吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年03月

【Disc Review】“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu

“Summerwind” (2018) Lars Danielsson & Paolo Fresu 

Lars Danielsson (bass, cello) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn)

Summerwind
Paolo Fresu
Act
2018-09-28


 スウェーデンのベーシストとイタリアのトランペッター、大御所二名のDuo作品。
 下の方でうごめくベースあるいはチェロと、ゆったりと漂うようなクールなトランペット。
 冒頭、あの”枯葉”が別のモノのように響きます。
 二人のオリジナル曲を中心に、いくつかのヨーロピアンメロディ。
 Lars Danielssonのあの激甘メロディは抑制され、淡い色合いの漂うような音の流れ。
 内省的で沈んだ空気感。
 躍動するベースと、ゆったりしたトランペットの感傷的な音。
 今にも静止しそうなほどに漂いながら、ときに強烈に加速しながら、静かな時間は進んでいきます。
 各曲短い演奏、三分に満たない楽曲も散りばめられ、次々と切り替わっていく淡い景色。
 遠い過去を眺めているようにも聞こえるし、何気ない日常のクールダウンのようにも聞こえます。
 クールな佇まい、静かでスタイリッシュ、淡い色合い、沈んだ空気感。
 やはりメロディアス。
 日常の喧騒から離れ、夢うつつな時間が流れていくような心地よさ。
 そんな名人芸。




posted by H.A.



【Cinema Paradiso】『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』(2016)

『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』(2016)

 2016年、オーストラリア・アメリカ・イギリス合作。
 監督ガース・デイヴィス、出演デーヴ・パテール、ルーニー・マーラ、デビッド・ウェナム、ニコール・キッドマン、他。
 実話に基づく、家族への想いを描いた人間ドラマ。
 舞台は1980年代のインドから。
 貧困の中、優しい母と兄に支えられ、健気に過ごす主人公。
 幼いある日、兄の仕事についていった駅で回送列車に乗り込み寝てしまい、ひとり数千キロ離れた街へ。
 住所や名前を正確に伝えることができない中、浮浪児として過ごす主人公。
 保護施設を経て、オーストラリアの優しい夫婦に里子として迎えられ、不自由なく育っていきます。
 経つこと二十数年。
 幸せな日々の中、忘れることのできない実の母、兄への想い。
 長年の葛藤と探索の後、故郷の街を見つけ、旅立つ主人公・・・
・・・
 派手な演出や過剰なドラマチックさ、あるいはヒューマニズムの押し付けもありません。
 終始静かでゆったりとした、どこか遠くを眺めているような空気感。
 度々登場する兄との日々の回想に、自身の思い出や郷愁がよぎる人は少なくないのでしょう。
 Saudade、そのものズバリ、静かな感動の一作。




posted by H.A.



【Disc Review】“Você” (1974) Claudette Soares

“Você” (1974) Claudette Soares

Claudette Soares (vocal) 
and others



 ブラジルのボーカリストClaudette Soaresの1970年代MPB。
 “Claudette Nº3” (1970)などほどノリノリではなく、落ち着いたサウンド。
 ソウルな感じの演奏も少々ありますが、ジャズサンバなバンドや、オーケストラとギターのみなど、少し前の時代を想い起こすようなジャジーなサウンドが中心。
 それでもIvan Lins, Milton Nascimentoといった新しい世代の楽曲も取り入れながら、1970年代MPBサウンドが色濃くなったClaudetteさん。
 何曲かのストリングス混じりのバラードでは、例の吐息ヴォイスが前面に出ますが、歌も心なしか軽やか。
 1960年代“É Dona Da Bossa” (1964)のようなパラダイス感、夜のボサノバ感は薄くなりましたが、その分ポップで現代的、爽やかな空気感。
 どれがいいかはお好み次第。




posted by H.A.



【Disc Review】“Claudette Nº3” (1970) Claudette Soares

“Claudette Nº3” (1970) Claudette Soares 

Claudette Soares (vocal) 
and others

CLAUDETTE Nº 3 ヌメロ・トレス
CLAUDETTE SOARES クラウデッチ・ソアレス
THINK! RECORDS
2014-03-05


 ブラジルのボーカリストClaudette Soaresの1970年作。
 エレキベースがうなるノリノリなサウンド、ファンク混じりの疾走曲からスタート。
 混ざり合う相手がしっとりしたジャズから、ロック、ファンクに移行した感じのブラジリアンポップス。
 バラードになっても躍動感は変わらず、ソウルっぽいホーンやらオルガンやらエレキギターのカッティングやら。
 すっかり模様替えしました・・・ってな感じではあるのですが、オーケストラがあの時代を引きずっている感もあって、それがまた何とも微妙でいい感じ。
 ヴォイスは変わらず、ビブラートたっぷり、吐息たっぷり。
 明るく前向き、ノリノリのポップス曲で聞こえる、吐息が何とも・・・
 アイドル然としたジャケットの明るい笑顔と、1970年代が明けました、ってな感じのおめでたいサウンドと、やはり夜な感じの艶っぽい歌。
 ミスマッチなのでしょうけども、その不思議な混ざり具合と過渡期なサウンドがお好みの人も少なくないのでしょうねえ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Claudette” (1969) Claudette Soares

“Claudette” (1969) Claudette Soares

Claudette Soares (vocal) 
and others

CLAUDETTE SOARES クラウデッチ・ソアレス
CLAUDETTE SOARES クラウデッチ・ソアレス
THINK! RECORDS
2014-03-05


 ブラジルのボーカリストClaudette Soaresの1969年作。
 時代はジャズからロックへ移行している時期。
 オーケストラやピアノが先導するジャズサンバなコンボだけでなく、ファンクなビートやジャズロック、オルガンなども取り入れ、ブラジル定番な男女混成コーラスなども交えつつのブラジリアンポップス。
 新しいブラジル曲も取り上げ、モダンな感じ、1970年代になりそう感もちらほら。
 でもClaudetteさんの歌は変わりません。
 ヴィブラートたっぷり、吐息たっぷりのしっとりボイス。
 ここまで全体のサウンドが明るくなると、“É Dona Da Bossa” (1964)などのように夜のボサノバ、妖しいパラダイス、ってな感じではありませんが、何曲か登場するストリングス混じりのベタベタの哀歌には、やはりゾクゾクしたりします。
 ってな感じで、ちょうど過渡期、ジャズからロック、ファンクの色合いを取り入れつつの時代、いろんな色合いが交錯するあの時代のブラジリアンポップス。


 

posted by H.A.


【Disc Review】“Claudette Soares” (1965) Claudette Soares

“Claudette Soares” (1965) Claudette Soares

Claudette Soares (vocal) 
and others



 ブラジルのボーカリストClaudette Soaresの1965年作。
 この人のアルバム、名前がタイトルになったモノが多くて、ジャケットもそれぞれ何種類もあったり、黒髪だったり金髪だったりするので、何が何だか分からなくなるのですが、とにもかくにも1965年作。
 近い時期の“É Dona Da Bossa” (1964)と同様にオーケストラとジャズサンバコンボを使い分けたボサノバ~ブラジリアンポップス。
 ヴィブラートたっぷり、吐息もたっぷり、情感たっぷり、ねっとりした感じでクネクネと歌う人。
 オーケストラはあの時代の優雅な音、コンボはコロコロと転げまわるピアノが先導し軽快に突っ走るバンド。
 オーケストラではムーディーにしっとりと、コンボでは軽快に・・・ってな感じではなくて、やはり全編しっとりした音が聞こえてくるのは、特別な歌のなせる技なのでしょう。
 ・・・っても、どことなく明度の高い録音を含めて、“É Dona Da Bossa” (1964)よりは少し軽い感じでしょうかね。
 それでもこれもパラダイス、湿った夜のボサノバ。




posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『スリー・ビルボード』(2017)

『スリー・ビルボード』(2017)



 2017年、監督、脚本マーティン・マクドナー、出演フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、他。
 アカデミー主演女優賞、助演男優賞受賞。
 新感覚のサスペンス、あるいは人間ドラマ。
 舞台はアメリカ南部の田舎町。
 娘を殺され、犯人が捕まらない事に業を煮やした主人公は、ロードサイドに警察署長を非難する趣旨の立て看板を設置します。
 警察署長は善人で人望の厚い人物、地域住人の非難の目は主人公に。
 警察からも敵視され、関係者への嫌がらせなども起こります。
 娘を殺した犯人はいったい誰なのか?
 警察署長、強硬な警官、主人公の息子、元夫、その他の人々との関係はどうなるのか?
 主人公はどのように事件に決着をつけるのか?
 さまざまな疑問を孕みながら、行き着く結末は?
 ・・・
 普通のサスペンス、犯人捜しのストーリーではありません。
 先が全く読めない展開。
 あれ?そっちにいくの?の繰り返し、何度も期待を裏切られます。
 また、とてもカウボーイな感じの主人公(女性ですが)を含めて、主な登場人物全てが、程度の差こそあれ何らかの狂気にとらわれているような設定。
 そんな中でのあたたかな人情。
 さらにハッピーエンドなのかバッドエンドなのか判断のつかない結末。
 これまた意外で複雑です。
 そして全体を包み込むような、アコースティックギターとフォークな歌を中心としたゆったりとした音楽、静かな空気感。
 シンプルなようで複雑な思いの残る、複雑な作品。




posted by H.A.

【Disc Review】“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

“Canto Primeiro” (2019) Beatriz Nunes

Beatriz Nunes (Vocals)
Luís Barrigas (Piano) Afonso Pais (Guitar) Mário Franco (Contrabass) Jorge Moniz (Drums) Tiago Canto (Flute) 
Carla Santos, Jorge Vinhas (Violin) Kátia Santandreu (Viola) Emídio Coutinho (Cello)



 ポルトガルのボーカリストBeatriz Nunes、おそらくデビュー作。
 静かなコンテンポラリージャズ。
 サポートはピアノトリオを中心としたアコースティックな音。
 クラシックの香りが漂う端正で美しいピアノと静かなドラムとベース、おそらくジャズの人たちなのだと思います。
 静かで間の多い空間の中の、極めて透明度の高い美しい声。
 少しキャンディな感じもちらほらする微妙なニュアンスで、テクニカルなスキャットまでやってしまう、何ともいい感じの歌。
 中心となるオリジナル曲は、少し不思議系。
 哀しげな表情のようでどこかクール。
 ヨーロピアンなクラシカルで透明度の高い音の中に漂う、微かなエキゾチシズム。
 4ビートもなければ、普通にポップスな感じでもありません。
 メロディも決してキャッチーな感じではないのですが、美しいピアノの音と、さらに輪をかけたような美しさ、図らずとも聞き入ってしまう声。
 さらにときおりのストリングスカルテットが上品な緊張感を付け加えていきます。
 静かに流れていく、何処か不思議な違和感のある綺麗な音。
 大化けする予感、そんな特別な声。




posted by H.A.

【Disc Review】“Brasileiro” (2018) Silva

“Brasileiro” (2018) Silva

Silva (vocal, piano, electric piano, synthesizer, guitar, bass, percussion)
Hugo Mciel (bass) Hugo Coutinho (drums) Edu Szajnbrum, Andre Paste (percussion)
Bruno Santos (trumpet) Roger Rocha (sax) Joabe Reis (trombone) Anita, Lucas Silva (vocal)

BRASILEIRO ブラジレイロ
SILVA シルヴァ
THINK!RECORDS
2018-12-26


 ブラジルのシンガーソングライターSilva、現代のMPB。
 ピアノ、ギター、パーカッションに電子音、ときおりの管楽器、そして甘い声。
 少人数での余白の多い空間、多くの場面で電子音を交えながらも、ナチュラルでアコースティックな質感のとても静かな音。
 静かながら先端的なビートと電子音。
 ブラジリアン・アンビエント・ポップスなんて言葉があるのかどうかも知らないけども、そんな語感がピッタリきます。
 哀愁が漂うキャッチーなメロディはJobimのようでもあるし、甘い声はCaetano Veloso的、Vinicius Cantuária的でもあるし、ブラジリアンポップス以外、何モノでもない音の流れ。
 過剰にとんがった所も突っ張った所もない、ナチュラルな質感。
 が、やはり先端的な今の音。
 今のブラジル、静かな名作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Vem” (2017) Mallu Magalhaes

“Vem” (2017) Mallu Magalhaes

Mallu Magalhães (vocals, guitar, piano, synthesizer, vibraphone)
Marcelo Camelo (guitar, bass, drums, percussion, órgãn, vibraphone) Davi Moraes (guitar) Dadi Carvalho, Rodrigo Amarante, Alexandre Kassin, Sidiel Vieira, Victor Rice (bass) Vitor Cabral, Maurício Takara (drums) Armando Marçal (percussion) 
and Horns, Strings

Vem
Mallu Magalhaes
Imports
2017-07-07


 ブラジルのシンガーソングライターMallu Magalhães、現代のMPB。
 ロック、フォークの色合いも強い、いかにも現代のブラジリアンポップス。
 ボッサなギターが少し聞こえた後は、しっかりしたビート、元気な現代的なポップス。
 さらに大人数のホーン陣がお洒落なオブリガードを加えつつの分厚めのサウンド。
 普通に明るくてポップで今風なようで、とんがった系のエレキギターやら、逆にちょっとノスタルジックな感じなどなど、いろんなものが混ざり合い、どこかひねった感じが全編に漂います。
 落着きよりも躍動感、疾走感。
 次々と押し寄せ、どこまでも前に進んでいく音。
 そんなサウンドを背景にした可愛らしく美しい声・・・と思っていたら、とんでもない所までぶっ飛んでいったり・・・
 堂々全てを占めるオリジナル曲はどれもキャッチー。
 一昔前ならば、どれをシングルカットしてもヒットしそうな感じ。
 凄い才能。
 同時期、同じように現代的に洗練されたブラジリアンポップス、なんだかんだでサンバの色合いも強い “Amor e Música” (2018) Maria Ritaと比べてみると、なかなか対照的で面白いかも・・・




posted by H.A.


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