吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年07月

【Disc Review】“Danse” (2017) Colin Vallon & Patrice Moret & Julian Sartorius

“Danse” (2017) Colin Vallon & Patrice Moret & Julian Sartorius

Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Julian Sartorius (drums)

Danse
Colin -Trio- Vallon
Ecm Records
2017-01-27


 スイスのColin Vallon率いるピアノトリオ、ECMでの第三作。
 前作“Le Vent” (2014)と同様、不思議感たっぷりのコンテンポラリージャズ。
 音のイメージは少しずつ変化しています。
 クラシカルな色合いはそのまま、ミニマルな感じは抑えられ、より繊細になったイメージ。
 かといってオーソドックスなジャズに近づいたわけでもなく、アバンギャルドでもない、何とも不思議な音。
 シンプルなようで複雑なビート。
 三者三様、ピアノの右手と左手さえも違うビートを出しているような、それでいて拡散することなくピッタリと収まっていく、摩訶不思議なサウンド。
 沈んだムードのメロディ、リフは決してキャッチーではありませんが、難解でも沈痛でもありません。
 乾いた音、静かで繊細なドラム、揺らぎつつもペースを作るベース、そして美しいピアノ。
 硬質なリフで同じところを徘徊しているようで、気がつけば崩れ落ちるような儚い音、疾走を伴ったスムースな音、あるいはジャズなインタープレー、フリーなインプロビゼーション・・・、変幻自在、予測できない音の流れ。
 どれもが計算された演奏のようにも、即興のようにも聞こえます。
 アルバム全体の一貫したムード、どのカテゴリにも寄らない独特の構成、複雑ながらスッキリとまとまった質感は、前作まででやろうとしてきたことが完成したようにも思えます。
 とにもかくにも、美しい音で編み上げられる、とても繊細な音絵巻。
 これが21世紀型ジャズの新しい形、と言われれば納得の一作。




posted by H.A.

【Disc Review】“Le Vent” (2014) Colin Vallon & Patrice Moret & Julian Sartorius

“Le Vent” (2014) Colin Vallon & Patrice Moret & Julian Sartorius

Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Julian Sartorius (drums)

Le Vent
Colin Trio Vallon
Ecm Records
2014-03-18


 スイスのColin Vallon率いるピアノトリオ、ECMでの第二作。
 前作“Rruga” (2011)からドラマーが交代しましたが、そちらと同様、ミニマルな感じも強い不思議系ヨーロピアンジャズ。
 繊細さはそのまま、本作は少々ダークなムード。
 重めのビート、徘徊するようなフレーズの繰り返し、徐々にテンションと音量を上げていくバンド。
 かといって、完全にミニマル的でもなく、目まぐるしく形を変え、また、インプロビゼーションを交えつつ、微妙に、ときに大胆に景色は変化していきます。
 そんなハイテンションな演奏の合間にちりばめられらた不思議なバラード。
 響きを殺したピアノが琴のように聞こえる場面、日本的なメロディもちらほら。
 冒頭曲の“Juuichi”は十一のことなのでしょうし、Nik Bärtschさんと同じく、スイスのミニマル系の人は日本的なストイシズムがお好みなのでしょうかね?
 また、前作のそこはかとない哀しさが、沈痛、あるいは祈りにも似たムードに変わってきた感じにも聞こえます。
 ときに激しく、ときにアバンギャルド、ドラマチックながら、あくまでクールで上品。
 オーソドックスなジャズではない、ミニマルジャズでもない、先端変拍子ジャズでもない、アヴァンギャルドでもなく、クラシカルでもない。
 その他含めた諸々が不思議に混ざり合う、新感覚なピアノトリオ。




posted by H.A.



【Disc Review】“Rruga” (2011) Colin Vallon & Patrice Moret & Samuel Rohrer

“Rruga” (2011) Colin Vallon & Patrice Moret & Samuel Rohrer

Colin Vallon (piano) Patrice Moret (double-bass) Samuel Rohrer (drums)

Rruga
Colin Trio Vallon
Ecm Records
2011-05-10


 スイスのピアニストColin Vallon率いるトリオ、ECMでの第一作。
 テーマ~ソロといったオーソドックスなジャズではなく、アンサンブル中心、同じフレーズを繰り返しつつ抑揚をつけていくミニマルなスタイルを取り込んだ演奏。
 同じくスイスのNik Bärtschのようにパキーンとした、あるいはファンクな感じではなく、繊細でジャズに寄った色合い。
 複雑なビート感、タメを効かせて哀しげで妖しいメロディを奏でつつ、明後日の方向に動いていくピアノ。
 もちろんその美しさはECMならではの折り紙付き。
 複雑に自由にビートを繰り出しつつ徐々にテンションを上げていくドラム。
 堅実に背後を支えるベース。
 そんな三者が絡み合いつつ、静謐から高揚、疾走、美しいメロディからアバンギャルド、さまざまな綾を織りなしながら変化していく音。
 繊細、それでいてハイテンション。
 いわゆるソロの場面もあるのですが、それよりもバンドの三者が一体となってグルーヴし、浮き、沈み、突っ走っていくイメージが強く印象に残ります。
 オーソドックスなジャズになりそうでならない、アバンギャルドに行きそうで行かない、エスニックになりそうでならない、凶悪・沈痛になりそうでならない、意外な方向に動いていく音。
 変幻自在の21世紀型ジャズは、静かで繊細、そしてエキサイティング。




posted by H.A.



【Disc Review】“Awase” (2017) Nik Bärtsch’s Ronin

“Awase” (2017) Nik Bärtsch’s Ronin

Nik Bärtsch (piano)
Sha (bass clarinet, alto saxophone) Thomy Jordi (bass) Kaspar Rast (drums)

Awase
Nik -Ronin- Bartsch
Ecm Records
2018-05-04


 スイスのピアニストNik Bärtschの最近作。
 バンドは妖しく繊細なNik Bärtsch's Mobileから再びRoninに戻り、ミニマルファンクな音。
 パキーンとした音、人力ながらデジタルな感じも戻ってきました。
 ベーシストが交代しパーカッションが抜けたこともあるのか、マッチョな感じが希釈され、よりシャープにスッキリしたようにも感じます。
 冒頭は“Continuum” (2015)で演奏されていた”Modul60”。
 そちらのKing Crimsonな感じがジャジーでクールな印象に様変わり。
 続く18分を超える”Modul 58”は、複雑な構成のハードなビート、スピードを上げつつ、はるか彼方にぶっ飛んでいくハイテンションファンク。
 妖しく漂うような”A”を経過し、再びハイテンションなファンク”Model 36”へ。
 ってな感じで、ハイテンションな疾走、高揚と幻想が交錯する構成。
 ”Model 36”は、“Stoa” (2005)に収められた曲の再演となりますが、カッチリしていてプログレッシブロックっぽい感じのそちらに対して、少し線が細め、シャープになった本作のバージョン。
 ジャズなインプロビゼーションの場面はありません。
 が、スッキリと軽快になった印象に加えて揺らぎが強い分だけジャズに寄ったようにも感じます。
 ハードで躍動感が強い“Stoa” (2005), “Holon” (2007)、沈んだ感じの"Llyrìa" (2010)、妖しい“Continuum” (2015)、スッキリした本作、ってな感じでしょうか。
 いずれにしても、繰り返しされるリフが誘う陶酔感、緊張感と疾走がもたらすカタルシスに浸るか、徐々に遷り変わる景色の変化を楽しむか。
 スッキリしたミニマルファンク・ジャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Continuum” (2015) Nik Bärtsch's Mobile

“Continuum” (2015) Nik Bärtsch's Mobile

Nik Bärtsch (piano)
Sha (bass clarinet, contrabass clarinet) Kaspar Rast (drums, percussion) Nicolas Stocker (drums, tuned percussion)
Etienne Abelin, Ola Sendecki (violin) David Schnee (viola) Solme Hong,  Ambrosius Huber (cello)

Continuum [12 inch Analog]
Nik's Roni Baertsch
Ecm
2016-03-18


 スイスのピアニストNik Bärtsch、ミニマル系ジャズ。
 ここまでのNik Bärtsch’s Roninからベースが抜け、一部でストリングスが加わる新しい編成。
 音の構成は、同じフレーズを繰り返しつつ抑揚とうねりをつけていくここまでの諸作のスタイルと同様ですが、ファンク色が抑制されたイメージ。
 輪郭が明確だった音に紗が掛かった感じ。
 音量、躍動感が抑えられ、妖しさダークさが増幅。
 ストリングスも華やかさや優雅さではなく、妖しく沈んだ色合いを加える役回り。
 ファンクなエレキベースが抜けることで揺れが増し、より繊細になり、人力ながらデジタルな感じが希釈されたイメージ。
 静謐で凛とした感じ、雅な瞬間もちらほら、Ronin諸作よりも日本的かもしれません。
 あるいは、緊張感のあるリフをひたすら繰り返しつつ徐々に高揚していく中、もの哀しげなバイオリンの音が飛び交う様は、一時期のKing Crimsonのよう。
 全編通じて沈んだムードの映画のサントラのように聞こえてきます。
 いずれにしても繰り返しが陶酔を誘う麻薬性の高い音。
 抑制された緊張感、ダークネスに包まれた高揚感、陶酔感を求める向きには、こんな感じがいいんだろうなあ。


 

posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)



 2019年、監督マイケル・ドハティ、出演カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード、渡辺謙、サリー・ホーキンス、チャールズ・ダンス、他。
 『GODZILLA ゴジラ』(2014)の続編。
 前作から経つこと5年、姿を潜めていたゴジラ。
 徐々に目覚め始める怪獣(タイタン)たちと、それそれに呼応するように動き出すゴジラ、取り巻く怪しい人間たちの動き。
 美しい光に包まれるモスラ、凶悪なラドン、神々しいまでに禍々しいキングギドラ。
 なんだかとてもカッコよくなってしまった懐かしいジャパニーズ怪獣の姿は、その世代の人にとっては、それだけで何ともいえない感慨でしょう。
 前作でのなかなか全体像を見せない怪獣たち、要所でのスローモーション、無音の時間など、強烈な緊張感を醸し出す凝った演出はあまりありません。
 遠慮なしの直球勝負、いきなり登場しての肉弾戦に空中戦、熱線、光線のぶつけ合い。
 これでもかこれでもかの凄まじい戦闘場面の連続、それを支える凄まじいCG、これまた凄まじい大音量。
 不可解な人間たちの心理やら行動やら、何人かのキーパーソンのあっけない死やら、怪獣たち同士の関係性?やら、もっと何とか・・・とか思ったりもするのですが、ま、それもお好みでしょう。
 とにもかくにも、ゴジラのテーマやらモスラの歌やらから『シン・ゴジラ』(2016)までを含めて、ジャパニーズゴジラへの愛がたっぷり詰まったハリウッド製ゴジラ。 
 難しく考えないで、カッコいい怪獣たちとその美しい?映像、凄まじいまでの戦闘劇を楽しむのが吉。




posted by H.A.


【Disc Review】“When Will The Blues Leave” (1999) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

“When Will The Blues Leave” (1999) Paul Bley, Gary Peacock, Paul Motian

Paul Bley (piano) Gary Peacock (double bass) Paul Motian (drums)

When Will the Blues Leave
Paul Bley
Ecm
2019-05-31


 マスターたちのピアノトリオ、未発表ライブ音源、2019年発表。
 鬼のような“Not Two, Not One”(1998)制作後のステージ。
 そちらとは少々違って、ダークネスとアバンギャルドな色合いはほどほどに抑制されたジャズ。
 楽曲はPaul Bleyを中心に、Gary Peacock、Ornette Coleman、ジャズスタンダードなど。
 冒頭は意外にも明るい色合い、Ornette Colemanが見え隠れする、ぶっ飛んだフリーが入り混じるジャズ。
 自由です。
 オモチャ箱をひっくり返したような音の洪水、それでいてグチャグチャな感じはなく、スッキリとまとまった、さすがの名人芸。
 続くはPaul Bleyのトレードマーク、全編ルバートでの美バラード。
 タメにタメにタメて置かれていく美しい音、センチメンタルなメロディ。
 感傷を纏いながら突然崩れていく儚さと狂気。
 そのピアノどう合わせるのか思案のベースとドラム、危ういバランスの美しさ。
 同様の演奏は、上掲アルバムから”Dialogue Amour”、さらにソロピアノの演奏も。
 どこかで聞いた超美メロの断片が、まるで記憶を想い起こすように現れ、そして崩れていきます。
 「耽美」ってな言葉が一番似合う、いかにもPaul Bleyさんの音。
 そんな感傷と自由が変幻自在に交錯するピアノに、動きまくるベース、虚空に響くシンバル。
 ぶっ飛びながらもスッキリしたアヴァンギャルドとベタベタの感傷が交錯、錯綜するステージ。
 同じく超名人たちのKeith Jarrett Standardsよりも明暗、動静の落差、変化が大きく、その分ぶっ飛んだ感じがするのかもしれません。
 未発表だった理由はジャズな成分が少々強めなことぐらい?・・・ってなのも変ですが、普通にジャズとして「も」聞ける名演奏集。
 なお、お三方のうち、既に二人が鬼籍に入ってしまっているのが何とも・・・




posted by H.A.


【追悼】Joao Gilberto





Chega de Saudade” (1959)
O amor, o sorriso e a flor” (1960)
Joao Gilberto” (1961)
(“The Warm World of João Gilberto” (1958-1961))
  “Getz/Gilberto” (18,19,Mar.1963)
  “Getz/Gilberto Vol. 2” (Oct.1964) 
  "Herbie Mann & João Gilberto with Antônio Carlos Jobim" (1965)
João Gilberto” (1972-1973)
  “The Best of Two Worlds”(May.1975) 
  “Getz/Gilberto'76” (May.1976)
Amoroso” (1976)
 "João Gilberto Prado Pereira de Oliveira" (1980) 
Brasil” (1981)
 “Live in Montreux” (1985)
João” (1991)
 "Eu Sei que Vou Te Amar" (1994)
 "Live at Umbria Jazz" (2002)
João Voz e Violão” (2000)
 “In Tokyo” (2003)


posted by H.A.

【Disc Review】“Guamba” (1987) Gary Peacock

“Guamba” (1987) Gary Peacock

Gary Peacock (bass)
Peter Erskine (drums) Jan Garbarek (tenor, soprano sax) Palle Mikkelborg (trumpet, flugelhorn)

Guamba -Reissue/Digi-
Gary Peacock
Ecm
2019-05-17


 Gary Peacockの1987年作。
  先の“Voice from the Past – Paradigm” (1981)と同様の編成のピアノレス二管カルテットですが、Jan Garbarekを残してメンバーを変更。
 素直なドラムにスッキリ系のトランペット、全体のサウンドも焼けた金属片が混ざるようなオイル臭さが抜けた感じでしょうか。
 軽快なドラムにクールでスタイリッシュなトランペット、やはりドロドロなサックス。
 もちろん全体を支配するのは、あの男臭いベースの音の動きと哀し気なメロディ。
 交錯する疾走と浮遊、ときおり表出する狂気。
 やはり前作と同様、ハードボイルドでやるせないGary Peacockワールド。
 前作はジャケットも夜なイメージでしたが、本作は不穏な雲に覆われた昼のポートレート、そのままの音。
 闇をベースとした陰影の前作に対して、薄暗い日中のような陰影の本作。
 いずれも気難しいのですが、ECMのアートを感じるには、とてもいい感じのバランスの二作のようにも思います。

※別のアルバムから。


posted by H.A.


【Disc Review】“Voice from the Past – Paradigm” (1981) Gary Peacock

“Voice from the Past – Paradigm” (1981) Gary Peacock

Gary Peacock (bass)
Jack DeJohnette (drums) Jan Garbarek (tenor, soprano sax) Tomasz Stańko (trumpet)



 Gary Peacockの1981年作。
 超名作“Tales Of Another” (1977)、“Standards, Vol. 1” (1983)の間の制作。
 この時点で今も続く相棒となっていたのであろうJack DeJohnetteに加えて、Jan Garbarek, Tomasz Stańkoの鬼のような二管、ピアノレス。
 激しく、ハイテンション、甘味なし、気難し気で沈痛、ハードボイルドな音が聞こえてきそうなメンツですが、そのまんま。
 激しく動くベース、自由に飛び交うシンバル、哀し気なメロディを奏でるアンサンブルと抑制的ながらときおり狂気が表出するインプロビゼーション。
 強烈な疾走と浮遊の交錯、ダークネスに包まれた時間。
 冒頭のタイトル曲”Voice from the Past”、同じくつわもののMarilyn Crispell, “Amaryllis” (2000)での再演がとても優しく聞こえてくるのは、女性ゆえでしょうか。
 こちらは男臭い悲哀に糊塗されたされた音。
 が、スピードを上げ、あるいは混沌に陥り狂気にとらわれているようでも、なぜかどこかで抑制されているストイックなムード。
 あくまで静かで沈み込むような、やるせない悲哀。
 つわものたちが絞り出す、苦み走った音。
 決して怖くはありません。
 たぶん。

※同タイトル曲、別アーティストのカバー。こちらはスッキリ系。


posted by H.A.


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