吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年02月

【Disc Review】“Bossa Session” (1964) Sylvia Telles, Lúcio Alves, Roberto Menescal & Seu Conjunto

“Bossa Session” (1964) Sylvia Telles, Lúcio Alves, Roberto Menescal & Seu Conjunto

Sylvia Telles, Lúcio Alves (Vocals) Roberto Menescal (Guitar)
Eumir Deodato (Piano) Sergio Barroso (Bass) João Palma (Drums)
Henri Ackselrud (Flute) Ugo Marotta (Vibraphone)

ボッサ・セッション
ルーシオ・アルヴィス,ホベルト・メネスカル シルヴィア・テレス
USMジャパン
2006-05-17


 男女のブラジリアンボーカリストとギタリストを中心としたボサノバ。
 バンドはオーソドックスな編成のジャズサンバコンボ、オーケストラやコーラスはなし。
 凝ったアンサンブルのバンド、しっとり系の女声のSylvia Tellesにクールな男声 のLúcio Alves。
 Jobimを始めとするブラジルの定番曲が、デユエット、ソロでの歌、あるいはインスルメンタルのみで、次々と淡々と奏でられていきます。
 アップテンポからゆったりとテンポまで、楽し気なメロディからしっとり系まで、洗練された演奏ながら、なぜかゆるくて平和な感じ。
 穏やかな表情のメロディ、淡々と刻まれるビート、柔らかなフルート、ムーディ―なようにもすっとぼけたようにも聞こえる男声・・・
 さて、どれがこの心地よいゆるさの源なのでしょう?
 とてもリラックスした、のほほんとしたボサノバアルバム。




posted by H.A.

【Disc Review】“Bossa Balanco Balada” (1963) Sylvia Telles

“Bossa Balanco Balada” (1963) Sylvia Telles

Sylvia Telles (Vocals)
Geraldo Vespar (Guitar) Gabriel Bezerra (Bass) Juquinha (Drums) Jorge Ferreira Da Silva (Alto Sax, Flute) and Orchestra


Bossa. Balanco. Balada by SYLVIA TELLES
SYLVIA TELLES
Imports
2014-08-05


 ブラジルのボーカリストSylvia Telles、ボサノバを中心としたMPB。
 全編にオーケストラを配した優雅な音。
 しっとり系の美声で、多くがスローテンポに聞こえるような、ゆったりとしたタメを効かせた歌い回し。
 ジャズボーカリストっぽい強いビブラートを含めて、これまたとても優雅。
 Jobimの有名曲を数曲取り上げ、他も郷愁たっぷりのブラジル曲。
 いろんなアレンジが仕込まれていて、さりげなく攻めた感じの凝ったアンサンブルもちらほら。
 ときおり前面に出るジャジーなサックス、ミュートトランペット、ヴィブラフォンを含めて、しっとりとした夜のムード。
 っても淫靡な感だったり、マンハッタンな感じだったりではなくて、クールさもほどほど、ベタつき過ぎないほどよいバランス。
 1960年代のリオの夜って、こんな感じだったのでしょうねえ。
 そこにトリップ出来そうな、心地よい音。




posted by H.A.


【Disc Review】“U.S.A.” (1961) Sylvia Telles

“U.S.A.” (1961) Sylvia Telles

Sylvia Telles (vocal)
Barney Kessel (guitar) Calvin Jackson (piano) Al McKibbon, Joe Mondragon (contrabass) and orchestra

U.S.A.
シルビア・テレス
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1998-04-29


 ブラジルのボーカリストSylvia Telles、ジャズボーカル色の強いアルバム。
 タイトル通り、アメリカ西海岸のジャズメンとのセッションを中心に、一部でオーケストラを従えた演奏。
 4ビートの場面もたっぷりなジャズ寄りの音。
 ベースとギターかピアノのDuoが紡ぐ静かな音を背景にした、表現力たっぷり、しっとりとしたシルキーヴォイス。
 もともとジャズっぽい歌い回しの人なので、ピッタリの企画。
 スローバラードを中心としたそれらの少人数での演奏は、普通のジャズとしても全く違和感なく、ジャズボーカルアルバムとしても名作。
 Jobimを始めとするブラジル曲がアメリカンジャズスタンダードのように聞こえてきます。
 数曲の時代感たっぷり、オーケストラ入りのポップス?仕立てはお好み次第。
 とてもカッコいいジャケット、素敵なカンカン帽を含めて、ロス、ハリウッド、サンタモニカあたりの空気感。
 昼間の熱が醒めた夜。
 しっとり湿っているようでも、クールで乾いたようでもある、素敵な音。




posted by H.A.


【Disc Review】“Amor em Hi-Fi” (1960) Sylvia Telles

“Amor em Hi-Fi” (1960) Sylvia Telles
Sylvia Telles (vocal)
 ブラジルのボーカリストSylvia Telles、ジャジーなボサノバ~ブラジリアンポップス。
 ジャズサンバコンボにオーケストラ、さらにブラジル定番男女混成コーラスなどを交えつつの優雅な音。
 Jobimの有名曲を数曲、その他ブラジリアンメロディを中心に、ジャズスタンダードをメドレーで一曲。
 しっとり系なような、逆にハスっぱ姉御系なような、さまざまな表情が交差する微妙なニュアンスたっぷりの声。
 ゆったりと少し遅れるように置かれていく声、強いヴィブラートを効かせた歌はボサノバ系よりもジャズボーカリストに近い感じでしょうか。
 もともとジャズの人なのかもしれません。
 少々時代感のあるオーケストラとコーラスに絡み合って、いい感じのノスタルジーを醸し出します。
 同時期の不朽の名作“Chega de Saudade” (1959), ”O amor, o sorriso e a flor” (1960) João Gilbertoよりも湿っていて、夜な感じ。
 さておき、全身の力が抜けていくような、パラダイスなんて言葉が似合うノスタルジックで優雅な空気感。
 あの時代のボサノバ~MPB黎明期の素敵な音。




posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『ストレイト・ストーリー』(1999)

『ストレイト・ストーリー』(1999)

ストレイト・ストーリー リストア版 [DVD]
リチャード・ファーンズワース
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2013-08-23


 1999年、監督デヴィッド・リンチ、出演リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン、他。
 デヴィッド・リンチ、幻想と現実が交錯する過激な二作『ロスト・ハイウェイ』(1997)、『マルホランド・ドライブ』(2001)の間の作品。
 それらとは全く違うテイストの人情味溢れるドラマ。
 主人公は娘と長閑な隠居生活を送る老人。
 病気で倒れた兄を訪ねるために、トラクターでの旅を決心します。
 その道程、数百キロ、数週間の出来事。
 ヒッチハイクする訳ありの若い妊婦、鹿を轢き殺してしまった女性、自転車でツーリングする若者たち、トラクターの暴走~故障、助けてくれた男性、同じ町の老人、修理工の双子・・・、道中でのさまざまな人々との関わり、さり気ないやり取りの中で語られる主人公の経験、見識。
 そして、のどかな風景と、静かでセンチメンタルなBGM。
 それだけ。
 リンチさんならではの謎も夢と現実の交錯も、暴力も性もありません。
 美しい風景をたっぷり観ることが出来ますが、空と田畑と山と道路、田舎町のみ。
 おそろしいまでに地味な映画です。
 が、なぜか目を離すことができない、静かでゆったりとした時間。
 美しい景色とBGMが醸し出す空気感、そして、達観したハードボイルドネスがにじみ出る主人公の頑固で合理とはかけ離れた行動、必要以上に距離を詰めない微妙な他者との関係がとてもいい感じ。
 歳を重ねて弱ってしまった普通の人なのに、何ともカッコいいお爺さん。
 とにもかくにも静かでゆったりとした時間、ベタつかずサラリとした、それでいてしみじみじわじわとくる人間模様。
 リンチさん云々を抜きにしても、素晴らしい時間、何かが残る映画。




posted by H.A.



【Disc Review】“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

“Aguas” (2018) Omar Sosa, Yilian Canizares

Omar Sosa (piano, keyboards) Yilian Cañizares (violin, voice)
Gustavo Ovalles (percussion, voice)

Aguas
Omar / Canizares, Yilian Sosa
Ota Records
2018-10-05


 キューバのピアニストOmar Sosaと女性バイオリニスト&ボーカリストYilian Canizaresの双頭リーダー作。
 ジャズとルーツミュージック~ポップスが交錯する音。
 ベースは静謐で内省的な近年のOmar Sosaワールド。
 ECM作品を想わせるような静かで漂うようなピアノから始まり、これも静かに絡みつくようなバイオリンと囁きヴォイス。
 エキゾチックな歌が出てくると少し表情が変わってきます。
 哀しげな表情で切々と歌う美しい声。
 全曲を占めるOmar Sosaのオリジナル曲は、スペイン、アルゼンチン、メキシコ、もちろんキューバを含めたスペイン語圏、あるいはアフリカ、はたまた中近東の色合いが漂う、哀しげながらポップなメロディ。
 Yilianさんのバイオリンと歌も静かで優しい、Omar Sosaワールド。
 静かに漂うようなピアノとパーカッションに寄り添いつつの抑制された演奏。
 同じくDuo名義の“Transparent Water” (2017)と同様、どこか遠い所から聞こえてくるような、優しくどこか懐かしいトリップミュージック、少し現実寄り。
 本作も静かで素敵な時間が流れていきます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

“Transparent Water” (2017) Omar Sosa, Seckou Keita

Omar Sosa (Grand piano, Fender Rhodes, sampler, microKorg, vocal) Seckou Keita (Kora, talking drum, djembe, sabar, vocal)
Wu Tong (Sheng, bawu) Mieko Miyazaki (Koto) Gustavo Ovalles (Percussion) E’Joung-Ju (Geojungo) Mosin Khan Kawa (Nagadi) Dominique Huchet (Bird EFX) 

Transparent Water
Omar / Keita, Seckou Sosa
Ota Records
2017-02-24


 キューバのピアニストOmar Sosa、アフリカのコラその他を奏でるSeckou Keitaの双頭リーダー作。
 コラとピアノの共演といえば隠れた名作“Village Life” (1984) Herbie Hancock, Foday Musa Susoを想い起こしますが、アフリカンエスニックながらあの時代らしいスタイリッシュさも強いそちらに対して、本作は全く違うテイストのもっと静かで優しい音。
 コラやアフリカンパーカッションだけでなく、笙、琴、あるいは中近東系などを含めたワールドワイドな楽器が織り成す音。
 静かに鳴るピアノ、絡み合うさまざな楽器の響きと囁きヴォイス。
 中心となるオリジナル曲は近年のOmar Sosa色合い、内省的で少し哀しげな淡いメロディ。
 躍動感の強い演奏も少なくないのですが、あくまで静かで漂うような、そして優しい音。
 エスニックな打楽器の丸い音で奏でられるリフの繰り返しが穏やかな陶酔を誘い、遠い所から聞こえてくるような楽器と囁き声がどこか遠い所に誘うトリップミュージック。
 淡い色合いの空気の中、少しシャープなピアノの音が覚醒を促しつつ、気がつけばまた夢うつつの世界に・・・
 そんな素敵な時間。
 名作。




posted by H.A.


【Disc Review】“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu

“Eros” (2016) Omar Sosa, Paolo Fresu 

Omar Sosa (piano, keyboards, percussion, vocals, programming) Paolo Fresu (trumpet, flugelhorn, multi-effects, percussion)
Natacha Atlas (voice) Jaques Morelenbaum (cello) 
Anton Berovski, Sonia Peana (violin) Nico Ciricugno (viola) Piero Salvatori (cello)

Eros
Omar Sosa
Ota Records
2016-10-14


 キューバのピアニストOmar Sosa、イタリアのトランペッターPaolo Fresuの双頭リーダー作。
 “Alma” (2012) Paolo Fresu, Omar Sosaに続く二作目。
 前作と同様にブラジルのJaques Morelenbaum、さらにベルギーのボーカリストがフィーチャーされ、ストリングスカルテットがサポートに入ります。
 かつてのキューバンジャズファンクの闘士、スタイリッシュジャズのイタリアンが奏でる、穏やかで優しい音。
 前作に比べて、強烈な浮遊感が全体を覆います。
 キューバ、アフリカ、南米、ヨーロッパの色合いが混ざったどこか懐かしいメロディ、時間の流れが遅くなったようなゆったりした音の動き。
 夢の中を漂うような電子音、ピアノを背景にした、訥々としたミュートトランペットの動きがまどろみを誘い、オープンホーンでの流麗な動きが現実に引き戻す、そんな時間が続きます。
 ビートが定まっても止まない浮遊感。
 さらにチェロ、ストリングスが揺らぎを加え、幻想的な女性ヴォイスが交錯する、白日夢のような時間。
 遠い所を眺めるような、遠い所から聞こえてくるような、どこか懐かしい音。
 静かで優しい、そしてセンチメンタルな時間。
 大人の子守歌。




posted by H.A.


【Disc Review】“Live à FIP” (2006) Omar Sosa

“Live à FIP” (2006) Omar Sosa

Omar Sosa (Piano, Electronics, Vocals)
Childo Tomas (Bass, Vocals) Steve Argüelles (Drums, Electronics) Miguel "Angá" Díaz (Percussion) Luis Depestre (Saxophone, Percussion)

Live a Fip
Omar Sosa
Ota Records
2006-10-10


 キューバのピアニストOmar Sosa、フランスでのライブ録音。
 同じくライブ録音の“Promise” (2007)に近い時期ですが、メンバーは全く異なります。
 そちらよりもオーソドックスなキューバン・ジャズフュージョンな感じでしょうか。
 静かなピアノソロから始まり、ゆったりとしたキューバンビートへ。
 徐々にテンションと音量が上がっていき、ベースが終始ブンブン唸っていますが、直近のアルバムに当たる “Mulatos” (2004)と同様に、落ち着いた系のOmar Sosaミュージック。
 そちらからも何曲か選曲され、洗練されたキューバンジャズフュージョン演奏が続きます。
 強いグルーヴを作るベースと静かにビートを刻むドラム、その上で漂い、時に激しく突っ走るピアノ。
 オーソドックスな現代ジャズ的フレーズを奏でるサックスも手練れた感じ。
 ライブながら、本作もスッキリ落ち着いたOmar Sosaミュージック。
 かつての闘士からすっかり作風が変わったOmarさん、イタリアンPaolo Fresuとのライブの“Promise” (2007)、さらには極めつけに静謐なソロピアノ作品“Sensec” (2012)などへと続いていきます。




posted by H.A.


【Disc Review】“Mulatos” (2004) Omar Sosa

“Mulatos” (2004) Omar Sosa

Omar Sosa (piano, synthesizer, Fender Rhodes, vibráphone, marimba, percussión, voice)
Dhafer Youssef (oud) Aziz Arradi (guembri) Dieter Ilg (bass) Steve Argüelles (percussión, scratches) Philippe Foch (tabla) Renaud Pion, Paquito D’Rivera (clarinet)

Mulatos
Omar Sosa
Ota Records
2004-10-12


 キューバのピアニストOmar Sosa、無国籍なワールドワイド・ジャズフュージョン。
 かつての怒涛のような激烈な演奏から熱が下がり、洗練された落ち着いた音。
 ゆったりと落ち着いたキューバンビートに名手Paquito D’Riveraのクラリネット、さらには中近東、インドなどの楽器が交錯する無国籍なフュージョンミュージック。
 ときおり加わるヴォイスも叫び系ではなく、鼻歌っぽい柔らかさ。
 ウードとバンドとの絡み合い、複雑な管楽器のアンサンブル、タブラを背景にした静かでゆったりとしたピアノの響き、などなど、抑制されたさまざまな楽器の絡み合い。
 静かな空気感の中、ピアノも端正でクラシカルな上品さが目立っています。
 ここまで落ち着いてしまうと、“Prietos” (2001) などのような、これでもかこれでもかが聞きたくなってしまう感、無きにしも非ずですが、これはこれでとてもいい感じ。
 静かで落ち着いたOmar Sosaミュージック。




posted by H.A.


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