吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2020年08月

【Disc Review】“Electra” (2002,2003) Arild Andersen

“Electra” (2002,2003) Arild Andersen

Arild Andersen (double bass, drum programming)
Eivind Aarset (guitars) Paolo Vinaccia (drums, percussion) Patrice Héral (drums, percussion, voice) Nils Petter Molvær (drum programming) Arve Henriksen (trumpet)
Savina Yannatou, Chrysanthi Douzi, Elly-Marina Casdas, Fotini-Niki Grammenou (vocal)

Electra (Slip)
Andersen, Arild
Ecm Records
2005-10-04


 ノルウェーのスーパーベーシストArild Andersen、2000年代早々の作品。
 メンバーはノルウェーの先端系の面々とエスニックなヴォーカリストたち。
 薄く鳴る不穏な電子音、ギターのプリミティブなパーカッション、妖しいヴォイス、コーラス、ときおりの寂寥感の塊トランペット。
 ゆったりとしたテンポ、終始漂う哀しげで妖しいムード。
 “Sagn” (1990)などの北欧民族系らしき聞き慣れない音階はそのままに、電子音たっぷり、妖しさ、未来感が増した無国籍エスニックサウンド。
 強烈な幻想感。
 例の疾走する激烈ジャズベースの登場場面はありません。
 バンドと一体になって強烈な幻想を演出する役回り。
 勇壮系、少々重めのビート感も加えて、ここまでくるとジャズさは希薄、プログレッシブロック。
と思っていると、強烈な悲しみを湛えたエスニックなスローバラードやら、敬虔なムードのコーラスと 電子音の絡み合いやら、ロックなギターやら、ノイズやら。
 変幻自在、予測不能ながら、とてもドラマチック。
 いつの時代のどこにいるのやら、もはや不明。
 そんなトリップミュージック。
 沈痛なイメージが全編を覆っていますが、意味不明でも激烈でもないので、無事生還できると思います。
 たぶん。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Sagn” (1990) Arild Andersen

“Sagn” (1990) Arild Andersen

Arild Andersen (Bass)
Frode Alnæs (Guitar) Bugge Wesseltoft (Keyboards) Nana Vasconcelos (Percussion, Vocals) Bendik Hofseth (Tenor, Soprano Sax) Kirsten Bråten Berg (Vocals)

Sagn
Andersen, Arild
Ecm Import
2000-07-25


 ノルウェーのスーパーベーシストArild Andersen、1990年、ECMレコードでの制作。
 1970年代ECM作品“Green Shading Into Blue” (1978)のようなコンテンポラリージャズフュージョンでもなく、例の激烈ハイテンションコンテンポラリージャズでもありません。
 北欧民族音楽も強い、ほどほど幻想的、ほどほど優しく、ほどほど激しい無国籍コンテンポラリージャズ。
 メンバーはノルウェーの先端系の人達、さらには近くの“If You Look Far Enough” (1988,1991,1992) と同じくNana Vasconcelosも加わった多国籍、多ジャンルの面々。
 聞き慣れない音階の旋律、聞き慣れない言語の響き、朗々とした女声、静かで妖しいパーカッションに奇声、薄く流れる電子音にシンセサイザー、沈痛な色合いのハイテンションサックス、アコースティックからハードロックまで変幻自在なギター。
 基本的にはアコースティックな質感、北欧エスニックで勇壮なメロディ、敬虔な歌・・・、と思っているとシンセサイザーとシャープなビートのジャズフュージョン風・・・、その合間々にNanaさんのケッケッケッケッケー・・・・
 ってな感じで、いろんな要素、てんこ盛り。
 さすがECMな混ざり具合。
 全部合わせてとてもドラマチック。
 とても妖しく、重々しい場面もあるのですが、あまり気難しさ、沈痛さは感じません。
 マニアックですが優しい音。
 どこか流れている懐かしい感じがそう感じさせるのかもしれません。




posted by H.A.


【Disc Review】“Mercurial Balm” (2010,2011) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

“Mercurial Balm” (2010,2011) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

Thomas Strønen (Drums, Percussion, Electronics) Iain Ballamy (Saxophone, Electronics)
Eivind Aarset, Christian Fennesz (Guitar, Electronics) Prakash Sontakke (Slide Guitar, Vocals) Nils Petter Molvær (Trumpet)

Mercurial Balm
ECM Records
2017-07-28


 ノルウェーのフリー系ドラマーThomas Strønenとイギリスのサックス奏者Iain Ballamyのプロジェクト。
 ECMレコードでは“Quiet Inlet” (2007,2008)に続く第二作。
 本作のサポートメンバーは北欧の先端系、アンビエント系、さらにインド系。
 静かな無国籍アンビエント系ミュージック。
 前作と同じく、ゆったりと漂うようなビート、パーカッションと電子音が作る幻想的な時空の中を泳ぐ美しいサックスの音。
 妖しさ120%も同様ながら、メロディアスになったように思います。
 おそらくサックスが前面に出る場面が多い印象だから。
 無機質な反復が続くようで、穏やかで淡い色合いの音、どことなく懐かしい空気感。
 それは“In a Silent Way” (Feb.1969) Miles Davis的あるいは初期Weather Reportな感じでもあるし、北欧伝統音楽系が混ざっているのかもしれないし、ミニマル、あるいは未来的アビエントな感じもします。
 そんな淡く幻想的な音の流れが全体を支配しつつ、ときおりビートを定めて動き出すドラムとメロディアスなサックス。
 まどろむような陶酔感と覚醒の錯綜。
 鎮痛、陰鬱さはなく終始穏やか。
 この系の中では音楽の輪郭が明確でメロディアスな方なのかもしれません。
 かといってポップさはもとより、甘さもないバランス。
 全ては淡い幻想の中。
 穏やかながら強烈なトリップミュージック。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Quiet Inlet” (2007,2008) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

“Quiet Inlet” (2007,2008) Food: Thomas Strønen / Iain Ballamy

Thomas Strønen (Drums, Electronics) Iain Ballamy (Tenor Saxophone, Soprano Saxophone)
Christian Fennesz (Guitar, Electronic) Nils Petter Molvær (Trumpet, Electronics)

Quiet Inlet
ECM Records
2017-07-28


 ノルウェーのフリージャズ系ドラマーThomas Strønenとイギリスのサックス奏者Iain Ballamyのプロジェクト、ECMレコードでの初作。
 Thomas Strønen は“Parish” (2004) 以降、ECMレコードで静かなフリー寄り音楽の人、Iain Ballamy は”Quercus” (2006) June Taborのメンバー、Coltrane系な人。
 サポートはオーストリアの先端系ギタリストとノルウェーの寂寥系トランペット。
 静かなフリー交じり、アビエント寄りミュージック。
 静かに鳴る電子音と静かにビートを刻むパーカッション。
 電子音は風のようでもあるし、宇宙的でもあるし。
 パーカッションの金属音は不規則に揺られる風鈴、擦過音と大きくはない打撃音は木々が揺れ、こすり合う音のよう。
 どこか遠いところの景色が見えてくるようでもあるし、幻想のようでもあるし。
 ときおり明確なメロディで覚醒を促すようなサックス、トランペットの音も、多くは淡い空気感の中に溶け込んだまま。
 曖昧なようで抽象的なようで、そうでもないバランス。
 悲哀はなくカラッとした雰囲気、全体を通じたどこか懐かしい空気感。
 そんな淡く心地よい時間。



posted by H.A.


【Disc Review】“Cartography” (2008) Arve Henriksen

“Cartography” (2008) Arve Henriksen

Arve Henriksen (Trumpet, Voice, Field Recording)
Jan Bang (Live Sampling, Samples, Programming, Beats, Bass Line, Dictaphone, Organ Samples) Eivind Aarset (Guitars) Lars Danielsson (Double-Bass) Audun Kleive (Percussion, Drums) Erik Honoré (Synthesizer, Samples, Field Recording, Choir Samples) Helge Sunde (String Arrangement, Programming) Arnaud Mercier (Treatments) Trio Mediaeval (Voice Sample) Anna Maria Friman (Voice) Vérène Andronikof (Vocals) Vytas Sondeckis (Vocal Arrangement) David Sylvian (Voice, Samples, Programming) Ståle Storløkken (Synthesizer, Samples)

Cartography
ECM Records
2008-12-31


 ノルウェーのトランペッターArve HenriksenのECMレコードでのアルバム。
 Jon BalkeLars Danielssonをはじめ、北欧系のアーティストの作品でよく見かける人。
 アンビエントなのか、音響系なのか、先端系なのか、フューチャージャズ(古い?)なのか、それらをあわせて、さらに教会なムードも加えつつ、組曲風に仕立てられたのであろう静かな音楽。
 その界隈の大物Eivind Aarset, Jan Bangから、大御所Lars Danielsson、さらにはあのDavid Sylvian(!)までが加わるメンバー陣。
 ノルウェーのトランペットの流儀か、Nils Petter MolværMathias EickといったECMとも縁の深い人たちの系譜を辿ったかどうかはさておき、彼らの寂寥感とサブトーンをもっともっと強くした、寂寥の塊のようなトランペット。
 尺八の音をトランペットで云々・・・の人だったと思いますが、そんな音。
 終始漂う哀し気なムード。
 ゆったりとした揺らぐビート、静かに薄く響く電子音、交錯する敬虔なコーラス、ときおりの朗読。
 その中を漂う寂寥感の塊トランペット。
 ときおり見える明確なメロディ。
 が、その時間は短く、また夢の中へ・・・
 最初から最後まで続く夢うつつな時間。
 そして最後に訪れる穏やかで前向きな音。
 哀しいけども救われた感じがする映画のようなムード・・・ってタイトルもそのままですね。
 途中で止めないで最後まで聞きましょう。
 きっと救われます。

※別の作品から


posted by H.A.


【Disc Review】“Elixir” (2005) Marilyn Mazur, Jan Garbarek

“Elixir” (2005) Marilyn Mazur, Jan Garbarek

Marilyn Mazur (Marimba, Vibraphone, Percussion, Drums) Jan Garbarek (Tenor, Soprano Saxophone, Flute)

Elixir (Ocrd)
Ecm Records
2008-04-15


 Marilyn Mazur, Jan GarbarekのDuo作品、ECMレコードでの制作。
 “Twelve Moons” (Sep.1992)、”Visible World” (1995)、”Rites” (1998) あたりの共演を経てのDuo。
 ECMレコードでのMarilyn Mazur色、”Small Labyrinths” (Aug.1994)のような淡い幻想に、Jan Garbarekの勇壮系北欧伝統音楽色が混ざり合う色合い。
 但し、電子音やベース、ギターの音は聞こえない、また激しくビートを刻む場面も多くない、静寂な世界。
 短く刻まれる全21編。
 次々と変わっていく景色。
 とても静か。
 遠くから小さく聞こえてくる金属音、擦過音は、まるで風のよう。
 とても幻想的。
 穏やかな表情ながら厳しくも感じられる空気感。
 見えてくるのは、はるか昔のノルウェーの原野か、デンマークとの海峡か。
 いずれにしても強烈な非日常。
 これまたトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Daylight Stories” (2003) Marilyn Mazur's Future Song

“Daylight Stories” (2003) Marilyn Mazur's Future Song

Marilyn Mazur (Percussion)
Eivind Aarset (Guitar, Electronics) Elvira Plenar (Piano, Synthesizer) Klavs Hovman (Electric, Acoustic Bass) Audun Kleive (Drums)
Hans Ulrik (Saxophone, Flute) Aina Kemanis (Voice)

Future Song & Daylight Stories
Mazur, Marilyn
Stunt
2004-10-26


 Marilyn Mazur、北欧周辺ユニットFuture Songでの2003年作。
 このバンドでは“Marilyn Mazur's Future Song” ‎(1990)、ECMレコードでの”Small Labyrinths” (Aug.1994)に続くスタジオ録音での三作目。
 近い時期のライブ録音“All The Birds (Reflecting, Adventurous)” (2001) とゲストを除けば同じメンバー。
 尖ったハイテンションなヨーロピアンコンテンポラリージャズフュージョン、ロック寄り。
 諸作の中では淡い色合いの”Small Labyrinths” (Aug.1994)だけが異質な感じでしょうか。
 激しいビートの中を泳ぐ美しいピアノ、サックス、妖しいスキャット。
 激しく弾むエレキベースに、たっぷりとフィーチャーされる先端系グショグショディストーションギター、そんな構成。
 “Marilyn Mazur's Future Song” ‎(1990)よりもシンプルでソリッド、重くハードになった感じ、プログレッシブロックっぽくなった感じでしょうか。
 浮遊と爆進、疾走の交錯、妖しさたっぷりの激しい音。
 このバンド、どのアルバムもかっこいいのですが、本作、ライブを含めた4作でこのユニットでの作品は途絶えているようです。
 もったいないやら、いさぎよいやら。




posted by H.A.


【Disc Review】“All The Birds (Reflecting, Adventurous)” (2001) Marilyn Mazur

“All The Birds (Reflecting, Adventurous)” (2001) Marilyn Mazur

Marilyn Mazur (percussion, voice)
Elvira Plenar (piano, keyboard) Eivind Aarset (guitar, electronics) Klavs Hovman (electric bass) Audun Kleive (drums)
Hans Ulrik (sax, bassclarinet, flute) Aina Kemanis (vocal)
Benita Haastrup, Birgit Løkke, Lisbeth Diers (percussion, voice)
Palle Mikkelborg (trumpet) Fredrik Lundin (sax, flute, bassflute, electronics) Anders Jormin (doublebass) Josefine Cronholm (vocal)

All the Birds
Mazur, Marilyn
Stunt
2002-07-16


 Marilyn Mazur、2001年のライブ録音。
 おそらくデンマークのジャズ賞の受賞イベント。
 地元のスーパーヒロインなのでしょう。
 北欧周辺コンテンポラリージャズフュージョンバンドFUTURE SONGと、パーカッションユニットPERCUSSION PARADISEの2ユニットの演奏が入り混じる構成。
 FUTURE SONGは柔らかで妖しいジャズフュージョン。
 “Marilyn Mazur's Future Song” ‎(1990)では少し残っていた1980年代フュージョンな音使い、あるいは激しいフリーの場面は多くありません。
 ECMレコードでの”Small Labyrinths” (Aug.1994)のような、ひたすら淡い淡い感じでもありません。
 シンセサイザーが作るスペーシーな背景、柔らかなスキャットヴォイスが主導する幻想が強調された印象。
 時代に合わせて洗練されたのであろう音。
 それがとてもカッコいい。
 PERCUSSION PARADISEは、FUTURE SONGのメンバーに加えてエスニックなパーカッション群とヴォイスが前面に出る演奏。
 未来的なFUTURE SONGに対して、同じく電子音やエレキベース、エレキギターなども混ざりつつも、あくまでエスニックでプリミティブな幻想を醸し出すPERCUSSION PARADISE。
 FUTURE SONGとはまた違った質感の幻想。
 とても心地よい時間。




posted by H.A.


【Disc Review】”Small Labyrinths” (Aug.1994) Marilyn Mazur's Future Song

”Small Labyrinths” (Aug.1994) Marilyn Mazur's Future Song

Marilyn Mazur (Percussion)
Elvira Plenar (Piano, Keyboards) Eivind Aarset (Guitar) Klavs Hovman (Bass) Audun Kleive (Drums)
Hans Ulrik (Saxophone) Nils Petter Molvær (Trumpet) Aina Kemanis (Voice)

Small Labyrinths
ECM Records
1997-03-03


 Marilyn Mazur、ユニットFuture SongでのECMレコードでの制作。
 とても静かなフリー寄り・アンビエント寄り・無国籍ミュージック。
 Miles Davis逝去後(?)、ECMで”Twelve Moons” (Sep.1992) などでJan Garbarekと共演していた時期。
 “Marilyn Mazur's Future Song” ‎(1990)のメンバー、ECMとの縁も浅くない北欧先端系+αの人たち。
 妖しいながらも普通にジャズフュージョンの色合い、音楽の輪郭が明確なそちらに対して、さすがECM、無国籍、ジャンルレス、不思議感たっぷり、静かな本作。
 静かなパーカッションやら、囁き声やら、突然の凶悪なエレキギターのグシャーングチョグチョやら・・・に導かれながら進む音。
 全編を漂う哀し気なムード、強い浮遊感。
 定まらないビートに、本来の(?)色合いなのであろう美しいピアノと美しいホーンのヨーロピアンジャズフュージョンの色合い、幻想的なスキャットの南米風味なども混ざり合いつつ、さらに電子音が醸し出す未来的なムードが交錯。
 静かに響く金属の打撃音、繰り返されるリフが引き起こす陶酔感と、その中、遠くから聞こえてくるときおりの美しいメロディ、呪術的にも響くヴォイスの危ないムード。
 それらが織り成す何が何だかわからない摩訶不思議な時間。
 パキーンとした感じの“Marilyn Mazur's Future Song” ‎(1990)他の諸作とは違った、不思議さ妖しさ200%。
 タイトル通りの迷宮、どこかわからない場所、時代へのトリップミュージック。
 淡くてフワフワした感じながら、それがとても危ない感じだったり、心地よかったり・・・




posted by H.A.


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