吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年05月

【Disc Review】“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

“Ochumare” (2012) Yilian Cañizares

Yilian Cañizares (Violin, Vocals)
Abel Marcel Calderón Arias (Piano) David Brito (Double Bass) Cyril Regamey (Drums, Percussion)

Ochumare
Canizares
Naive Jazz
2013-08-27


 キューバ出身の女性バイオリニスト&ボーカリストのキューバンコンテンポラリージャズ、ボーカル入り。
 “Aguas” (2017) でOmar Sosaと共演していた人。
 スイス在住のようで、メンバーは南米、ヨーロッパの混成チーム、コンテンポラリージャズなピアノトリオ。
 ラテンなビートに上品で美しいピアノ。
 グルーヴィーに突っ走るピアノトリオに、旧上昇、急降下を繰り返す、ときおり激情が混ざるバイオリン。
 ちょっと不思議系、エスニックなメロディを口ずさむ、妖しくハイテンションなヴォイス。
 といっても、怒涛のキューバンジャズには、なりそうでなりません。
 ラテンなムードたっぷりながら、上品で抑制されたヨーロピアンジャズが不思議に混ざり合う空気感。
 そんな中を自在に駆け巡るバイオリンとヴォイス。
 暑すぎず寒すぎず、激しすぎずおとなしすぎない、ほどほどのバランス。
 ビジュアルの華やかさも含めて、そろそろブレイクしそうな予感がするのだけど、さて?




posted by H.A.


【Disc Review】“The Gabby Pahinui Hawaiian Band Volume 1” (1975) The Gabby Pahinui Hawaiian Band

“The Gabby Pahinui Hawaiian Band Volume 1” (1975) The Gabby Pahinui Hawaiian Band

Gabby Pahinui (Steel Guitar, 12string Guitar, Bass)
Leland "Atta" Isaacs, Bla Pahinui, Sonny Chillingworth (Guitar, Vocals) Ry Cooder (Mandolin, Tiple) Cyril Pahinui, Randy Lorenzo (Bass, Guitar, Vocals) Manuel "Joe Gang" Kapahu (Bass) Milt Holland (Drums) Gabby Pahinui (Percussion) Nick DeCaro (Accordion) Keli‘i Tau‘a (Chanter)

Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1
Gabby Pahinui ギャビーハピヌイ
Panini
1996-10-27


 ハワイのスチールギターを中心としたアーティストGabby Pahinui、ハワイアン・アコースティック・フォークなんて言葉が似合いそうな音。
 あのRy Cooderの名作 “Chicken Skin Music” (1976)に参加していた人。
 それに漂うハワイなムードはもちろんこの人の色合い。
 ギター中心とした弦楽器の絡み合い、さらにいかにもハワイな余裕たっぷり、裏声たっぷりなテノールヴォイスがフューチャーされます。
 ホテルのラウンジで流れていそうな洗練されたイージーリスニング系ではなく、ネイティブな感じもたっぷり。
 もちろん全編楽園ムード。
 のほほんとしたメロディに、ゆるーくてワイワイとした賑わい。
 そんな音の流れの中にテローンと響くスチールギターが心地よいこと、この上なし。
 Ryさんも数曲に参加、“Chicken Skin Music” (1976)っぽい感じもそこかしこ、というか、ここからの流れだったのでしょうね。
 あるいは後の“Buena Vista Social Club” (1996) のハワイ版ってな感じもしますかね。
 とてもエレガント。




posted by H.A.


【Disc Review】“Luiza” (1964) Luiza

“Luiza” (1964) Luiza

Luiza (vocal) 
Moacir Santos (Arranged, Conductor) and others

ルイーザ
ルイーザ
BMG JAPAN
2002-05-22


 ブラジルの女性ボーカリストLuizaの唯一のアルバム。
 ジャズサンバコンボとときおりストリングスを従えたジャジーなMPB。
 ジャケットの女優然とした可憐な写真があるだけで、経歴、フルネームすらよくわからない謎の美人さん。
 が、このアルバムは最高。
 洗練されたジャズサンバコンボを背景にした、しっとりしているようなサラリとしているような、微妙なシルキーヴォイスのクールな歌。
 演奏はタイトでかっこいいし、声は最高、もちろん歌唱力もバッチリ。
 楽曲はあまり知られていないブラジル曲が中心ですが、どれもメロディアスでキャッチー。
 掘り出し物というか、ブラジルにはどれだけ素晴らしいボーカリストがいるのか、知らないところにどれだけ素晴らしい音源があるのか、はかり知れないというか・・・
 1960年代、隠れた?名作ブラジリアンポップス。
 

 

posted by H.A.


【Disc Review】“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

“Alaide Costa” (1965) Alaide Costa

Alaide Costa (vocal)
and others

アライジ・コスタ BOM1136
アライジ・コスタ
ボンバ・レコード
2014-09-06


 ブラジルの女性ボーカリストAlaide Costa、ジャジーな1960年代MPB。
 元気なジャズサンババンドに、ハスキーヴォイス。
 現代の音楽でも聞こえてきそうなホーン陣のオブリガードがカッコいい
 さらにストリングスも交えながらのちょっと派手に過ぎませんかねえ・・・なんて変幻自在なアレンジ。
 それが時代感があっていい感じ、っちゃあその通り。
 Chico Buarqueの魅惑なメロディから始まって、知る人ぞ知るのであろうブラジルのメロディたち。
 少しねっとりした感じで遅れ気味に置かれていく声。
 ボサノバやフォーク調もあるのですが、派手なアレンジと混ざり合って“夜”な感じ。
 サラリとしたMPBをついつい好んで聞いてしまうのですが、時にはこんなテイストもいい感じ。
 ちょっと濃いめの1960年代ブラジリアンポップス。


 

posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『ミスター・ガラス』(2019)

『ミスター・ガラス』(2019)

ミスター・ガラス (字幕版)
ジェームズ・マカヴォイ
2019-04-17


 監督・脚本M・ナイト・シャマラン、出演ジェームズ・マカヴォイ、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、アニャ・テイラー=ジョイ、サラ・ポールソン他。
 不死身のヒーローサスペンス『アンブレイカブル』(2000)と多重人格サイキックサスペンス『スプリット』(2016)のストーリーを合体させた続編。
 MarvelやらDC-Comicsやらの流行りに乗って・・・ではなくて、もともと『アンブレイカブル』(2000)制作の際に構想していた模様。
 『スプリット』の獣と化す多重人格者”ケヴィン”、『アンブレイカブル』の不死身のヒーロー”ダン”。
 諸々を経て二人は逮捕され、『アンブレイカブル』のサイコな”イライジャ”が収容されている精神病院に集結。
 なぜ三者はそこに集まったのか?
 裏表で動く秘密組織と思しき面々。
 さらに『スプリット』の訳ありヒロイン”ケイシー”、ダンの息子も絡みつつ、さて、どんなどんでん返しが待ち受けているのやら・・・
 M・ナイト・シャマランらしいダークな空気感はいつも通りですが、ホラー度はなし、その分珍しくアクション多めでしょうか。
 なるほど先の二作はそう繋がって、こんな感じで結ぶのかあ・・・に加えて、やはり彼なりのスーパーヒーローモノのやり方を世に問いたかったのかなあ・・・とか思ったり。
 諸々含めて、彼の作品としては異色なのかもしれません。
 が、やはり彼流、終盤に二転三転の急展開。
 一筋縄ではいかない、ひねったスーパーヒーローモノな一作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Metamodal” (2018) Sokratis Sinopoulos Quartet

“Metamodal” (2018) Sokratis Sinopoulos Quartet

Sokratis Sinopoulos (Lyra)
Yann Keerim (Piano) Dimitris Tsekouras (Double Bass) Dimitris Emmanouil (Drums)

Metamodal
Sokratis -Qua Sinopoulos
Ecm
2019-03-15


 ギリシャのlyra奏者Sokratis Sinopoulos、ECM制作。
 前作“Eight Winds” (2015)と同じメンバーのピアノトリオがサポートした、古楽あるいは地中海トラディショナル・ジャズフュージョン。
 本作も幽玄な弦の音たっぷり、敬虔で物悲しい空気感ながら、現代的なそしてジャズ的な音。
 とても美しく儚げなピアノの音。
 ハラハラと零れ落ちてくるようなその音が、Lyraの古風な響き、エスニックな音の動きを現代ヨーロッパに引き戻してくる、そんなバランス。
 中近東やインド系と共通する、常時哀しみが流れているようなメロディ、そして悠久なんて言葉が浮かぶ音の流れ、あくまで静かで抑制された音。
 美しいピアノトリオ、哀感を湛えたメロディ、そしてアルコで弾かれるLyraの響きが醸し出す浮遊感が相まって、気がつけば非日常の時間。
 どこか遠い懐かしい世界へ誘うトリップミュージック。
 とても穏やかで上品なので、安心してトリップできそうです。




posted by H.A.


【Disc Review】“Epistrophy” (2016) Bill Frisell

“Epistrophy” (2016) Bill Frisell

Bill Frisell (Guitar)
Thomas Morgan (Double Bass)

Epistrophy
Bill Frisell
Ecm
2019-04-11


 カリスマBill Frisellと若手名ベーシストThomas MorganのDuo作品、ライブ録音。
 舞台はニューヨークVillage Vanguard。
 “Small Town” (2016)と同じタイミングの録音なのでしょう。
 同じ質感、静かで強烈な浮遊感、でもしっかりと軸の見える、妖しく美しい演奏。
 冠されたThelonious Monkにジャズスタンダードをたっぷり、かつての盟友Paul Motian曲に、映画曲などなど。
 ジャズあり、アメリカンノスタルジーあり、少々のアバンギャルドあり。
 “Small Town” (2016)と同じ感じですが、こちらの方がジャズスタンダードが多い分だけジャズ度が高く、また、スローバラードが多い分だけ、オーソドックスにメロディアスにまとまった感じでしょうか。
 もちろんギターは不思議感、浮遊感たっぷり、ロック、カントリー、少しのジャズが交錯するあの名人芸。
 かつての素っ頓狂さ、ときおりの凶悪さは影を潜め、ほどほどのリバーブが効いたクリーントーン。
 近年の色合いのソリッドな音は、少し枯れた感じを醸し出しつつの、幽玄なムード。
 ベースはキッチリとギターに反応しつつ音数もたっぷり。
 が、出しゃばることなく、静かなグルーヴ、少し沈んだクールなムードを作る、これまた名人芸。
 あちこちを漂い、消え入りそうになりながらも、落ち着くところにスッキリ収まっていく音の流れ。
 不安には陥らない、心地よい幻想へと誘うトリップミュージック。




posted by H.A.


【Disc Review】“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith

“Divine Love” (1978) Leo Wadada Smith

Leo Wadada Smith (Trumpet, Flugelhorn, Percussion)
Bobby Naughton (Vibraphone, Marimba, Bells) Lester Bowie, Kenny Wheeler (Trumpet) Dwight Andrews (Alto Flute, Bass Clarinet, Tenor Sax, Percussion) Charlie Haden (Double Bass)

Divine Love
Leo Smith
ECM
2019-01-18


 フリージャズ系のトランペッターLeo Wadada Smithの1970年代型スピリチュアルジャズ、ECM制作。
 “Lebroba” (2017) Andrew Cyrilleで齢70歳を超えてもキリッとした音の人の若き日、約40年前のアルバム。
 ドラムレス、ビブラフォンとホーンを中心とした変則な編成。
 各曲長尺な全三曲。
 フリージャズ、スピリチュアルジャズ、その他が入り混じる、妖しく、静かな音。
 LPレコードでのA面は、ビブラフォン、パーカッションが背景を作り、漂うようなフルート、トランペットが穏やかに絡み合う瞑想サウンド。
 ときおりの不穏なフレージングから怖い方向に流れて行きそうでそうはならない、フワフワとした時間がひたすら続きます。
 LPレコードでのB面に入るとECM御用達の大物トランペッターが加わり、不思議なホーンアンサンブルが展開されますが、これまた静かです。
 激しく高速なフレーズの絡み合いも、たっぷりのエコーに包まれ、幻想的な音の流れ。
 もちろんフリー度たっぷりですが、激情にも凶悪にもならない、穏やかな非日常感。
 どこを切り取っても強烈な浮遊感、静かで妖しい瞑想~トリップミュージック。
 とても心地よいのですが、さて、行き着く先はどこでしょう?




posted by H.A.


【Disc Review】“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

“Lebroba” (2017) Andrew Cyrille

Andrew Cyrille (Drums)
Wadada Leo Smith (trumpet) Bill Frisell (guitar)

LEBROBA
CYRILLE/SMITH/FRISEL
ECM
2013-01-18


 フリージャズ系のドラマーAndrew Cyrilleの変則トリオ、ECMから。
 これまたフリージャズ系のトランペッターに、なんでもありのBill Frisell
 平均年齢70歳を超えるのであろう大ベテラン、大御所、曲者たちの集い。
 ベースレスでワンホーン、Bill Frisellとくれば、往時のPaul Motianトリオを想い起こしますが、その続編のような幻想的な音。
 漂うように哀し気なメロディを紡ぐトランペットは、年齢を感じさせない端正な音。
 それに寄り添うようなギター、それらに合わせるように、あるいは無視するかのように自在にビートを繰り出すドラム。
 ルバートでのスローバラードから次々と表情を変えていく音の流れ。
 拡散していくようで、そうはならず、かといってオーソドックスなところには決して落ち着きません。
 かといって難解至極にはならず、凶悪になるのもほんのわずかなギターの激しいディストーションの場面のみ、あくまで穏やかでクールな音。
 自由でノンジャンルなようで、流れる空気感はやはりジャズ。
 まだまだやんちゃ、でも混沌には行かない。
 歴戦のつわものたちの妖しく、但し、落ち着いた音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Imaginary Friends” (2018) Ralph Alessi

“Imaginary Friends” (2018) Ralph Alessi

Ralph Alessi (Trumpet)
Andy Milne (Piano) Drew Gress (Bass) Mark Ferber (Drums)
Ravi Coltrane (Soprano, Tenor Sax)

IMAGINARY FRIENDS
V/A
ECM
2019-02-19


 アメリカントランペッターRalph Alessi、ECMでの第三作。
 “Badia” (2012)、”Quiver” (2014)とワンホーンカルテットが続きましたが、本作ではサックスを加えたジャズの王道、二管クインテット。
 ベース以外のメンバーは交代、サックスはいまやベテランRavi Coltrane。
 メンバーは変わりましたが、サウンドはここまでと同様、今風ジャズのバンドとキリッとした端正なトランペットに、ECMならではの強い浮遊感が混ざり合う音。
 ルバートのような、クールで軽快な今風なビートのような、やっぱりなんだかんだでジャズのような、摩訶不思議な質感。
 楽曲はクールなムードながらこれまた不思議系のメロディ。
 ほどほどの緊張感、ほどほどのシャープネスと、ほどほどの浮遊感、ほどほどの妖しさ。
 Ravi Coltraneも父上のような激情サックスではなく、今風、あるいはECMらしい、クールかつ漂うような音使い。
 ニューヨークなECMサウンドってな形容も変ですが、そんな感じ。
 クールでスタイリッシュでキリッとしているようで、淡くてどこか予想外の方向へ動いていく、浮遊感たっぷり、不思議感たっぷりのコンテンポラリージャズ。




posted by H.A.


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