吉祥寺JazzSyndicate

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2019年12月

【index】 2019年・私的ベストアルバム

【index】 2019年・私的ベストアルバム

 2019年の私的ベストアルバム10。
 基本的には新譜、新発表に限ろうと思っていますが、発表すぐには聞いていないものも多く、1-2年ぐらい前までは対象ということでアバウトに。  
 やはり純ジャズではなく、ヨーロッパと南米中心に好みが・・・


Transparent Water” (2017) Omar Sosam, Seckou Keita
 少し前の作品。
 漂うピアノと高貴なコラの音、さらに笙やら、琴やら、それらが穏やかに自然に溶け合う音。
 静かで優しいトリップミュージック。

Transparent Water
Omar / Keita, Seckou Sosa
Ota Records
2017-02-24



Absinthe” (2018) Dominic Miller
 ギターとバンドネオンが漂うように絡み合うコンボ。
 現在と過去、都会と郷愁、感傷と安らぎが交錯するような音。
 やはりなんだかんだでアルゼンチンの空気が流れているのでしょう。

Absinthe
Dominic Miller
Ecm
2019-02-28



Avec Le Temps” (2017) Giovanni Guidi
 あのルバートでのスローバラードが続く名作”This Is the Day” (2014)、そして”Nuovo Cinema Paradiso”と同じような空気感。
 フリーと激情も入り混じりますが、アクセントと捉えましょう。

Avec Le Temps
Giovanni Guidi
Ecm
2019-03-21



Metamodal” (2018) Sokratis Sinopoulos Quartet
 ギリシャのlyra奏者Sokratis Sinopoulos、ピアノトリオとの共演作。
 メロディアスで美しい現代ヨーロピアンジャズと古楽器との絡み合い。
 前作同様、心地よいトリップミュージック。

Metamodal
Sokratis -Qua Sinopoulos
Ecm
2019-03-15



Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman
 “Ask for Chaos” (2018)のアウトテイクなのかもしれませんが、これまたいい感じ。
 とんがっていながらも柔らかな音、弾きまくられる艶やかなクリーントーンのエレキギターは心地よさ最高。激しいのも入っていましたが・・・
 コンテンポラリージャズギター、他にもいいアルバムがあったのですが、ま、好みということで。

Further Chaos
Motema Music, LLC
2019-05-10



Samba Jazz, de Raiz” (2014,2017) Cláudio Jorge
 ブラジルのギタリスト。
 何のことはないMPBな感じながら、とても粋なサウンド。
 ひねったところも尖端なところもなし。
 それがカッコいい。



"Nosso Brazil” (2019) Danilo Brito, André Mehmari
 たくさんの作品がリリースされたAndré Mehmariさんの中からこれ。
 バンドリンとピアノのDuoでのクラシカルなショーロ。
 優雅で上品でノスタルジック。
 でも古くはない現代の音。
 “Na Esquina do Clube com o Sol na Cabeça” も甲乙つけ難し。
 
 


Belo Horizonte” (2013-2018) Toninho Horta & Orquestra Fantasma
 大ベテランの新作。
 柔らかでしなやかで、少し哀し気、どこか懐かしい。
 コンボでのこんな感じの音が聞きたかった、そのものズバリ。
 いい曲、いい演奏が揃っています。



Amanhã vai ser verão” (2018) Rosa Passos
 現代最高のボサノバボーカリストRosa Passos、久々のアルバムはオリジナル曲中心のジャジーなMPB。
 どこを切ってもSaudadeの金太郎飴。
 小難しいヤツよりも、こうゆうのがね。




Aguasilabas” (2019) Sebastian Macchi Trio
 とても繊細な現代フォルクローレ。
 ピアノトリオと優しい声。
 強い浮遊感、センチメンタルにならざるを得ない音の流れ。
 Saudadeの塊。

AGUASILABAS
SEBASTIAN MACCHI TRIO
bar buenos aires
2019-09-27



posted by H.A.


【Disc Review】“Rubberband” (1985,1986) Miles Davis

“Rubberband” (1985,1986) Miles Davis

Miles Davis (trumpet, keyboards)
Randy Hall (guitar, voice, keyboards) Attala Zone Giles(guitar, voice, bass, keyboards) Adam Holzman, Wayne Linsey, Robert Irving, III, Anthony "Mac Nass" Loffman, Neil Larsen (keyboards) Javier Linares (piano) Isiah Sharkey, Mike Stern (guitar) Arthur Haynes, Felton Cruz, Angus Thomas (bass) Vince Wilburn, Jr. (drums, percussion, programing) King Errisson, Steve Reid, Munyungo Jackson, Steve Thornton, Marilyn Mazur (percussion) Michael Paulo (sax, flute) Bob Berg, Glenn Burris (sax) Rick Braun (trumpet, trombone) Ledisi, Medina Johnson, Lalah Hathaway (voice) Kevin Santos (edit, sound design)

Rubberband -Digi-
Miles Davis
Rhino
2019-09-06


 大御大Miles Davisの未発表音源、2019年発表なのでしょう。
 元の音源の録音は“You're Under Arrest” (1984,1985), “Tutu” (1986)の間。
 ベースのサウンドはちょうどその真ん中あたりの感じ、それを甥っ子Vince Wilburn, Jr.はじめとした人たちが、今の音でコーティング。
 あの時代、デジタル色が強いファンクビート、ゴージャスで分厚い感じではあるのですが、ラップやコーラスも絡めつつ、柔らか、かつクールな現代HipHopな感じに色づけられた楽曲もいくらか。
 ディスコ(懐かしい)ってよりもクラブな感じになっていますでしょうかね?
 硬質に弾むビートに、いろんなところから顔を出すギュインギュインなロックギター、グニャグニャした感じのシンセサイザー、。
 そんな音に乗った御大のジャズなトランペット。
 派手で凝ったサウンドの中に響くクールな音。
 バリバリとたっぷり吹く場面もたくさん。
 Hip Hop風あり、濃ーいボーカル入りソウル~AOR風あり、軽めスキャットがお洒落なポップフュージョンあり、スパニッシュ~ラテンあり、ディスコ風あり、1980年代風ド派手フュージョンあり。
 全編通じてポップ。
 なんだか懐かしいような、この手のサウンド久々に聞いたような・・・
 ま、御大がたっぷり吹いているんだから、よろしいのではないでしょうか。
 さておき、時代々のポップ、あるいは粋、スタイリッシュさを極めていこうとしていたように思うMiles御大、もし今ご存命ならRobert Glasper閥、Kendrick Scottあたりと組んでいたのでしょうかね?
 あるいはKurt Rosenwinkel系、はたまたもっともっと先端の人たちとでしょうか?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

“A Wall Becomes A Bridge” (2018) Kendrick Scott Oracle

Kendrick Scott (Drums)
Michael Moreno (Guitar) Taylor Eigsti (Rhodes) Joe Sanders (Bass)
John Ellis (Tenor Saxophone) Jahi Lake (Turntabalist)

A Wall Becomes A Bridge
Kendrick Scott Oracle
Blue Note
2019-04-05


 Kendrick Scottのアメリカンコンテンポラリージャズ。
 前々作“Conviction” (2013), 前作“We Are The Drum” (2015)とコアのメンバーは変わらないバンドOracleでのアルバム。
 ここまでのアルバムと同じ線ですが、少しジャズな感じ、ポップさが抑えられ、不思議感が増した感じ、より未来的になった感じ。
 複雑に動きながらも柔らかなビート、飛び交う電子音、ループ。
 派手な先端ドラム、美しいギター、浮遊から疾走まで何でも来いのピアノ。
 未来的フュージョン、ジャズ、ロック、ソウル、ヒップホップ、ミニマル、その他諸々が混ざり合う音は、いかにも今の音。
 洗練された現代ジャズ~フュージョン。
 複雑に積み上げられ、徹底的に練り上げられた感じながら、作り物っぽさのない自然さは、独特の柔らかさゆえでしょうか。
 今風でクール感じのサックスを中心に各人のインプロビゼーションのスペースはたっぷり、それらが全体のアンサンブルの中に溶け込み、これまたさりげない感じながら手練れた演奏。
 不思議感たっぷりのメロディはここまでと同様、Wayne Shorterな感じ、さらに、複雑でドラマチックな構成は、実験的、先端的な要素も相当に組み込まれつつも、気難しさはなく、十分にポップです。
 ドラムは派手ですが、終始フワフワした心地よさも加えて、BGMとしてもとてもいい感じ。
 21世紀、2010年代終りの粋。
 もし今Milesさんがご存命であればこんな感じの音楽をやっているのかな?
 さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“Harmony” (2019) Bill Frisell

“Harmony” (2019) Bill Frisell

Bill Frisell (Guitar)
Luke Bergman (Guitar, Baritone Guitar, Bass, Voice) Hank Roberts (Cello, Voice) 
Petra Haden (Voice)

Harmony
Bill Frisell
Blue Note
2019-10-04


 Bill Frisell、2019年作。
 とても静かで穏やか、漂うような現代的アメリカンミュージック。
 ほぼ全面でフィーチャーされるボーカルPetra Haden、チェロにHank Roberts!。
 これはアヴァンギャルドにドカーンと・・・なんて感じではありません。
 終始ゆったりとしたテンポ、強い浮遊感、穏やかなムード。
 ヴォイスと楽器が漂うように絡み合い、ときおりの電子音、チェロの響き、不思議なメロディのオリジナル曲も含めて、幻想的でフォーキーな音。
 御歳さておき少女的なヴォイスと少しスペーシーな色合いを付けたエレキギター絡み合いを中心に、男声コーラス、サポートのギター、ベース、ときおりのチェロなどを含めた柔らかな音の重ね合い。
 アルバムのタイトルはバンドの名前でもあるようで、確かにハーモニーにポイントを置いた音作りなのでしょう。
 フワフワとした音の流れの中に響くとても繊細で儚いエレキギターのオブリガードが琴線をくすぐる、そんな場面がそこかしこ。
 アルバム一枚、ずーっとそんな音。
 フォーキーでアメリカンノスタルジーたっぷりな曲に加えて、クリスマスな感じに仕上がった“On The Street Where You Live”が絶品だったり、珍しく超センチメンタルなメロディ、と思ったら父上Charlie Hadenの曲だったり。
 最後までトゲ、毒は無し。
 哀しげで、でも前向きな感じ、懐かし気でノスタルジックな空気感は、南米とはまた違った、さながらAmerican Saudade。
 近年のBill Frisellさんの音はそんな感じ、そのフォーク~ポップス版。




posted by H.A.



【Disc Review】“Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman

“Further Chaos” (2018) Gilad Hekselman

Gilad Hekselman (guitar)
gHex Trio : Rick Rosato (bass) Jonathan Pinson (drums) Dayna Stephens (EWI)
ZuperOctave : Aaron Parks (piano, keyboards) Kush Abadey (drums, pads)

Further Chaos
Motema Music, LLC
2019-05-10


 ニューヨーク系コンテンポラリージャズのギタリストGilad Hekselman の新作。
 前作“Ask for Chaos” (2018)と同時期のセッションから。
 同じく、先端系変則トリオZuperOctave+αとシンプルなギタートリオgHex Trioの二つのバンドの音源で構成されています。
 冒頭はZuperOctave+α、ヘビーなビート、ディストーションが効いたギターとEWIが唸りまくる、超弩級ハイテンション・プログレッシブ・ジャズフュージョン。
 これはこの人にしては・・・が、凄い演奏。
 そこを抜けると軽快なビートと突っ走る艶々のクリーントーンのギターのいつもの世界。
 gHex Trioに変わって、拍子抜けしてしまうような力が抜けたジャズワルツ。
 が、静かに柔らかにギターが突っ走り始めると心地よさ最高のパラダイス。
 続くは、シンセなベースとエレピ、たっぷりなエコーが未来感を醸し出しつつ、決めのメロディがセンチメンタル、静かなZuperOctave。
 そしてgHex Trioでのフォーキーなバラード、さらに、あの超高速、超絶技巧の“Teen Town”(!)が、乾いたスネアの音に彩られ、クールで軽快な現代的な音に様変わり。
 締めはZuperOctaveによる”Body & Soul”。
 ミスマッチにしか思えない選曲ですが、これがカッコいい。
 超スローテンポ、優雅なメロディとコードをしっかりと生かしつつ、どこかに消え入るような繊細なギターの音とエレピが醸し出す未来的超浮遊感。
 とんがっているようで、実際にとんがっていて、それでいて柔らかな音。
 そしてこの人の諸作と同様、さりげなくドラマチック。
 新しさと伝統の狭間、かなり新しさ寄り。
 が、頭でっかちさなし、聞き流しても心地よい音。
 収録時間40分程、アウトテイク集なのか試作集なのか何なのか、実情はさておき、中身は“Ask for Chaos” (2018)と同じく、これまたカッコいい演奏集。




posted by H.A.


【Disc Review】“Togethering” (1984) Kenny Burrell, Grover Washington Jr.

“Togethering” (1984) Kenny Burrell, Grover Washington Jr.

Kenny Burrell (guitars) Grover Washington Jr. (soprano, tenor sax)
Ron Carter (bass) Jack DeJohnette (drums) Ralph MacDonald (percussion)

Togethering
Kenny Burrell
Blue Note Records
1990-10-25


 1980年代、Blue Noteに戻ったKenny Burrell、Grover Washington Jr.との共同リーダー作。
 “Winelight” (1980)の後、Grover Washington Jr.は既にスーパースターなのでしょう。
 メンバーはアグレッシブなジャズとフュージョンの混成バンド。
 全体のサウンドもモダンジャズには寄らず、フュージョンにも寄り過ぎないバランス。
 攻めるベースとドラム。
 スムースな感じながら鋭く切り込むソプラノサックス。
 が、なんだかんだでギターはいつものKenny Burrell節。
 四者のインタープレー炸裂の場面もいつものKenny Burrell節。
 やはりハードボイルド。
 軟弱なフュージョンやら、うるさいハードジャズなんて演んないよ・・・ってな感じ。
 頑固なまでに少し沈んだブルージーなジャズギター。
 それがカッコいいなあ。
 アコースティックギターでのボサノバは・・・さてどうでしょう。
 誰と何を演っても、やはりKennyさんはBurrellさん。
 フュージョンにもボサノバにもハードなジャズにもならない、ジャズ&ブルースがよろしいのでは。




posted by H.A.

【Disc Review】“Moon And Sand” (1979) Kenny Burrell

“Moon And Sand” (1979) Kenny Burrell

Kenny Burrell (guitars)
John Heard (Bass) Roy McCurdy (drums) Kenneth Nash (Percussion)

Moon & Sand
Kenny Burrell
Concord Records
1992-05-26


 Kenny Burrell、アコースティックギターたっぷりのアルバム、Concordから。
 ギタートリオ+パーカッション、この人の王道の編成。
 が、“Midnight Blue” (1963)などの1960年代諸作とは様相が異なります。
 冒頭の“Moon and Sand”はアコースティックギターでのボサノバ。
 続く二曲もアコースティックギター。
 四曲目でようやくいつものエレキギターが登場。
 さらにLPレコードB面も”Blue Bossa”が来て、その後エレキギター三連発。
 ボサノバが流行っていた時期でもなさそうですが、その狙いやいかに?
 さておき全体の音の加減は、同じくConcordの“Tin Tin Deo” (1977)と同様、美しく艶やか、フュージョンではなくジャズな感じ。
 これまた上品。
 居並ぶスタンダード曲、ボサノバ曲の洒落たメロディとあわせて、とてもオシャレで美しいジャズ。
 さて、ギターが何であれ、少し沈んだジャズな感じなのではありますが、アコースティックギターは似合っているのでしょうか?
 私の好みはハードボイルドネスが滲み出るエレキギターなのですが、さて?




posted by H.A.

【Disc Review】“Tin Tin Deo” (1977) Kenny Burrell

“Tin Tin Deo” (1977) Kenny Burrell

Kenny Burrell (guitar)
Reggie Johnson (bass) Carl Burnett (drums)

Tin Tin Deo
Kenny Burrell
Concord


 Kenny Burrell、1977年作、 Concordから。
 シンプルなギタートリオ。
 時代はフュージョン隆盛期ですが、どこ吹く風のジャズ&ブルース。
 が、音のイメージは変わっています。
 明瞭になって艶が出て、ほどほどのリバーブが掛かった心地よいギターの音。
 1950-60年代だったら血沸き肉躍る系になっていたんだろうなあ、ってな楽曲がとても穏やかでオシャレな感じに聞こえてきます。
 新時代のジャズ、なんて感じでは全くありませんが、少し沈んだムード、突っ走るところでは突っ走る相変わらずの演奏、聞き慣れたスタンダード、ブルースが何か新しいモノのよう。
 落ち着き払った余裕たっぷりの美しいジャズ。
 ご本人は何も変わっていないのかもしれません。
 やはりブルージーでハードボイルドなジャズギター。
 “Circles” (1981) Jim Hallなど含めて、Concordのジャズギター作品にハズレなし。




posted by H.A.

【Disc Review】“'Round Midnight” (1972) Kenny Burrell

“'Round Midnight” (1972) Kenny Burrell

Kenny Burrell (guitar)
Richard Wyands, Joe Sample (Electric Piano) Reggie Johnson (Bass) Lenny McBrowne, Paul Humphrey (Drums)

Round Midnight
Kenny Burrell
Ojc
1998-08-18


 Kenny Burrell、1972年作、Fantasyから。
 とても穏やかなジャズ。
 サポートはエレピのピアノトリオ。
  “God Bless The Child” (1971)の豪華な彩りが取れたシンプルな編成ですが、音は1970年代仕様に様変わり。
 なぜか背景の主役のはずのエレピの音数が絞られた、静かな演奏。
 狙ったか、たまたまなのかよくわかりませんが、これがとてもいい味。
 上品です。
 そんな音を背景にした、ブルージーさはそのまま、音が明るく明瞭になったジャズギター。
 もちろんあのハードボイルドなフレージングも変わりません。
 この組み合わせが、なぜかピッタリ。
 全部含めて、あのクールでハードボイルド、沈んだ空気感がカッコいい。
 1970年代初頭のあの時代、MilesさんHerbieさんとは全く違う、とても心地いい電化ジャズ。
 地味なジャケットやタイトルも伴ってか、あまりプッシュされないアルバムのようにも思いますが、“Midnight Blue” (1963)や“God Bless The Child” (1971)に並ぶ名作だと思うのだけどなあ。
 これまた、いや、こちらの方がより静かで落ち着いたトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“God Bless The Child” (1971) Kenny Burrell

“God Bless The Child” (1971) Kenny Burrell

Kenny Burrell (guitar)
Richard Wyands (piano, electric piano) Hugh Lawson (electric piano) Ron Carter (bass) Billy Cobham (drums) Ray Barretto, Airto Moreira (percussion) Freddie Hubbard (trumpet) Hubert Laws (flute)
Don Sebesky (arranger, conductor) & Strings

God Bless the Child
Kenny Burrell
Masterworks
2010-10-05


 CTIのKenny Burrell。
 オーケストラ編成ではなく、ジャズコンボと何人かのチェロのみのストリングス。
 “Road Song” (1968) などポップジャズ全開だったWes Montgomeryに対して、こちらはまだまだジャズ。
 10分近い演奏もいくつか配され、インプロビゼーションのスペースたっぷりのジャズ仕様。
 が、エレピが鳴って、電気っぽい音のウッドベース、要所にストリングスが配され、モダンジャズとはムードが全く異なります。
 1970年代初頭、時代の流れの中の音。
 そんな中でもギターの音、フレーズはかつてのまま。
 少し沈んだムード、ジャズとブルースのハードボイルドな音。
 元々の流麗な音使いが周囲のスムースな音に溶け込んでいるように聞こえるし、逆にギターだけ別の世界から聞こえてくるようにも思えます。
 さらに今の耳で聞くと、背景がノスタルジックでギターだけが新しいようにも聞こえます。
 とにもかくにも、クールな質感がカッコいいジャズ。
 これが流れると喧騒が消え、どこか静かで上品で落ち着いた場所に周囲の景色が変わります。
 これまたトリップミュージック。
 洗練されたハードボイルネスの一作、ってな感じでよろしいのでは。


 

posted by H.A.

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