吉祥寺JazzSyndicate

 吉祥寺ジャズシンジケートは、東京、吉祥寺の某Barに集まるJazzファンのゆるーいコミュニティです。  コンテンポラリーJazzを中心に、音楽、アート、アニメ、カフェ、バー、面白グッズ、などなど、わがままに、気まぐれに、無責任に発信します。

2019年01月

【Disc Review】“Kenny Burrell (Volume 2)” (1956) Kenny Burrell

“Kenny Burrell (Volume 2)” (1956) Kenny Burrell

Kenny Burrell (guitar)
Tommy Flanagan (piano) Paul Chambers, Oscar Pettiford (bass) Kenny Clarke, Shadow Wilson (drums) Candido (conga)
Frank Foster (tenor saxophone)

ケニー・バレル Vol.2
ケニー・バレル
EMIミュージック・ジャパン
2004-12-08


 Kenny Burrell、1950年代、Blue Noteから。
 ジャケットはAndy Warhol。
 モダンジャズが最高にヒップだった時代。
 コンガが入る一曲が妖しい饗宴ムードを醸し出しますが、全体を眺めればブルージーながら上品なジャズ。
 あの時代のモノラル録音ながら、ギターとピアノのとても美しい音。
 エフェクティングすることなく、エコーも少ない、自然の生の音の心地よさ。
 少し後ろに下がった感じのリズム隊を背景にして突っ走るギター。
 さらにサブトーンたっぷりのテナーサックスなんて加わると、周囲は賑やかしいあの時代のマンハッタンのど真ん中、夜。




posted by H.A.

【Disc Review】“Monk” (1953, 1954) Thelonious Monk

“Monk” (1953, 1954) Thelonious Monk

Thelonious Monk (piano)
Curly Russell, Percy Heath (bass) Art Blakey, Willie Jones (drums)
Ray Copeland (trumpet) Julius Watkins (French horn) Frank Foster, Sonny Rollins (tenor sax)

Monk: Rudy Van Gelder Series (24bt)
Thelonious Monk
Prestige
2009-09-08


 Thelonious Monk、1950年代前半の二管クインテット作。
 ジャケットはAndy Warhol。
 鬼のようなアルバム“Brilliant Corners” (1956), “Monk's Music” (1957)の前哨戦・・・ってこともないのでしょうが、それらよりも少しおとなしめ、少し普通のモダンジャズに寄った感じでしょうか。
 ってもさすがにMonkさん、どこかぶっ飛んだような、異次元空間からやってきましたあ・・・な感じのヒップな音。
 ブルージーで素っ頓狂なオリジナル曲に、洗練されたスタンダード。
 あちこちに跳びまわってはみ出してしまいそうで落ち着いてしまう、崩れそうで崩れない、懐かしいようで新しい、そんな不思議なジャズ。
 ちょっとおとなしめにまとまったジャケットといいバランスですねえ。




posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『2010年』(1984)

『2010年』(1984)

2010年 (字幕版)
ロイ・シャイダー
2013-11-26


 1984年、監督、脚本ピーター・ハイアムズ、原作アーサー・C・クラーク、出演ロイ・シャイダー、ジョン・リスゴー、ヘレン・ミレン、ボブ・バラバン、キア・デュリア、他。
 スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』(1968)の続編。
 2001年から経つこと9年、遭難した宇宙船ディスカバリー号と謎の物体「モノリス」の探索のために木星に向かうソ連の宇宙船、それに乗り込んだアメリカ側の乗組員三名。
 諸々の新たな発見、ディスカバリー号への乗り換え、さらに人工知能HALの再起動にも成功。
 が、「モノリス」の正体は杳として不明。
 その探索での事故を経て、大きな変化が発生、木星圏からの脱出を画策する隊員たち。
 人工知能HALを含めたディスカバリー号の放棄の決定、それを知らされなかったHALの行動、さらに木星周辺の大きな変化の結末、そして「モノリス」とはいったい何だったのか・・・?
 ・・・
 美しい構図と映像。
 ブルーレイにリマスターされた際に補正されたにしても、美しい宇宙、木星、光と影。
 単調になりそうな宇宙船での人物の絵にはアップが多用され、どの場面も動く名画状態。
 時代を超えた美しさの『2001年宇宙の旅』(1968)と比べるのはアレなのかもしれませんが・・・
 さておき、前作の続編としてはいかがなのでしょうか?
 余り怖くないことを含めて雰囲気はかなり違うし、ストーリーはいたってシンプル。
 クールなSFではあるものの、ヒューマニズムもたっぷり。
 最終盤で主人公が振り返ってニッコリ微笑む何気ない場面に、思わずこちらも微笑んでしまう、ってなノリ。
 ま、原作者は一緒なんだし、前作の謎、壮大なストーリーにキッチリ決着がついています。
 その全体像に感心するとともに含みもたっぷり残されているし、いい映画だなあ、と思います。




posted by H.A.

【Disc Review】“Cantora Não” (2017) Manu Cavalaro

“Cantora Não” (2017) Manu Cavalaro

Manu Cavalaro (voice)
Salomão Soares (piano, keyboards) Fábio Leal (guitar) Franco Lorenzon (bass) Rodrigo Digão Braz (drums) and others
 ブラジルの女性ボーカリストのコンテンポラリージャズ~MPB。
 ボサノバではなく、あくまでコンテンポラリージャズな音。
 よく弾むエレキベースに縦横無尽なピアノ、エレピ、複雑ながら柔らかなビートをたたき出すドラムのピアノトリオ。
 明るく元気いっぱいな空気感を含めてDani & Debora Gurgel閥っぽい感じですが、さらにエレキギターがたっぷり加わります。
 そのギターとピアノがカッコいい。
 艶やかなクリーントーンの現代的ジャズなギターに、クラシカルからファンク、ジャズまで多彩な表情のピアノ。
 明るい色合い、あくまで陽性だけども、あちこちに飛びまくる複雑なオリジナル曲。
 そんな音を背景にした少しスモーキーで優しげなボイスのテクニカルな歌。
 現代のジャズ寄りMPBの定番的な音、柔らかなグルーヴを醸し出す超一線級の演奏に、優し気で不思議なボイスは、欧米系とはどこか違う心地よさ。
 はまるとなかなか抜けられまへん。




posted by H.A.


【Disc Review】“Bridges” (2015) Adam Baldych

“Bridges” (2015) Adam Baldych

Adam Bałdych (Violin)
Helge Lien (Piano) Frode Berg (Bass) Per Oddvar Johansen (Drums)

 ポーランドのバイオリニストAdam Bałdych、カルテットでのコンテンポラリージャズ。
 サポートはノルウェーの名手のピアノトリオ。
 オーソドックスな編成ですが、普通のジャズ~コンテンポラリージャズとは少々質感が異なります。
 基調はジャズですが、クラシック、ヨーロピアントラディショナルの強い香りが漂う、繊細かつドラマチックな音。
 中心となるオリジナル曲は、エキゾチシズムを漂わせながらの憂いを含んだメロディ。
 後ろ髪を引かれるようにタメを効かせて置かれていく繊細なピアノと変幻自在に動き回るバイオリン。
 どこかに飛んで行ってしまいそうなバイオリンを現実に引き戻すかのようなピアノ。
 美しく繊細なピアノの音に導かれて静かに始まり、徐々にテンションを上げ、楽曲の終盤にはドカーンとくるドラマチックな構成の楽曲がたくさん。
 全編通じてハイテンションです。
 インプロビゼーションだけでなく、それらの抑揚感を含めて計算し尽くされたような完成度。
 全体を漂う非日常的なエキゾチシズムと哀しい音の流れは、どこか遠い時代の遠い所から聞こえてくるようにも感じるし、ドラムを中心とする乾いたビート感はいかにも現代の音のようにも聞こえます。
 哀しく、どこか懐かし気で、ドラマチックな東欧コンテンポラリージャズ。




posted by H.A.


【Disc Review】“The New Tradition” (2013) Adam Baldych

“The New Tradition” (2013) Adam Baldych

Adam Baldych (violin) Yaron Herman (piano)

The New Tradition
Adam Baldych & Yaron Her
Imports
2014-06-10


 ポーランドのバイオリニストAdam BaldychとイスラエルのピアニストYaron HermanのDuo作品、ドイツのACTレーベルから。
 静謐と激情が交錯する時間。
 クラシックの色合いが強いヨーロピアンなテイストのピアノに、こちらもクラシックがベースなのだろうけども、地中~中近東の香り、ヨーロピアントラディショナルな香りも強いバイオリン。
 強い哀愁が漂うメロディと少し沈んだ空気感、強い緊張感は、このレーベルの雄、Lars DanielssonLeszek Mozdzerの諸作を想い起こします。
 それらと同様に、美しく冷たく硬質なピアノを背景にした、太い音の激情バイオリン。
 あくまでメロディアスなフレーズを紡いでいき、徐々に高揚しつつピークに達するスタイル。
 たった二人の決して大きな音ではない演奏ながら、とてもドラマチック。
 終始哀し気で少々深刻系の空気感はポーランドジャズの人の色合い。
 とてもハイテンションで躍動感が強い音、それでいて静かで美しい、現代バイオリンジャズの一作。




posted by H.A.


【Cinema Paradiso】『ソラリス』(2002)

『ソラリス』(2002)

ソラリス<特別編> [DVD]
ジョージ・クルーニー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-03-05


 2002年、米国、監督・脚本スティーブン・ソダーバーグ、製作ジェームズ・キャメロン他、出演ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、ジェレミー・デイビス、ヴィオラ・デイヴィス、他。
 アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(1972)に次ぐ映画化。
 こちらは21世紀のハリウッド製。
 ジェームス・キャメロン制作、監督、主役は『オーシャンズ11』(2001)の名コンビ。
 いい感じのキャスティングに、要点を的確に抑えつつのシンプルでスッキリとした演出。
 お茶目で小粋な『オーシャンズ11』(2001)に近い同時期の作品であることが信じられないシリアスな空気感。
 現代的なCG技術を使った息を飲むような美しい映像。
 ストーリーの面白さは言わずもがな。
 原作や『惑星ソラリス』(1972)とは違う仕掛けもあるし、ピリピリした感じのヒロインの人が怖くて怖くて・・・
 が、本作は不人気なのでしょうか?
 カリスマ的名作『惑星ソラリス』(1972)のハードルが高すぎたのか、あるいは現代の人はもっと過激なスペースホラーな感じを望んでいたのか、はたまたもっと精神的な部分で深いものを望んでいたのか・・・?
 もし『惑星ソラリス』(1972)を知らなかったらどうだったのでしょうかね?
 私はこちらもいい映画だと思います。


 

posted by H.A.



【Disc Review】“What's New?” (1962) Sonny Rollins

“What's New?” (1962) Sonny Rollins

Sonny Rollins (tenor saxophone)
Jim Hall (guitar) Bob Cranshaw (bass) Ben Riley (drums) Dennis Charles, Frank Charles, Willie Rodriguez, Candido (percussion)

WHAT'S NEW?
SONNY ROLLINS
RCAVI
2016-07-22


 ラテンなSonny Rollins。
 冒頭の”If Ever I Would Leave You”のカッコいいこと。
 ブロードウェーの粋なメロディと、陽気なビートに乗ってどこまでも続いていきそうな怒涛のインプロビゼーション。
 コンパクトにまとまった“Saxophone Colossus” (1956)の”St. Thomas”に対して、たっぷり十数分。
 テーマが終わって、先発の涼し気なギターの音でクールダウンしたら、前後左右に揺れながら少しリズムの芯を外したように置かれていく、少しひしゃげた黒々とした音がこれでもかこれでもかと続きます。
 至福の時間。
 後続もラテンなジャズのオンパレード。
 パーカッションとのDuoになっても、コーラスが入っても、変わらないテナーサックスの動き。
 何をやってもハードボイルド。




posted by H.A.


【Disc Review】“The Bridge” (1962) Sonny Rollins

“The Bridge” (1962) Sonny Rollins

Sonny Rollins (tenor saxophone)
Jim Hall (guitar) Bob Cranshaw (bass) Ben Riley (drums)

The Bridge
Sonny Rollins
Imports
2014-09-30


 Sonny Rollinsのギタートリオとの共演。
 不調で何とか、ブルックリン橋の下でどうとか、ようやく脱して何とか、ややこしい時期。
 確かに“Sonny Rollins, Vol. 1” (1956)や“Saxophone Colossus” (1956)あたりと比べるとおしとやかでしょうか。
 が、それゆえにピアノよりも線の細いギターとの相性がとてもいい感じ。
 訥々とした今にも止まりそうなスローバラード“God Bless the Child”、 "Where Are You?"がとても繊細でカッコいい。
 スピードが上がると、例のモースル信号も連発しつつのノリノリの吹きまくり。
 それでもブリブリグリグリな感じではなくて、上品で流麗なJim Hallのギターにスムースに繋がるいいバランス。
 もちろんあの少し歪んだような音と、汲めども尽きぬ泉のような音の流れは、上掲の歴史的な名演のまま。
 少々沈んだ感じのSonny Rollinsもカッコいいなあ。




posted by H.A.


【Disc Review】“Sonny Rollins, Vol. 2” (1957) Sonny Rollins

“Sonny Rollins, Vol. 2” (1957) Sonny Rollins

Sonny Rollins (tenor saxophone)
Horace Silver, Thelonious Monk (piano) Paul Chambers (bass) Art Blakey (drums)
J. J. Johnson (trombone)

ソニー・ロリンズ Vol.2
ソニー・ロリンズ
ユニバーサル ミュージック
2016-12-14


 Sonny RollinsのBlue Note第二弾。
 This is 50’sなSonny Rollins。
 幕開けはひたすら景気のいい音が鳴り続けるイケイケジャズ。
 突撃あるのみのサックスに、トロンボーン、ピアノ。
 ンチャンチャのハイハットに、おめでたいことこの上ないドラムロール。
 必死にペースをキープしウォーキングするベース。
 間にThelonious Monkのブルージーですっとぼけた感じでクールダウンしつつ、ベタベタ、綿々としたバラードで締め。
 終始鳴り響く少しひしゃげたようなぶっといテナー。
 飛び散る汗と真っ黒けな音。
 愉快痛快。




posted by H.A.


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