めるのはこの人の流儀なのでしょうか、本作では”In a Sentimental Mood”。
 複雑怪奇に変化したビート、メロディも、これまた極めて今風なジャズ。
 全編に流れるほのかな哀感、懐かしい感じ、ほんの少しの違和感はイスラエルなエキゾチシズムでしょうか。
 全部合わせて今風Saudade。
 複雑にしてさまざまな表情。
 が、気難しさなし、あくまでメロディアスでノーブルなコンテンポラリージャズ。
 名演。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“Characters On A Wall” (2019) Louis Sclavis

“Characters On A Wall” (2019) Louis Sclavis

Louis Sclavis (Clarinets)
Benjamin Moussay (Piano) Sarah Murcia (Double Bass) Christophe Lavergne (Drums)

Characters On A Wall
ECM Records
2019-09-20


 フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、2019年作、オーソドックスなジャズ編成カルテット。
 本作では先端エレキギターもバイオリンもエレピも出てきません。
 そんな普通な編成で、普通に寄った摩訶不思議なLouis Sclavisワールド。
 例の妖しい旋律を奏でるクラリネットと、あくまでメロディアス、不協和音までが美しいピアノが絡み合う美しいコンテンポラリージャズ。。
 ECMでのお約束、ルバートでのスローバラードの時間もたっぷり。
 Benjamin Moussayは“Sources” (2012)辺りからの準レギュラーなのだと思いますが、この共演でこれほど普通にコンテンポラリージャズピアノを演じることはなかったように思います。
 ECMでのソロ作品“Promontoire” (2019)よりも強い躍動感。
 漂い、零れ落ち、ときに疾走する、クラシックをまとった美しい音。
 タダ者ではない感、たっぷり。
 そんなピアノが全体のイメージを支配している感じでしょうか、例の不穏さはなく、激しさ、妖しさ、不思議さが抑制された印象。
 漂うビート、美しいピアノの響きの中を泳ぐ艶やかなクラリネット。
 現代音楽的、あるいは激しいプログレッシブロックな場面はなく、4ビートとはいかずとも、あくまでジャズな感じが勝ります。
 全編通じて不思議さはほどほど、抑制された美しいヨーロピアンコンテンポラリージャズ。
 毒気をお求めの向きには、さて、どうでしょう。
 ぶっ飛んだり死に至ったりする感じはありませんが、十分に痺れるほどの成分が混ざっていると思います。
 私的にはこのくらいがちょうどいい感じ。
 美しい音が支配する名演奏。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“Asian Fields Variation” (2017) Louis Sclavis

“Asian Fields Variation” (2017) Louis Sclavis

Louis Sclavis (Clarinets)
Dominique Pifarély (Violin) Vincent Courtois (Violoncello)

Asian Fields Variations
ECM Records
2017-03-17


 フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、変則トリオでの摩訶不思議な音楽。
 リズム隊、コード楽器なし、バイオリンとチェロとのトリオ。
 メンバーは“Rouge” (1991)あたりから共演が続くヨーロピアン。
 前作“Silk and Salt Melodies” (2014)は中近東~インドな色合いでしたが、本作のテーマはアジアのよう。
 絡み合う弦が醸し出す強い緊張感。
 ダークさを纏った抽象的な音の流れ。
 おそらくはキッチリと譜面にされたアンサンブルが中心なのだと思いますが、フリーあるいは現代音楽的な場面も多い構成。
 アジアの何処、何時をイメージしたのかはわかりません。
 冒頭のビートを定めず漂うような哀感は雅で日本的なような感じがするし、ところどころに現れる悠久系、あるいはインド系中華系の空気感がそれなのでしょうか。
 そんな中での激しいクラリネットの疾走。
 ヨーロッパ、インド、中近東と表情を変えるバイオリン、激しくうごめくチェロ。
 打楽器なしながら、あのKing Crimsonなキツいビート、リフな場面も登場しつつ、最初から最後までダークさと緊張感に包み込まれた時間。
 そして最後に収められたほのかな光。
 さて、フレンチから見たアジアはどんなイメージだったのでしょう。
 さて・・・?


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Silk and Salt Melodies” (2014) Louis Sclavis

“Silk and Salt Melodies” (2014) Louis Sclavis

Louis Sclavis (Clarinet)
Benjamin Moussay (Piano, Keyboards) Gilles Coronado (Guitar) Keyvan Chemirani (Percussion)

Silk and Salt Melodies
Sclavis, Louis -Quartet-
Ecm Records
2014-09-30


 フランスのクラリネット奏者Louis Sclavis、ベースレスの変則カルテット。
 前作“Sources” (2012)のトリオに中近東~インド系のパーカッションを加えた編成。
 編成、タイトル通りに中近東エスニックな空気感。
 いつもながらの不穏で摩訶不思議なメロディたちに加えて、中近東~インド系な雰囲気たっぷり。
 冒頭、エレピとバスクラリネットの漂うような絡み合い、いかにもヨーロピアンコンテンポラリージャズな感じから始まり、エスニックなパーカッションとサイケなギターが加わると、中世ヨーロッパなのか、地中海なのか、アフリカなのか、はたまた1960年代末の米英なのか、どこにいるのかわからない空気感。
 ドラムではなく中近東~インド系のパーカッションの静かな響きがとてもクール。
 ピアノが前に出るとクラック混じりのECMな現代ヨーロピアンジャズ、エレピであればエレクトリックMilesあたり、ギターが前に出る時間はサイケな音。
 ヨーロッパ、中近東、インドとさまざまに表情を変えながら、静かに漂うように、そして淡々と流れていく音。
 そんな不思議な空間の中を縦横無尽、変幻自在に動き疾走する、ヨーロピアンな艶やかなクラリネット。
 ダークで不思議感たっぷり、中近東なやるせなさたっぷり。
 激しさよりも抑制されたムードがとてもクール。
 静かな不思議系、中近東なフレンチジャズ、ってな感じでよろしいのでは。


 

posted by H.A.


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