吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年08月

【Disc Review】"Attica Blues" (1972) Archie Shepp

"Attica Blues" (1972) Archie Shepp

Archie Shepp (tenor, soprano saxophone)
Walter Davis, Jr. (electric piano, piano) Dave Burrell (electric piano) Cornell Dupree (guitar) Roland Wilson, Gerald Jemmott (electric bass) Jimmy Garrison (bass) Beaver Harris, Billy Higgins (drums) Ollie Anderson, Nene DeFense, Juma Sultan (percussion)
Clifford Thornton (cornet) Roy Burrows, Charles McGhee, Michael Ridley (trumpet)
Cal Massey (fluegelhorn) Hakim Jami (euphonium) Charles Greenlee, Charles Stephens, Kiane Zawadi (trombone) Clarence White (alto sax) Roland Alexander, Billy Robinson (tenor sax) James Ware (baritone sax) Marion Brown (alto sax, flute, percussion) John Blake, Leroy Jenkins, Lakshinarayana Shankar (violin) Ronald Lipscomb, Calo Scott (cello)
Henry Hull, Joe Lee Wilson, Waheeda Massey, Joshie Armstead, Albertine Robertson (vocals) William Kunstler, Bartholomew Gray (narrator)

Attica Blues
Archie Shepp
Verve
2018-03-09


 Archie Shepp、1970年代ソウルフュージョン、あるいは激しい系ファンク。
 楽曲は5分前後にコンパクトにまとめられ、メロディ、コード展開も明解、ソウルに近づいたサウンド。
 が、すさまじい音。
 弾みまくるベース、チャカポコしたギターのカッティングに、分厚いホーンのアンサンブル、神秘的というか、妖しいことこの上ないストリングス。
 そんな音を背景に、真っ黒けの男声女声のシャウトが交錯し、さらにナレーションが絡み合う、妖しく激しいファンク。
 時代は “What's Going On” (1971) Marvin Gayeなどのソフトなソウルが隆盛し始めた時期?、確かにそんな演奏、いわゆるレアグルーヴっぽい楽曲もあるのですが、よじれまくるサウンド。
 全体のイメージはやはりおどろおどろしく激しい系。
 魂の叫び、大音量の血沸き肉躍るハードなサウンドに、ハードなメッセージが込められた強烈な緊張感。
 “The Magic of Ju-Ju” (1967)よりもこちらの方がよほど怖い。
 それでいてビートは柔らか、グチャグチャな絶叫大会のようで、今にも崩れてしまいそうで、そうはなりません。
 背後に洗練を感じるのは、キャッチ―なメロディゆえか、実は考え抜かれたアンサンブルゆえか?
 いずれにしても、こりゃスゲーや。
 血管切れそう。




posted by H.A.


【Disc Review】“Things Have Got to Change” (1971) Archie Shepp

“Things Have Got to Change” (1971) Archie Shepp 

Archie Shepp (tenor, soprano sax)
Dave Burrell (electric piano) Billy Butler, David Spinozza (guitar) Roland Wilson (electric bass) Beaver Harris (drums) Ollie Anderson, Hetty "Bunchy" Fox, Calo Scott, Juma Sultan (percussion)
James Spaulding (alto sax, piccolo) Roy Burrows, Ted Daniel (trumpet) Charles Greenlee, Grachan Moncur III (trombone) Howard Johnson (baritone sax)
Joe Lee Wilson, Anita Branham, Claudette Brown, Barbara Parsons, Ernestina Parsons, Jody Shayne, Anita Shepp, Johnny Shepp, Sharon Shepp (vocals)

変転の時
アーチー・シェップ
ユニバーサル ミュージック クラシック
2001-12-21


 Archie Shepp、1970年代初頭のぶっ飛んだファンクジャズ、というよりもアバンギャルドソウル、あるいはこの種もスピリチュアルジャズになるのでしょうか。
 さておき、冒頭のアカペラコーラスからおどろおどろしい感十分、ビートは徐々に強くなり、気がつけば分厚いホーンのアンサンブルとヴォイスの饗宴。
 LPレコード片面全一曲18分強、ひたすら一つのリフ。
 端正な4ビートなんてのは今は昔、重く激しいビートに魂の叫び系のヴォイス。
 強いメッセージが込められた、ただ事ではない緊張感。
 裏返して、短く優しいエレピの音とサックスのDuo、オアシス的なインタールドは束の間、さらにド激しい長尺ファンク。
 リフ一発、怒涛のパーカッションの中、狂気を纏ったバイオリン、ピッコロ、そしてコーラスがたっぷりフィーチャーされるアフロなファンク。
 陶酔感ってな言葉は生易しい、クラクラしてくる音の洪水。
 もちろんあの強烈なサックスがたっぷりフィーチャーされているのですが、周りの激しさに呑み込まれ、何処に行ったんでしょう・・・?ってな具合の激しさが最後まで続きます。
 怖いまでに押し寄せてくる音の洪水は、聞いてるだけでヘロヘロ、汗ダラダラ・・・
 このムードを引きずりつつ、洗練されたド激しいソウル"Attica Blues" (1972)へと続きます。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Way Ahead” (1968) Archie Shepp

“The Way Ahead” (1968) Archie Shepp

Archie Shepp (tenor sax) 
Walter Davis Jr., Dave Burrell (piano) Ron Carter, Walter Booker (bass) Roy Haynes, Beaver Harris (drums)
Charles Davis (baritone sax) Jimmy Owens (trumpet) Grachan Moncur III (trombone)

The Way Ahead
Universal Music LLC
2007-03-22


 Archie Shepp、1960年代末期、ぶっ飛んだジャズ。
 激しい系ジャズ“The Magic of Ju-Ju” (1967)と、激烈ファンクな“Things Have Got to Change” (1971)の間。
 楽曲はブルースに新主流派(懐かしい!)にフリーなオリジナル曲にEllington、各曲長尺な全四曲+ボーナストラック。
 ジャズの歴史をトレースするような選曲・・・ではありますが、演奏はぶっ飛んでいます。
 冒頭のスローブルースは、オーソドックスな演奏とブヒブヒグチョグチョなテナー。
 そこまではまだ普通、以降はあちこちに跳びまくるフリー混じりの先端系。
 離散的な曲、フリーな曲はもちろん、Ellingtonナンバーもメロディは見え隠れするものの、あっちに行ったりこっちに行ったり、変幻自在。
 ビートが定常な分だけクールにも感じられますが、フロント陣はぶっ飛んだりクダを巻いたり、やっぱり普通に吹いてみたり。
 ”Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyの少し遅れてきたShepp版・・・ちょっと違うかな?
 重くて沈痛、あの時代のドロドロな感じがうかがえる濃い一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Magic of Ju-Ju” (1967) Archie Shepp

“The Magic of Ju-Ju” (1967) Archie Shepp

Archie Shepp (tenor sax)
Reggie Workman (bass) Norman Connors, Beaver Harris (drums) 
Frank Charles (talking drum) Dennis Charles (percussion) Ed Blackwell (rhythm logs) Martin Banks (trumpet, flugelhorn) Mike Zwerin (bass trombone, trombone)

ザ・マジック・オブ・ジュジュ
アーチー・シェップ
UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
2008-11-25


 Archie Shepp、激しい系ジャズ。
 師匠John Coltraneが亡くなる少し前の録音。
 ジャケット、この時期のColtraneのイメージから考えると、凄まじい演奏を想像してしいます。
 アフリカンなパーカッションが怒涛のように鳴り響き、もちろんフリー混じり、武骨でとても激しい音です。
 が、常軌を逸した感じにはなりません。
 意外にも普通に聞けてしまうジャズ。
 ぶっ飛び、グシャグシャと崩れつつも、魂の叫び的にはならないArchie Sheppさんのサックス。
 ゴリゴリのジャズサックスながら、ブルース~R&Bの香りをたっぷり漂わせ、どこか醒めた感じ。
 同じ様にブヒブヒブギャーってやっても、師匠の鬼気迫る気高さに比べると、ちょっとヤクザでやさぐれた感じ。
 それがカッコいいんだろうなあ。
 怒涛の18分超、独壇場の “The Magic of Ju-Ju”が終わって複数の管が加わると、後は普通にジャズ。
 ピアノレスのクールな佇まい。
 ま、クールっても十二分に暑苦しいのではありますが・・・
 暑気払いの肝試しかサウナ効果があるかな?・・・さてどうでしょう?




posted by H.A.


【Disc Review】“Four for Trane” (1964) Archie Shepp

“Four for Trane” (1964) Archie Shepp

Archie Shepp (tenor sax)
Reggie Workman (double bass) Charles Moffett (drums)
Alan Shorter (flugelhorn) John Tchicai (alto sax) Roswell Rudd (trombone)

Four for Trane
Archie Shepp
Impulse
2000-07-04


 真夏の暑苦しいフリージャズシリーズ、Archie Shepp編。
 Archie Shepp、師匠に捧げた演奏集。
 ”A Love Supreme” (1964) John Coltrane の数カ月前の時期。
 Coltraneの楽曲中心ながら、そのオリジナルはもとより、”A Love Supreme” (1964)ともムードは異なります。
 むしろ、数カ月前の録音の“Out To Lunch” (1964) Eric Dolphyをオーソドックスにした感じでしょうか。
 ピアノレスならではのクールなムードに、あちこちに飛び散る素っ頓狂なホーン陣のアンサンブル。
 が、インプロビゼーションに突入すると端正な4ビートジャズ。
 黒々、ザラザラとした音、この人ならではテナーサックス。
 他のホーン陣もなんだかんだでオーソドックスなジャズ。
 なお、御大Miles Davis は”Miles in Berlin” (Sep.1964)の時期。
 そういえばこのバンドのビートも伸び縮みしているなあ・・・
 ぶっ飛びそうでぶっ飛ばない、危ういようでそうでもない、でもここまでとは何かが違う、そんな時代のそんな音。
 いろんな人がいろんなチャレンジをしている時期ですが、この期のぶっ飛び大賞は“Out To Lunch” (1964)でしょうかね、有名どころでは。
 いずれにしてもSheppさんのヤクザなテナーは、何をやってもカッコいい。




posted by H.A.



【Disc Review】“Partir” (2018) Elina Duni

“Partir” (2018) Elina Duni

Elina Duni (voice, piano, guitar, percussion)

PARTIR
ELINA DUNI
ECM
2018-04-27


 アルバニアをルーツとするボーカリストElina Duni、ECMでの第三作。
  “Matane Malit” (2012)、“Dallendyshe” (2014)と二作続いたピアノトリオとのバンドから、本作は自身で楽器を演奏したソロでの制作。
 ピアノ、ギター、パーカッションの弾き語りを中心として、ここまでの諸作に増して静かでゆったりとしたムード。
 音を探すように置かれていくギター、ピアノと美しい声。
 背景の音が薄いだけに、美しい声の透明度がより際立って聞こえてきます。
 楽曲はここまでの同様に、アルバニア、バルカン半島トラディショナル。
 アルバニアがどんな場所なのかは知りません。
 南ヨーロッパの陽光に包まれた温かい場所なのだろうと思いますが、ヨーロッパと中近東の狭間、政治体制の狭間なだけに、歴史的にもいろいろ訳ありな場所なのでしょう。
 全体を包み込む仄かな哀しさ、祈りにも似たムード。
 かといって絶望とはニュアンスが違う、暗くはない柔らかな空気感。
 南米系Saudadeと比べると、遠い所を眺める感じは同様ですが、より強く直接的な哀しさを感じます。
 ちょうどジャケットのさりげないポートレートのような音。
 この空気感がアルバニアンSaudadeなのでしょうかね。
 これまた非日常へのトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Dallendyshe” (2014) Elina Duni Quartet

“Dallendyshe” (2014) Elina Duni Quartet

Elina Duni (voice)
Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Norbert Pfammatter (drums)

Dallëndyshe
Deutsche Grammophon ECM
2015-04-17

 アルバニア出身のボーカリストElina Duni、ECMでの第二作。
 前作“Matane Malit” (2012)と同様のピアノトリオにサポートされた、地中海エスニックな香り、あるいはバルカン半島色が漂う、不思議系ヨーロピアン・コンテンポラリー・フォーキー・ジャズ。
 本作もアルバニア、コソボなどのトラディショナルが中心。
 強い違和感やエキセントリックさはありませんが、不思議感たっぷり。
 基本的には前作と同様なのですが、音のイメージがシャープになり、一聴で強い印象が残る演奏が増えたように思います。
 前作では遠慮気味にも聞こえたColin Vallonトリオが、リーダー作とも少し違ったイメージの演奏。
 バンドのグルーヴが強くなるとともに、インプロビゼーションの場面が増えた感じ。
 複雑なビートを纏いながら明後日の方向に疾走し拡散していくようで、なぜかいい感じに納まっていく音の流れ。
 ピアノソロが前面に出て、美しく繊細な音でぶっ飛んだ音の動き。
 ヨーロピアンコンテンポラリージャズな香りも濃厚。
 結果、淡々とした印象の前作に対して、起伏、うねりがより強く感じられる本作。
 ちょうどジャケットのポートレートの変化と同じく、モノクロからカラーに変わった感じ。
 もちろん主役のヴォイスは美しく儚い歌。
 非日常感たっぷりですが、気難しくも暗くもありません。
 名作だと思います。



posted by H.A.


【Disc Review】“Matane Malit” (2012) Elina Duni Quartet

“Matane Malit” (2012) Elina Duni Quartet

Elina Duni (voice) 
Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Norbert Pfammatter (drums)

Matane Malit
Elina Quartet Duni
Ecm Records
2012-10-16


 アルバニア出身のするボーカリストElina Duni、ECMでの第一作。
 エスニックでフォーキーな音。
 敬虔な空気、全体を包み込むほのかな悲哀。
 中近東とヨーロッパが入り混じるような不思議感たっぷりなメロディは、アルメニア、コソボなど、バルカン半島系の伝統曲が中心。
 Sinikka LangelandSavina Yannatouなどの古楽、あるいは地中海トラディショナル路線、Cyminologyなどの中近東・ヨーロッパのフュージョン、それらの中間あたりのイメージでしょうか。
 サポートはスイスのピアニストColin Vallonを中心としたピアノトリオ。
 終始ピアノが前面に出るスタイルではなく、リフを繰り返しつつドラムとべースも含めて三者でテンションを上げていく、ミニマルジャズスタイル。
 そんな音を背景にした、透明度の高い美しいヴォイス、クラシック色も混ざる完璧な歌。
 ゆったりとしたビートとときおりの疾走、力の入らない優し気な歌は、アラブ系の激情やエキセントリックさはなく、ギリシャ系、古楽系の非日常感もそれほど強くはありません。
 フォークの色合いが強いのですが、そこにサラリと中東色、地中海色、宗教色が混ざり合う感じのバランス。
 サラサラと流れていくようで、後ろ髪を引かれるような、どこか違う微妙な音の流れ。
 やはりどこか遠い所に誘うトリップミュージック。




posted by H.A.


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