吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2020年01月

【Disc Review】“Gnosis” (2016) David Virelles

“Gnosis” (2016) David Virelles

David Virelles (piano, marímbula, voice)
Román Díaz (voice, percussion)
Thomas Morgan (double bass) Allison Loggins-Hull(piccolo, flute) Rane Moore(clarinet, bass clarinet) Adam Cruz (steel pan, claves) Alex Lipowski (orchestral bass drum, temple blocks, bongos, gong) Matthew Gold(marimba, glockenspiel) Mauricio Herrera (ekón, nkomos, erikundi, claves)
Yunior Lopez (viola) Christine Chen, Samuel DeCaprio (cello) Melvis Santa, Mauricio Herrera(voice)

Gnosis
David Virelles
Ecm Records
2017-09-15


 キューバ出身、ニューヨーク在住のピアニストDavid Virelles、摩訶不思議なフリー混じりエスニックコンテンポラリージャズ、ECMレコード制作。
 ピアノトリオとパーカッション、ヴォイスを中心に、何曲かにストリングスが加わる構成。
 ECMのChris Potter, Tomasz Stankoの作品に参加していた人。
 そちらではジャズ色の強い演奏でしたが、本作ではアヴァンギャルド系。
 陽気ながらちょっと哀しいキューバンミュージックでも、超絶技巧演奏集でも、Kip Hanrahan的なダークで都会的なアフロキューバンでもありません。
 敬虔、沈痛、陰鬱、静かで摩訶不思議な音楽。
 クラシックとジャズ、ラテンが交錯するピアノ、それが叩く不協和音と山奥パーカッション、呪術的なヴォイス、ジャズなベース。
 ときおりラテンな感じ、あるいは超絶疾走ピアノも表出し、多くの場面でキューバンなグルーヴが流れているように感じるのですが、気がつけば明後日の方向に動いていきます。
 連打されるパーカッションとプリミティヴな祝祭ヴォイスが押し寄せてくると、周りの景色はここがどこだか・・・
 そして度々訪れる思索的な静かな時間、断片的に鳴る美しいピアノの音、呪術ヴォイス・・・
 静かながら強烈なトリップミュージック、エスニック、プリミティヴ、シリアス系。
 この非日常感を怖いと感じるか、心が洗われると感じるかは、その人次第。
 なお、タイトルは“神秘的直観、霊知”のような意のようです。
 なるほど。




posted by H.A.


【Disc Review】‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

‎”White” (2016) Marc Sinan, Oğuz Büyükberber

Marc Sinan (Guitar, Electronics) Oğuz Büyükberber (Clarinet, Bass Clarinet, Electronics)

White
Marc Sinan
Ecm
2018-05-18

 トルコ、アルメニアをルーツとするギタリストMarc Sinanとトルコの管楽器奏者Oğuz BüyükberberのDuo。
 Marc Sinan は“Fasıl” (Mar.2008) でアコースティックギターでヨーロッパ寄りな音楽をやっていた人。
 本作でもエスニック色はあまり強くない、静かでフリー色の強い不思議な音楽。
 定まらないビートとコードの中のエレキギターと電子音、クラリネットの絡み合い。
 ギターはクリーントーンながら1970年代サイケを想い起こすような音使い、クラリネットは艶やかで朗々としつつも不思議な音階。
 フリーなインプロビゼーションばかりではなく、合奏の場面もありますが、不思議なメロディ、そして気がつけばまた強烈な浮遊と淡い混沌の中。
 ときおり現れる祈りのようなヴォイスが醸し出す敬虔なムード、電子音の宇宙的なムード、さらに突然現れるディストーションの掛かったギターの強烈な音・・・
 深刻で沈痛な面持ちと、何が出てくるのか、どこにたどり着くのか全く予想できない不安感。
 そして極めて透明度の高い美しい音。
 美しいだけにかえって不思議感、不安感120%。
 強烈な非日常へと誘う、摩訶不思議なトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

“The Wind” (2004) Kayhan Kalhor, Erdal Erzincan

Kayhan Kalhor (Kemenche) Erdal Erzincan (Baglama)
Ulaş Özdemir (Baglama)

Wind
Kayhan Kalhor
Ecm Records
2006-09-19


 イランのカマンチェ奏者Kayhan Kalhorとクルドのバーラマ奏者Erdal Erzincanの双頭リーダー作。
 カマンチェはバイオリン、バーラマは琵琶の原型あるいは変形の中近東の伝統楽器のようです。
 Kayhan Kalhor は“The Rain” (2001) Ghazalなど、ECMで時々見かける人、その中近東伝統音楽路線。
 例の中近東系音楽のもの哀しいメロディとゆったりとしたビート、終始流れるやるせないムード。
 あるいはいわゆる“悠久”な空気感。
 弦が弾かれる音と擦られる音の絡み合い。
 聞き慣れない響きはプリミティヴなようでもあるし、敬虔なようでもあるし。
 打楽器、声の無いシンプルな編成ゆえの淡々とした音の流れは、形を変えながらゆったりと進んでゆきます。
 一定のパルスを感じさせつつも不規則に停止を繰り返すビート、ときおり激情を託されたような加速を伴う強い音を交えた動きは、寄せては返す波のよう。
 いつ果てるとも知れない音は終盤に向けて徐々にテンションとスピードを上げ、高まる高揚感、最後に訪れる陶酔。
 そして全てが終わった時に訪れる静寂の時間の深淵さ。
 強烈な非日常、静かな陶酔へと誘うトリップミュージック。




posted by H.A.

【Disc Review】“Capturing Spirits - JKQ Live!” (2019) Jonathan Kreisberg

“Capturing Spirits - JKQ Live!” (2019) Jonathan Kreisberg

Jonathan Kreisberg (guitar)
Martin Bejerano (piano) Matt Clohesy (bass) Colin Stranahan (drums)

Capturing Spirits - Jkq Live!
Jonathan Kreisberg
New for Now Music
2019-11-15


 ニューヨーク系コンテンポラリージャズギタリストJonathan Kreisbergのライヴ録音。
 ピアノトリオにサポートされたシンプルなカルテット編成のコンテンポラリージャズ。
 複雑なメロディやビートの構成はスタジオ録音と同様、明るい色合いながらメカニカルな感じで愛想がないのですが、そんなことはどうでもよくなってしまう強烈なインプロビゼーションのオンパレード。
 ギターはPat Metheny以来の艶やかで丸いクリーントーン中心、少々派手目なエフェクティング。
 これでもかこれでもかと続くインプロビゼーション。
 そのひとつひとつの音がとても綺麗。
 これだけ綺麗にたくさんの音符を並べていくギターはなかなか希少。
 バラードやボサノバ風もありますが、それらも徹底的に今風にアレンジされたハイテンションな音、強烈な加速感を伴った弾きまくり。
 そんなギターにピッタリ追走し、さらに煽りまくる、ゴリゴリゴツゴツなピアノトリオ。
 すさまじい演奏。
 愉快痛快、手に汗握るスペクタクル。
 陰りの強いKurt Rosenwinkelに対して、陽のJonathan Kreisberg、ってな感じ。
 激しい演奏が続きますが、あくまでスムースなクリーントーンのエレキギターが先導するアコースティックな今風ジャズ、明るいムードも含めてとても気持ちいい音。
 今の“ジャズ”ギターを浴びるように聞ける一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

“Searching The Continuum” (2019) Kurt Rosenwinkel, Bandit 65

Kurt Rosenwinkel (guitar, electronics)
Tim Motzer (guitar, guitar synth, electronics) Gintas Janusonis (drms, percussion, circuit bent toys)

サーチング・ザ・コンティニュウム
KURT ROSENWINKEL BANDIT65
MOCLD
2019-10-09


 コンテンポラリージャズのギタリストKurt Rosenwinkelの変則トリオ。
 ハイテンションジャズを極めた後は、モダンジャズやらブラジルやら、いろいろな色合いのアルバムがありますが、本作は少々アバンギャルドな演奏集。
 各国でのステージのライブ録音から選んでまとめたようです。
 フリーなインプロビゼーションなのかもしれませんが、無秩序でも、抽象的な場面ばかりでも、難解でもありません。
 フリーな音の動きが徐々に何かに収斂していく音の流れ。
 冒頭に収められた”Inori”は”祈り”のことでしょうか。
 そんな敬虔なムード、電子音とギター、パーカッションが絡み合う幻想的な音から始まり、漂う音の中から徐々に立ち上がってくるコードの動き、定まってくるビート、そしてあのハードなジャズの演奏そのまま、怒涛のギターインプロビゼーションへ・・・
 そんな流れの演奏が中心。
 全七偏、さまざまな表情ながら、いずれも哀しげなムード、ハイテンションな音、とてもドラマチック。
 静かで妖しい音の流れから徐々に音量とテンションが上がり、気がつけばあのどこまでも続いていきそうな凄まじいインプロビゼーションの渦の中。
 伝統のフォームを守った予定調和にならず、抽象的で不可解にならず。
 そして終盤に向けてドカーンと盛り上がるカタルシス。
 フリー、ミニマル、アンビエント、先端系などに、強烈なジャズインプロビゼーションをフュージョンした新しいバランス、かも。
 とてもカッコいいと思います。


 

posted by H.A.

【Disc Review】“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

“Dreamlife of Debris” (2019) Kit Downes

Kit Downes (piano, organ)
Tom Challenger (saxophone) Stian Westerhus (guitar) Lucy Railton (cello) Sebastian Rochford (drums)

Dreamlife of Debris
Kit Downes
Ecm
2019-10-25


 イギリスのピアニストKit Downes、不思議感たっぷり、静かなコンテンポラリージャズ。
 “Time Is A Blind Guide” (2015) Thomas Strønenで、漂い、疾走するカッコいいピアノを弾いていた人。
 が、ECMでの初リーダー作“Obsidian” (2017)は幻想的なパイプオルガンの独奏。
 本作ではオルガンとピアノが半々、イギリスのサックス奏者とのDuoを中心に、楽曲によってドラム、先端系ギター、チェロが加わる編成。
 冒頭は妖しいメロディと定まらないビート。
 漂うサックスと美しいピアノが織り成す強烈な浮遊感に覆われたコンテンポラリージャズ、いかにもECMの世界。
 が、オルガンが加わると様相は変わってきます。
 “Obsidian” (2017)と同様、宇宙的な感じ、アンビニエントなイメージ。
 チェロが加わるとクラシカルな色合いが加わり、ギターが静かに鳴ると未来的な感が強くなります。
 そんな空気感に支配された淡い音楽。
 ときおり聞こえるピアノに覚醒しつつも、静かで穏やかな音の流れの中で微睡の中へ・・・
 締めはオルガンが前面に出て厳かで穏やかながらドラマチックなエンディング。
 全編通じて淡く穏やかな音の流れ。
 宇宙的な廃墟感というか、デカダンスというか・・・
 ジャケットはオーロラっぽい雲のポートレート、タイトルは"瓦礫の夢の生活?"。
 確かにそんな感じの音。




posted by H.A.

【Disc Review】“Olu Iwa” (1986) Cecil Taylor

“Olu Iwa” (1986) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano)
William Parker (bass) Steve McCall (drums) 
Thurman Barker (marimba, percussion) Earl McIntyre (trombone) Peter Brötzmann (tenor saxophone, tárogató) Frank Wright (tenor saxophone)

Olu Iwa
Cecil Taylor
Soul Note Records
1994-06-20


 Cecil Taylor、1986年のピアノトリオにマリンバのカルテット、さらに三管を加えた編成の2ステージのライブ録音、イタリアのSoul Noteから。
 まずは管入り編成でのステージ。
 アンサンブルでの陰鬱なテーマ提示、ベースのアルコでのインプロビゼーション、静かに妖しく始まる宴、いや、格闘技戦。
 再びテーマらしきアンサンブルの後、ピアノトリオとマリンバの超高速バトル開始。
 凄まじい、ホントに凄まじい演奏。
 管楽器だと激烈・沈痛・陰鬱になりそうなところ、マリンバの柔らかな響きも相まって静かでクールにも響く、超絶な疾走。
 抜きつ差されつ、どちらが先行するともない凄まじいチェイスが続くこと十数分。
 ピアノがマリンバを力でねじ伏せ独走した後、少し音量とスピードを落としてトロンボーンに選手交代。
 さらに加わる魂の叫び系の激情サックス。
 やはり激烈・沈痛・陰鬱。
 全部まとめて叩き潰してやるぅ、ってなピアノ。
 断末魔のようなサックスの叫び。
 最後はテンポを落として儀式のようなのたうちから、呪文のようなヴォイスの中で静かに幕。
 いやはや何とも・・・
 前日のステージはホーンを排したカルテット。
 ピアノトリオで静かに始まりつつも、あっという間の加速、気がつけば怒涛の中。
 中盤から満を持したようにマリンバとのバトル勃発。
 菅入り編成でのステージにも増して激しいピアノ、必死で対抗するマリンバ。
 いつ果てるとも知れない戦いの後、マリンバが力尽きたか、おとなしくなった最終五分ぐらい、ピアノの雄叫びのカタルシス。
 もー、なんなんでしょ、この人たち。
 畏れ入りました。

※別のバンドでの演奏から。


posted by H.A.

【Disc Review】“For Olim” (1986) Cecil Taylor

“For Olim” (1986) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano)

For Olim
Cecil Taylor
Soul Note Records
1993-09-11


 Cecil Taylor、1986年のソロピアノ、コンボでの“Olu Iwa” (1986)に先立つ日のステージ、ライブ録音、イタリアのSoul Noteから。
 15分を超えるタイトル曲と短めな演奏7曲とクレジットされていますが、少々のブレークを挿みつつも全一曲のように演奏は続いていきます。
 冒頭、静かに断片的に音を置いていくシーンからスタート。
 どの方向に動くか探っているようにも、鍵盤と戯れているようにも聞こえます。
 しばしばの間断を挿みつつの短いパッセージの繰り返し、不規則で断片的に形を変えるパルスのような動き。
 徐々にスピードが上がるにつれて音の断片が集まっていき、気がつけば何かが崩れ落ちてくるような、あるいは舞い上がっていくような高音の嵐。
 激しい動きの高音と叩きつけるような不協和音、低音のアンサンブルで一曲目は幕。
 その流れをそのまま引き継いだ二曲目。
 さらに上がるテンションとスピード・・・
 わずかな時間、哀し気なバラードのメロディが奏でられるパートを経て、再び始まる疾走と連打・・・
 コンボでは他の音と混ざって聞こえてこなかったピアノの動きの詳細がよく見えてきます。
 短い周期での瞬断とフレーズの変化は、不規則に打ち寄せる波のようでもあるし、感情の起伏、あるいは鼓動のようにも聞こえます。
 そして方向を見定めたかのように始まる疾走、怒涛・・・
 コンボでの凄まじいエネルギー放出とはまた違った、生々しいCecil Taylorサウンド。




posted by H.A.

【Disc Review】“Winged Serpent” (1984) Cecil Taylor

“Winged Serpent” (1984) Cecil Taylor

Cecil Taylor (piano, vocals)
William Parker (bass, vocals) Rashid Bakr (drums, vocals) Andre Martinez (drums, percussion, vocals)
Enrico Rava, Tomasz Stanko (trumpet, vocals) Jimmy Lyons (alto saxophone, vocals) Frank Wright (tenor saxophone, vocals) John Tchicai (tenor saxophone, bass clarinet, vocals) Gunter Hampel (baritone saxophone, bass clarinet, vocals) Karen Borca (bassoon, vocals)
 Cecil Taylor、1984年の大型コンボ作品、イタリアのSoul Noteから。
 ピアノトリオにホーン7名。
 トランペットにヨーロッパのスタイリスト、ECMのスターEnrico Rava, Tomasz Stanko
 もちろん音楽はCecil Taylorのそれですが、大人数ゆえ決め事が多かったのでしょう、他の諸作よりもアンサンブルが多い演奏。
 テーマを決めた後もときおり顔を出すホーンのアンサンブル、ドラムとベースも定常なビートを出している場面が多い感じでしょうか。
 キッチリ楽曲を演奏している感は十分、静かな場面もあります。
 が、突っ走り転げまわるピアノはいつも通り、タガが外れるとフロントに立つホーン陣は入りつ混ざりつの凄まじいコレクティブインプロビゼーション。
 キッチリとオーダーに従い、役割分担もされているようですが、ぶっ飛びつつのソロ回し、そして他のメンバーが背後あるいは前面に出ての咆哮、絶叫。
 大人数の分だけ、いつもにも増して大音量。
 沈痛・陰鬱なテーマ、サックスの絶叫などなど含めて、緊張感の塊のような音が怒涛のように押し寄せてきます。
 さらにはアフリカンなパーカッションと妖しい祝祭ヴォイスなどなど、もう何がなんだか・・・
 Enrico RavaTomasz Stankoの掛け合いなんて場面もあり、とてもカッコいいのですが、激しい音に気を取られているうちにあれよあれよと・・・
 ハードです。
 とても。
 もっとフリーなCecil Taylor諸作よりも、こちらの方が怖い。
 この怒涛のようなエネルギー放射を浴び続けると、別の何かに生まれ変われるかも・・・




posted by H.A.


【Disc Review】“Historic Concerts” (1979) Max Roach and Cecil Taylor

“Historic Concerts” (1979) Max Roach and Cecil Taylor

Max Roach (drums) Cecil Taylor (piano) 

Historic Concerts
Max Roach
Soul Note Records
1994-06-15


 モダンジャズの大御所Max Roachとフリージャズの大御所Cecil TaylorのDuo、ライブ録音、イタリアのSoul Noteから。
 モダンジャズではなく、激しい系フリージャズ。
 まずまず静かなドラム、ピアノのソロ演奏からスタート、経つこと十数分、そこから怒涛のDuoがスタートします。
 各四十分の二つのパート。
 テーマらしきパートを経てビートが入ると、激しい打撃音と超高速転げまわりピアノ。
 ピアノの音の変化に合わせて追随するドラム。
 地雷の炸裂のようなバスドラ、重戦車のような打撃音の洪水の中を飛び、泳ぎ、転げまわるピアノ。
 他のCecil Taylor諸作と比べると、バスドラが強い事も含めて重めに聞こえます。
 重量級の取っ組み合い。
 ドラムはモダンジャズよろしく、かどうかはさておき、キッチリと変化に対応します。
 ブレーク的な部分、音量が落ちる場面などなど、抑揚もあり、少しずつ景色は変わります。
 が、激しい音の洪水、エネルギーの放射に唖然とするばかり。
 これは凄まじい。
 そして、高揚感の中、ピタリと止まるドラムと名残惜し気に細かく高音を刻むピアノ、第一部のエンディング。
 第二部、さまざまなパーカッションの妖しい音とメロディとコードが前に出た感じのピアノの絡み合いで静かに始まり、徐々にテンション、音量、スピードを上げながら開始される戦闘・・・
 終盤、ようやく落ち着きを見せ、ソロピアノでの静かでメロディアスな場面が訪れますが、それも束の間、再び激しい戦闘が開始され、激情のクライマックス。
 お化けのような二人。
 超人たち。




posted by H.A.


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